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クールな騎士団長が令嬢の駆け落ち相手のゲスな謀略を小耳に挟み、令嬢を駆け落ちの落ち合う森に行かせないようにする話書いて。

## 騎士団長の「強引」な守護


夜の静寂を切り裂くように、白銀の甲冑がかすかな擦過音を立てる。

王宮騎士団長、アルリックは、普段の冷静沈着な面差しをさらに険しくし、中庭の影に立っていた。

彼の耳には、先ほど偶然耳にした不快な会話がこびりついている。


相手は、公爵令嬢エレナが愛を誓い、今夜「駆け落ち」をする手はずになっている隣国の没落貴族、カシアンだ。


「あんな世間知らずの小娘、森まで連れ出せばこっちのものだ。適当な場所で身ぐるみを剥ぎ、実家に巨額の身代金を要求してやる。愛? 冗談じゃない、ただの金蔓だよ」


カシアンの冷笑混じりの声。アルリックは、無意識に剣の柄を強く握りしめた。




### 午前零時、約束の森の手前


エレナは期待と不安に胸を膨らませ、一人、屋敷の裏門を抜け出した。

しかし、深い森へと続く一本道に差し掛かったその時。


「……そこまでだ、エレナ嬢」


低く、有無を言わさない声。

暗がりに立っていたのは、月光を背に浴びたアルリックだった。


「アルリック様……? なぜ、こんなところに」


エレナは動揺し、抱えていた小さな荷物を抱きしめる。

彼はゆっくりと歩み寄り、彼女の退路を断つようにその場に立った。


「今すぐ屋敷へ戻れ。これ以上は、騎士として見過ごせん」


「……嫌です! 私は彼と、幸せになるって決めたんです。どいてください!」


エレナが強がって一歩踏み出そうとした瞬間、アルリックは彼女の細い手首を掴み、力強く引き寄せた。




### 氷の瞳と熱い拒絶


「放してください!」


「放さない。……貴女が行こうとしている先にあるのは、愛ではなく破滅だ」


アルリックの瞳は、いつになく冷徹で、それでいて怒りに燃えていた。


「彼は……カシアン様は待っています!」


「ああ、待っているだろうな。貴女を金に換える算段を整えて、な」


アルリックは、彼女の耳元で冷酷な事実を突きつけた。カシアンが酒場で仲間と笑いながら話していた計略、身代金の要求、そして彼女を使い捨てにするという言葉。

エレナの顔から血の気が引いていく。


「嘘……そんなの、嘘よ……」


「嘘だと思うなら、今から私が奴を捕らえに行くのを見ていればいい。だが、貴女をあの男に触れさせるわけにはいかない。たとえ恨まれても、ここで拘束する」


アルリックは、震えるエレナの肩を抱き寄せ、そのまま彼女を自らの馬へと促した。




### 守護の誓い


「……どうして、そこまでしてくれるのですか? 私は、勝手に家を出ようとした愚かな女なのに」


俯き、涙をこぼすエレナ。

アルリックは一瞬だけ表情を和らげ、彼女の頬を指先で拭った。


「……騎士の職務だ。それに」


彼は一拍置いて、少しだけ不器用なトーンで付け加えた。


「貴女を、あんな下衆に渡すのが死ぬほど癪だった。……それだけだ」


夜風が吹き抜ける中、アルリックはエレナを馬に乗せ、屋敷ではなく——より安全な、自分の管理下にある騎士団の離宮へと向かって馬を走らせた。

背後にある森では、何も知らないカシアンが虚しく獲物を待ち続けている。


だが、彼がエレナに再び会うことは二度とない。

彼女を「守る」と決めた男は、王宮で最も恐れられ、そして最も執着心の強い男なのだから。


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