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転生先は現人神の女神様  作者: 子日あきすず
ファーサイス 生活基盤作成編
21/88

19 城壁と魔法装置

さて、さてさて。

城壁その物は《土魔法》で良いけど、それだけじゃつまらないよねー。

ただの城壁じゃつまらない。となると、魔法装置にするか? うーん、うーん。


1回整理しよう。

城壁に必要なのは、耐久力に防御力。当然だな、壁が脆かったら意味が無い。

ただ、城壁って上空には無力。この世界は攻撃ヘリとかは無いが、代わりにドラゴンとか飛行タイプがいるし、人も飛ぼうと思えば一応飛べなくもない。

それを考えると対空はあるに越したことはないんだが……。

結界を張ろうにもこの王都の規模はなぁ?

魔力タンクを用意し、"メディテーション"で普段から溜めておく。

更に敵性魔法を分解し吸収。それらを使って"マナシールド"を展開する?

魔法吸収機構か……鬼門だな。

マナが魔力になり、魔力が魔法になり、魔法はマナへと戻る訳だし、できなくは無い、かな? あ、そうか。魔力が魔法になるが、魔法は魔力の塊か。

”マジックシールド”は魔力の通過を防いで魔法を防ぐ盾だもんな。

じゃあ難しくないな? 魔法じゃなくて魔力として捉えてしまえば良い。

魔力が触れたら吸収する外壁にすればいいんだな、よしよし。

魔力を吸収し、余剰分で"マナシールド"を張り、戦闘モード時更に余るようなら"魔力収束砲マジーアキャノン"で薙ぎ払うと。

案は決まった、後はこれをどう形にするかだ。壁の形やサイズは指定されなかったし、これに合わせて作ろう。


・・・・・・

・・・


あーでもない、こーでもないと脳内シミュレート。そんなこんなで指定した3日。


「ふーむ、やっぱこれか……?」

「ルナフェリア様ー。治安部隊の者ですがー」

「むん? どーしたー?」

「城壁の物全て撤去完了しました」

「そう、分かったわ。では始めましょうか。さ、引っ越すわよー」

「「「わーい」」」


精霊達は、今日も元気です。ええ、そりゃもう。


「北門行くけれど、貴方はどうする?」

「私は城へ戻ります!」

「ん、分かったわ。お引越しは壁壊してからね」



「やあやあ、早速始めようか」

「我々は何かすることありますか?」

「あー、そう……ねぇ。ちょっと待って」


魔眼で王都全体を確認する。


「王都に入るために並んでる人達が邪魔ね……。全部入るまで待つと言うのは無理だから、そうね。私が城壁作る範囲を示すから、それより外側で検査してくれる?」

「分かりました。では早速指示を出しに……」

「ああ、そうか。それも私がするわね」

「はい」


《風魔法》で王都全体に拡張する。風の精霊達も手伝ってくれるから非常に楽。


『私よ、騎士の皆聞こえる? 今から城壁予定位置を示すわ。作業の邪魔になるから、それより外側で検査をしてもらえる? 各門の列が予定地より外側になり次第作業を開始するわ。パトロール中の治安部隊の皆は城壁に人が近づかないようにして頂戴。今あるのは崩すから近くにいると埋もれるわよ。ちなみに今回の城壁はステータスボールに代わる機能も追加予定よ。楽しみにしていて? 以上よ、よろしくね』

「ステータスボールに代わる機能ですか?」

「そうよ。今は1人1人見て、荷物もチェックしてだから効率が非常に悪い。それを解消するための機能をね」

「そ、そんな事が?」

「とある魔法装置を門に設置するだけよ。貴方達騎士達は問題があった場合のみ動けば良い。それ以外は見送るだけでいいわ」

「お、おお」

「まあ、まだ秘密」


城壁予定地を指定して、魔眼で列が外側になるのを待つ。

お城から騎士達がゾロゾロ出てきて、船で各門へ向かったと思ったら手伝いを始めた。これならすぐ終わりそうだね。


今ある城壁を崩して出た土を再利用するとしても、確実に足りないから地面から回収しよう。穴が空くけど、水路作るのに出る土で埋め立てればいいでしょう。

計算上材料は問題なく足りるはずだ。デザインも決まった……な。


・・・・・・

・・・


騎士達が頑張ったおかげで列が外側まで行った。さあ、始めようか。


『全ての列が外側まで行ったのを確認したわ。さてさて……ふむ、悪くない城壁ね、しっかり"リインフォースメント"もかかってるし、対魔法耐性もなかなか。これを作った者達は優秀だったようね』


手で触れた箇所から魔力を流し、城壁全体に行き渡らせる。


『……これから新しい城壁として生まれ変わらせてあげる。お疲れ様。"ウォールブレイク"』


その言葉が王都全体へと響いた時……。


ピシ! ピシピシ!


と、数百年に渡り王都を守り続けて来た城壁から音が聞こえ始める。

ゆっくりと城壁に無数の亀裂が入って行き、外側からポロポロと崩れ始める。

一気に破壊しないのは当然飛び散らないように、できるだけ静かに壊すため。

そして、今まで数百年頑張って来た城壁は、安らかに眠りにつくかのように、静かに、静かに城壁という形を失って行った。

城壁のあった場所に残るのは、城壁だった土の塊。


今度は地面に手を置き、《土魔法》を使用する。すると塊が一斉に滑るように動き出し、予定地へと移動する。当然川は避ける。自分も予定地へと"ジャンプ"。

これで、準備は整った。


城壁の作成に入る。

『さて、作りましょう。形は星形正十六角形ヘキサデカグラム。中から、外から見たパッと見は円形。でも空から見ると星形。頂点となる16箇所はやぐらにしてっと』


ふんふふーんと、鼻歌が聞こえそうな程度には軽くやっているが、やってることは明らかに化物の所業である。

数十キロに及ぶ都市城壁を一箇所から動かずに、1人で、見る見るうちに作り上げていく事なんかできるわけがないのだが、そこは魔法に特化した月の女神。簡単にやっている。まあ、ルナからしたら今作っているこの城壁はただの土台で、本番はこの城壁に刻む魔導回路と魔導文字の方なのだから、当然である。


・・・・・・

・・・


そして、土台となる城壁が完成する。


『んー、よしよし。そしたら門を開けてっと。先に門を魔法装置にしようか』


門に設置する魔法装置といえば、俗にいうセキュリティーゲートですよ。

盗賊とかの犯罪者が潜ったら警報が鳴るので、鳴ったら騎士達が取り押さえる。

当然妨害系魔法対策も万全。そもそも、魔法がかかっている時点で問答無用。

王都に入るのに強化魔法とか必要ない。入りたければ全部切れ。

荷馬車などに積んでいる荷物も同様。

魔道具などがあった場合、犯罪者達とは別の警報が鳴る。鳴ったら騎士達がチェックすればいい。


北門から東門へ移動する。こっち側はマーストがあるため、商人達の行き来が激しい。そのためテストには丁度いい。ということで東門を魔法装置に改造する。


「やあ、ちょっと協力してくれたまえ」

「おっと、ルナフェリア様。何をすれば?」

「ここに並んでる人達を通して門を潜らせて。騎士達はこっち来て頂戴」

「は、はあ。おいお前達、ちょっと集まれ」


騎士達を門の内側で、門を見張るように配置する。そしたら商人達に門を潜って貰う。何人か通って貰っていると、オレンジ色に光った。


「む、止まりなさい。騎士達数人で荷物を調べて。なんか魔道具があるはずよ」

「は、はい」


商人と荷物を横にずらし、荷物をチェックさせる。その間も並んでた商人達は門を潜って行く。黒は装置自体に何かしらの問題が、緑なら正常動作しているサイン。

通った時にオレンジなら魔道具が、黄色なら何かしらの魔法使用、赤なら何かしらの犯罪者であることを教え、別の門もセキュリティーゲートへと改造していく。

これで、門は効率化が完了。


後は魔導回路と魔導文字だ。これからが本番だが、その前に引っ越しだけ済ませておく。地面ごと家と果樹、サトウキビに魔法装置をお引越し。”マナシールド”とマナ濃度一定化の結界を土地に張っておく。


さて、仕上げと行こう。

回路と文字を城壁の内側に刻む。ただ、パッと見はそうと見えないように、だ。

大樹や果実、妖精に精霊、精霊王はもちろん太陽や月、畑などの絵画を刻む。

パッと見は城壁内側に書かれた絵画、実際は魔導回路と魔導文字を駆使して書かれた魔法陣その物。いやあ、考えるのに苦労した。《思考加速》して頑張ったよ。

効率を捨てるわけにもいかないから、あーでもない、こーでもない、これじゃ絵として変だなんだと大変だった。面白かったから後悔はしてない。

16箇所の頂点である、やぐら部分に大樹を配置し、それが"マナシールド"を張る際の基点になるようにした。

大樹の根の部分から上に輝いていき、上空にシールドを張ると言う無駄に洗練された無駄な演出付き。こんなことしてるから苦労するんだ。

これらを脳内シュミレート通りに刻んでいく……。ズレなく、無駄なく、丁寧に。

絵自体が無駄だ? 気にしたら負け。


…………ふぅ。流石にこれは時間かかった。最後に"リインフォースメント"をかけて。

城壁の完成だ!



ファーサイス魔導城壁 アーティファクト

ルナフェリアの作品。

王都ファーサイスを囲む難攻不落の城壁。

触れた魔力を吸収し、防衛機能へと回す。

セキュリティーゲートを内蔵している。

セキュリティーゲート アーティファクト

ルナフェリアの作品。

都市の門に配置し、潜った者の職業や荷物をチェックする。

基本的に潜らせるだけで良いので、ステータスボールより効率的。

マナと魔力、魔法、全てをチェックしているため、無視する事はまず不可能。



相変わらず早いポップアップだこと。ファーサイス魔導城壁だって。

ふふふ、現状の最高傑作ですね、分かります。


触れた魔力、魔法を含め吸収し、それを使用し上部に”マナシールド”を張る。

"マナシールド"の維持に十分な場合、"魔力収束砲マジーアキャノン"を攻撃された側、つまり吸収した魔力の多い方向にぶっ放す。

当然飛び越えられない高さの城壁に加え、取り付いた場合も、城壁に触れればその部分から魔力を吸収するので、その部分の内側の魔法陣が光る。よって場所も丸分かりである。

更に"メディテーション"で常にマナも吸収している。

まずは城壁その物の魔力強化。これは"メディテーション"の魔力で常時。

余剰分を魔力タンクで保存。

隊長格はタンクの魔力を使用した"マナシールド"の展開操作を可能。

手動操作はもちろん、城壁への敵性魔法を感知したら自動展開。

空からの手段がないなら防衛戦最強だな。この王都は自給自足が可能だし。

城壁を落とすために攻撃魔法を撃てば吸収される。物理攻撃で壊そうにも私が作った城壁だ。そう簡単に壊れやしない。


さて、後は水路を作って、城壁作るのに使って穴空いた部分を埋めるかね。




その頃王城では。

執務室から外を眺めつつ国王、宰相、騎士団総隊長の3人で話していた。


「ほんと、とんでもないな」

「とことん味方で良かったですよ。騎士達も鍛えて貰ってますしね……」

「そうなのか?」

「ええ。とは言っても、あの方も我々を相手にトレーニングしているようですが、圧倒的に強いので、ほぼ我々が相手してもらっているような物なんですよね」


と、苦笑交じりに総隊長が言っている。


「最近は水でできた殺傷能力0の剣を10本操り、10人の騎士を相手にしているんです。1人1本縦横無尽に動く剣を捌きながら、ルナフェリア様本体に近づくと言うトレーニングですね。ちなみに剣に触れると濡れるだけですが、死亡扱いとなり失格です」

「お、おう……」

「たまに20本、1人2本だったり、20本で20人同時だったりしますが」

「あれだけの事ができるのにトレーニングですか……」

「ルナフェリア様は経験の差は如何ともし難いと仰ってましたね。後、力のゴリ押しはスマートじゃないとも」

「そ、そうですか」

「まあ、騎士達は順調に強くなっていますよ。失敗しても濡れるだけなので思いっきりできますし、万が一にも怪我をしても治して貰えます。何よりあの容姿なので楽しそうですね、奴らは。そこらの令嬢どころか王族すら霞む挙句に、騎士に変な夢見てないですし。ただ、最近一部がドMに育ち始めました」

「おい、大丈夫なのかそれは」

「まあ、騎士としては例え腕を切り飛ばされても怯まないので優秀と言えますね。人間としてはちょっとどうかと思いますが」


総隊長は苦笑しながら答えるが、国王と宰相は眉間を押さえている。


「ま、まあ騎士や我々との関係は良好と思っても良さそうだな? 問題は貴族達だが……」

「現状これといった動きはありませんね」

「我々騎士からすればお世話になってるのもありますが、あの方の強さや性格を1番理解しているのも我々でしょう。そう言う意味では騎士を持っている家は下手な事はしないかと。ちなみに騎士達の間では一種のアイドルと化しているので、あの方の味方するでしょうね……」

「アイドル……」

「結構やんちゃですよ、あの方。やんちゃやってる時は非常に楽しそうで微笑ましいですよ? 内容の高度さに目を瞑ればですが」

「高度さ、ですか?」

「イメージからのオリジナル魔法で遊び始めるんですよね……」

「ああ、なるほど……」


と、そんなこんな話していると。


「国王様、出現しました」

「ちょい、名前省くな」

「……ああ、入っていいぞ」


国王が許可を出すと、話題の本人が入ってきた。


「最近私の扱いがてきとーになってきた件について」

「……そんなことは、無いだろう?」

「微妙に間があった件について!」


と言いながら頬を膨らませている。が、それもすぐに戻り。


「まあ、良いんだけどね。最近取り繕うのも面倒になってきたからね」

「おう、ちゃんと被っとけ?」

「ドラゴンを被る……」

「碌な事にならなそうだな?」

「まあ、そんな事はどうでもいいのよ。城壁の仕様を説明するわね。機能なんだけど……」


と、ファーサイス魔導城壁の3つある防衛機能を教える。


「うーむ、ただ壁作るだけじゃないだろうとは思ったがな」

「私の[称号]に[魔導技師]がついたから魔装具だね」

「世界最大じゃないでしょうか……」

「そうでしょうね」



魔道具と魔装具の違いだが……。

魔道具は魔導ランプや魔導コンロなどの魔法の道具。

魔装具は所謂マジックアイテムと言われる、武器や防具などの魔法の武具

戦闘に使用するかしないかで覚えるのが早い。



ついでに土地の位置も確認して撤収する。


「1人1個ずつお食べ」


と、我が家で採れたペルシアを置いていく。これがかなりウンマイ。

仮にも国王様に渡すんだから高級品のマスカットと言われるかもしれんが、我が家のマスカットは食えたもんじゃないのでな。あれは何度も言うがジュース専用。

聖域と化した我が家で採れる果実は、どれも最高級品に値するので問題ない。

私が割りと好き勝手やってるのも、こうしてみつぎ……手土産を渡していたり、魔導城壁なんか作っちゃったり、シードラゴン倒したりでなんやかんやと国に貢献しているため、あまり強く言えないのだ。ふはは。


簡単に言えば利害関係の一致。

私はこの国でのんびり過ごしたい。この国は私が居るだけで恩恵がある。

その最たるものが、聖域から漏れる精霊の加護。

私が居る→精霊達が集まってくる→精霊達の力が私によって活性化され、周囲に強い影響が出る→農作物の品質上昇、収穫量増加、成長速度の増加などがおきる。

というわけだから、ぶっちゃけ聖域かどうかは関係ない。

そして今回私が土地を欲しいがため、城壁の作成と。

私が好き勝手やって損するなら文句も言うだろうが、どう考えても得であり、私が王都を出て行ったら、精霊達も移動する事が容易に想像できてしまうので、機嫌を損ねる事は避ける。私が居なくなった時点で恩恵がなくなるからだ。

ちなみに、出かける分には問題ない。私がそこに帰ってくるのが分かっているので、精霊達はお留守番している。

マナ濃度が結界によって一定を保っているため、そこが過ごしやすいのもあるが。


そんなこんなで、私は快適に過ごせている。


旧→「分かりました。では早速支持を出しに……」

新→「分かりました。では早速指示を出しに……」

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― 新着の感想 ―
常にマナも吸収して > は!? 中にいる人が段々と衰弱していく!?
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