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君は何度も僕を忘れる  作者: 南蛇井


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シーン3

――次の日。


「えっと……誰?」


「朝霧澪。同じクラス」


「へえ……悪い、覚えてなくて」


「うん、大丈夫」


同じやり取り。

同じ間。

同じ終わり方。


――また次の日。


「おはよう」


「……誰?」


「朝霧澪」


「初めて見た」


「そうだね」


少しだけ言い方が違うだけで、意味は同じ。


――その次の日。


「席、どこ?」


「窓際の後ろから二番目」


「あ、近いな」


「うん」


会話はそこで終わる。


まるで決まった台本でもあるみたいに、同じ流れをなぞっていく。


――何度も。


――何度も。


――何度も。


「……どっかで会ったっけ」


そんな言葉が混ざる日もある。


でも、それもすぐに消える。


「気のせいか」


そうやって、なかったことになる。


積み重ならない時間。


残らない関係。


変わらない距離。


(……それでも)


私は全部、覚えている。


昨日の声も、今日の視線も、

ほんの少しだけ違った表情も。


誰も持っていない“昨日”を、私だけが抱えている。


――一人分だけ、重なっていく時間。


でもその分だけ、置いていかれる。


同じ場所にいるはずなのに、

少しずつ、遠くなっていくみたいに。


それでも私は、また同じ言葉を選ぶ。


「おはよう」


たとえ、その先が分かっていたとしても。


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