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多分わかっていないだろう

「遅いっ!」

「さーせんっしたーっ!」


 僕は今、玄関の前で仁王立ちした星歌にお叱りを受けている。

 現在の時刻は午前1時。高校生にしては帰るのが遅すぎる時間だ。


「こんな時間まで何をしてたのかなぁ?」


 額に青筋をたて、怒りを押さえた声色でそう訪ねてくる。

 

「いや、えーっと…… 小隊活動の書類を……」

「小隊活動の書類を書いていたとでも?」

「……」

 

 い、言えない。

 まさか『後輩に夜ご飯奢り、調子に乗って話し込んでしまった』なんてことが知られたら僕の命が危うい。


「もしもーし? 理由を聞いているのだけども?」


 星歌がそう言いながら首を傾ける。


『ヤバい! 

 早くなにか言い訳を考えなければ!』


 自分の脳をフル回転させて、何か名案がないものかと考えていると、星歌のため息が聞こえた。


「全くもう……

 理由はどうであれ、遅くなるなら連絡ぐらい してよね!」

「す、すみませんでした……」

「心配したんだから」


 そう言う彼女の表情は切なげで、本当に心配してくれていたのが伝わってきた。


「さ、早くお風呂入って寝よう!」

「う、うっす!」


 先ほどまでの空気が一変して、穏やかなものになり、 僕はホッと胸を撫で下ろす。

 なんだかんだで星歌もそこまで怒って無かったのだろう。そう思い、部屋に戻っていく星歌の姿を見る。

 そこで思わず僕は固まってしまった。

 なんと星歌の背中には、彼女愛用のライフルが装備されていたのだ。

 

『もし、僕が最初から本当のことを言っていたら……』


 頬に冷たい汗が流れる。


『あ、明日の弁当は奮発しよう……』


 僕は素早くお風呂に向かった。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 翌朝、昨日の決心の通りいつもより豪華な弁当を作り終えた僕は、星歌を起こして学園に向かった。


「なんか今日のお弁当は豪華だね?」

「まぁ、たまにはと思って」

「ふーん……」


 そう言いながらも、疑うような目でこちらを見てくる星歌を無視し、クラスに入る。

 

「あ! おはようございます先輩!」

「既朔さん! おはよー!」

「既朔さん……?」


 いえー とハイタッチしながら挨拶を交わす。


「星歌先輩もおはようございます!」

「う、うん。おはよう」


 早速自分の席につき、鞄から荷物を出していると、


「ねえねぇ、キョースケいつから既朔ちゃんと仲良くなったの?」

 

 耳打ちするように星歌が訪ねてきた。


「急にどしたの?」

「だって昨日は名字で呼んでたのに、

 今日は名前でよんでたから」


 昨日仲良くなったんだよ と言おうとした時、急に既朔きさくさんが星歌に近づいて、何かを耳打ちした。 

 それを聞いた星歌は顔をまるで炎の様に赤くして、こちらを睨んできた。 なんで!?

 

「キョースケの女たらし!」

「なに、なに!?」

「いやー、ホントに先輩は流石ですよねぇ」「なんなんだお前ら!?」


  いったい既朔きさくさんは何を言ったのだろうか……


「よーし! お前ら授業始めるぞー!

 ……ってどうした顔を赤くして?」


 まさかのタイミングで現れた坂本先生は、僕と星歌を不思議そうに見てから、何かひらめいた様に、


「なんだ? また夫婦喧嘩か?」

「「夫婦じゃないですっ!!」」

「分かってるって~」


 ニヤニヤしながら先生がそう言うが、あの顔は絶対に分かってないだろう。


「ん? ドラクロワは休みか?」

「あれ? 本当だ」


 先ほどまでのドタバタで気づかなかったが、教室にドラクロワさんの姿は無かった。


「誰か何か聞いているか?」


 三者三様にそれぞれ知らないと答える。


「まぁ、アイツの事だからそのうち連絡が来るだろう」


 確かに、彼女はしっかりしているので、無断欠席なんて事はしないだろう。


「んじゃとりあえず、授業始めるぞ!」


 相変わらず気だるげな声色で授業の開始が宣言された。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 この日の授業は、確か魔術の歴史だった気がするが、僕はどうもドラクロワさんのことが気になって集中することが出来なかった。

 どうやら結局のところ、連絡が来なかったらしい。


「どしたのキョースケ? さっきからボーッとしてさ?」

「いや、なんでもないよ」


 学園から駅までの帰り道で、僕の顔を覗きこむように星歌が訪ねてくる。

 僕はそれに笑顔で答えた。

 星歌はどうも納得してない顔をしていたが、駅の方を見ると──


「あ! 電車来てるよ!」

「えっ!? マジか!?」


 確かに僕たちが乗るはずの電車が既に駅のホームに停まっていた。


「キョースケはやく!」

「わかってる!」


 なんだか星歌といると走ってばかりな気がする。

 星歌が素早くICカードをタッチして、改札を抜ける。僕もそれに続こうとして──


『ドラクロワさん!?』


 今日は学園を休んだはずのドラクロワさんが、何故か制服姿で駅の下にあるバス停に並んでいたのだ。


「悪い星歌! 先に帰っててくれ!」

「えっ!? ちょっとキョースケ!?」


 とりあえず彼女と話がしたい。

 それが今の僕の気持ちだった。


「早く帰ってきてよ!」


 後ろから聞こえる星歌の声に返事をして、彼女の並ぶバス停に急いだ。

なかなかバトルにならなくて困ってます。

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