表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生先は現人神の女神様  作者: 子日あきすず
ファーサイス 収穫祭
43/88

閑話02 終わる生と始まる生

とある子のお話。知能の差を表すために平仮名で読みづらいですが、ご了承ください。

本編と同時公開。

せまい……せまい……。

なんでだっ! なにがあるんだ……。いてっ!

せまい……だして……。


ご飯は貰えるけど、狭い中で食べては寝る退屈な日々。


◇◇数週間後◇◇


さわ……さわるな! この! この! ああっ! はなせー!


さっきよりも小さい所に閉じ込められ、ゆらゆらと運ばれる。


やっぱりかたい……でれない。


◇◇◇◇


むむむ……ひろくなった。いままでとけしきがちがう。においも変わった。


今までより広くはなったけど、やっぱり出れない。

ご飯は貰えるし、水も貰えるけど、動き回れないのが不満。


いたい! なにすんだ! この! いたい! やめろ!


◇◇数ヶ月後◇◇


ある日またゆらゆらと運ばれる。


そとにだされた。……したがやわらかい、においがいままでとぜんぜんちがう。

にんげんたちがどこかにいった。……ひろい! すごくひろい!


◇◇数日後◇◇


おなかがすいた……おいしいのがこない……。のどがかわいた……。さむい……。

ふんふん……これは、おいしくないけどしょうがない……。

……にんげんがこない。


◇◇数日後◇◇


いたい……いたい……うごくのがつらい……。

なにかがささった……ちがでてる……。

おなかがすいた……のどがかわいた……いたい……。


◇◇数日後◇◇


さむ……い……い……たい……。

から……だが……う……ごか……ない……いたい……。

たすけ……て……。


◇◇数日後◇◇


………………なにか……くる……い……くし……かない……。


「……ネズミ?」


……に……んげ……ん……だ……。たす……けて……。


「いや、ハリネズミか。何でこんなところに……。……血? 怪我してるのか! えっと、獣医でいいんだよな? 調べないと分からんな……一番近いのは……」


◇◇◇◇


「ああ、いらっしゃい」

「こんにちは」

「あの子は良くなりましたよ。回復まではもう少しかかると思いますけど」

「そうですか……まあ、どう見ても死にそうでしたからね……」

「……確認しましたが、捨てられた子でしょう」

「あの子はどうなるんです?」

「飼われるのでしたら回復次第お渡ししますが……」

「……折角ですし、うちで飼います。俺も先はそんな長くないですが、妻にも先立たれてますし、一人暮らしなので丁度いいです」

「では、治ったら連絡します」

「お願いします。その間に調べて準備しておきます」


◇◇数週間後◇◇


またせまくなった。でもたすけてくれたひとといっしょ。

けっこうだしてくれる。ひろくなる。


「トイレはあっちだって言ってんだろー! ハリネズミってトイレ覚えねぇの? いや、そう言えば同じところでするな? そこをトイレにしてしまえ」


なんだこれ、まあいいや。ここでしよう。


「よし、次からもそこでしてくれ」


◇◇数ヶ月後◇◇


ごはんがおいしい。のみものもある。このひとのちかくはおちつく。

いきのびたかいがあった。


「俺の布団にいるのは良いんだが、針落とすのやめてくれんかね。普通にいてーんだわそれ。後寝てる時に飛び込んでくるのもやめてくれ、たまに刺さる」


グリグリしながら言っても言葉は通じない訳で。

ハリネズミって余り懐かないんじゃなかったのか? こいつが例外なのか?


「お前の名前はシロニャンな! 確か前にやってたゲームのハリネズミペットが、そんな名前にしてたはずだ。針も白いし良いだろ。行動も猫っぽいし丁度いい。シロニャンな」


◇◇数年後◇◇


そろそろべつのがたべたい。

ぐりぐり。


「む、飽きたか。同じものを食べ続けると飽きるとか人間か」


ふんふん……もぐもぐ。


「でも食べる量は減ってきたか? お前何歳なんだ? ……俺がくたばるのが先か、お前がくたばるのが先か……どっちだろうな……」


◇◇数ヶ月後◇◇


「じゃ、ちょっと買い物行ってくるからな!」


にんげんがでかけた。……ねよう。



……よるだ。

ふんふん……ふんふん……? にんげんこない……。

…………! たべもの! にんげんこれからだしてた。

……でてこない……のみものは……ある。すこしずつのもう。


たべものでてきた。たくさんあるけど、これもすこしずつたべよう。

……にんげんこない……。


◇◇数日後◇◇


む、にんげんきた?

ちがうにんげんだ! ふんふん……ちがう!


「さて……とりあえずシロニャンを探さないと……」


ふんふん……このにおい、すこしまえにかいだ。

たすけてくれたひとがつれてきたやつ。


「あ、いたいた。ケージに入れておかないと……ごめんな……父ちゃん死んだんだ……」


◇◇数日後◇◇


「しろにゃんー」


さわるな! この!


「こらこら、ハリネズミの針は痛いからダメよ」

「ぶー」


◇◇◇◇


ごはんはちがうひとがくれるようになった……。あのひとどこいった?

……たすけてくれたひとがいい。


たすけてくれたひとみつけたけど、びみょうにちがう。

においがしないし、うごかない。それにかたくてうすい。

……もう……あえないきがする。


たすけてくれたひとといられないなら……もう……いいかな……。

じぶんも……もうながくないきがするし……。

さいごは、あのひとのにおいがする……やわらかいところがよかったけど、しょうがない。

せめてここで……。


◇◇◇◇


「しろにゃんぜんぜん食べない」

「ケージから出すとずっとあそこに行くの」

「そうか。ハリネズミって知能高いのかな? 父ちゃんの仏壇の写真の前だもんな……。えっと確か……あったあった。ほら、これをやる」


…………! あのひとのにおいがする!


「ハリネズミってあんまり懐かないって見たんだけど……本当なの?」

「あの子は特別じゃないか? 捨てられて怪我したのか怪我して捨てられたのか分からないけど、死にそうな所を拾ったって父ちゃん言ってたしね。それもあるんじゃないかな」

「そう……。こら、邪魔しないであげなさい。あの子にとってお爺ちゃんは特別なのよ」

「むぅ……」


◇◇数日後◇◇


………………もういっかい、あいたいな……。もっといっしょにいたかった。

ずっと……いっしょに……いたかった……。

……もういっかい……あの……ひとと……あ……いた……い……



◇◇白い空間◇◇



あれ……ここは……?


「いらっしゃい、シロニャン」


ふんふん……においがしない……。


「私はそういう存在ではないからね。私は創造神……あなたの願いを叶えてあげると言ったら、何を望む?」


あのひとにあいたい! ずっといっしょにいたい!


「……そう。会わせてあげる。見た目は全然違うけど、間違いなくあなたを拾った飼い主。そして、あなたには知能もあげましょう。まずはちゃんと話そう」


◇◇◇◇


創造神と言う神様から、知能を貰って話を聞いた。

助けてくれたあの人は熊埜御堂 林太郎。今はルナフェリアと言う月の女神をやっているらしい。

帰ってこないと思ったら、この創造神様が元凶だった。

でも、この後会わせてくれるらしいから、別にいいや。


ハリネズミのまま、シロニャンとして一緒にいたいとも思うし、折角だから同じ人として一緒にいたいとも思った。……悩ましい。


「んー、流石に同じ存在となると神だから無理だけど、ようは人形ひとがたならいい訳だ」


うんうん。


「でもハリネズミの体も欲しいわけだ」


やっぱ無理だよね……。


「ルナのいる世界は今までいた世界とは違うからね。問題ないんだこれが。とは言え、すぐにはできないわね。新しい種類追加しないと」


早く会いたいけど……会えるなら待つ。


「まず本体はハリネズミにして《人化》でも作るか……それで種族は……。どうせルナは契約するだろうから……月の民にしちゃおうか。従魔契約……いやいっそ精霊系? ルナエレメンタルヘッジホッグとかどうだろう。月精霊針鼠……あれ、これちょっと強すぎ……」


ずっと一緒にいたいから強くていいよ。


「むむむ……。まあ、ルナと契約するなら強くても良いか。一緒にお仕事してもらいましょうか。待てよ……そうだ、あなたには可能性をあげましょう」


可能性?


「そう、可能性。生命の神秘。進化の秘術。最初は弱いけど、努力次第で最強へ。最初のうちはルナにでも手伝ってもらいなさい」


わかった!


◇◇◇◇


「うん、これでよし。ここで目が覚めるから、川沿いに南に行くのよ? そうすればルナがいる王都に着くから」


分かった!


「教えることは教えたし……じゃあ、いってらっしゃい」


行ってきます!



『……ルナ、王都から北の森まで見てみなさい』


ハリネズミ可愛いと思います。飼ってないけど。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 3度目だけど、何度見ても涙目溢れる良い話(涙)
[良い点] シロニャンの話ちょっと泣いちゃいました笑 [一言] 再開できて良かったです
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ