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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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76/77

76話

深層。

空気が変わる。重い。

それだけで分かる。


「……来るな」


レイカが槍を構える。ユイも息を整える。

その横で――


「『気配、強い』」


「『ボス級じゃな』」


「『ちょうどいい』」


「『暴れるか』」


四人はいつも通り異世界の言葉。

その余裕が逆に異質。

奥から、ゆっくりと現れる。


巨大な個体。二足歩行。硬質な外殻。

腕が異様に長い。


「……でかいですね」


ユイが呟く。

レイカが短く言う。


「油断するな」


その瞬間、ボスが動く。

地面を砕きながら、一気に距離を詰める。


「速い!」


レイカが前に出る。槍で受ける。

重い衝撃。


「……っ!」


踏ん張る。

だが完全には止めきれない。


「ユイ、下がれ!」


「はい!」


ユイが後ろへ。

その間に――


「『前出る』」


「『任せる』」


相棒が一歩。

踏み込み。一閃。


だが外殻に弾かれる。


「『硬いの』」


「『なら削る』」


俺が魔法を展開。

圧縮した魔力を一点に放つ。


衝撃でボスの体勢が崩れる。


「『今』」


「『了解』」


シエルが矢のように動く。

ウィンドカッター。

関節を狙う。浅い。

だが、確実に削れる。


そして――


「『任せろ』」


葵が前に出る。

地面に手をつく。


魔力が広がる。


瞬間。


足元の岩が変形。巨大な鎖になる。

ボスの足を拘束。


「『固定した!』」


「『助かる』」


俺がさらに魔法を重ねる。

連続で叩き込む。

外殻にヒビが入る。


レイカがそれを見逃さない。


「そこだ!」


踏み込み。槍が深く刺さる。

ボスが咆哮。

暴れる。


鎖が軋む。


「『持たんぞ!』」


「『十分だ』」


相棒が再び踏み込む。

今度は一点。ヒビの入った場所へ。


斬撃。外殻が割れる。


「『通った』」


「『畳むぞ』」


シエルが風を重ねる。

連続で切り裂く。

俺が最後に魔法を圧縮。


放つ。直撃。

内部に届く。

ボスの動きが止まる。


そして――崩れる。


完全沈黙

静寂。


数秒後。


「……はぁ……」


ユイが息を吐く。


「今の……やばくないですか」


「ボスだな」


レイカが短く言う。

だが、その視線は――四人に向いている。


「……連携が異常だ」


「当然だ」


俺が言う。


「長くやってる」


それだけで十分。

葵が軽く伸びをする。


「まあ、こんなもんだな」


「軽いですね……」


ユイが苦笑する。シエルが静かに言う。


「……マダ余裕」


「『だな』」


相棒も頷く。

レイカが小さく笑う。


「……いいな」


「何がだ」


「戦えるやつが多いのは」


素直な感想。

そのまま槍を肩に担ぐ。


「決めた」


「何だ」


「本気で勧誘する」


はっきりと言う。


「うちに来い」


即答レベル。ユイが横で驚く。


「え、ここでですか!?」


「今が一番分かりやすい」


合理的。葵が笑う。


「どうする?」


俺たちを見る。

相棒が肩をすくめる。


「『どうでもいいの』」


「『好きにせい』」


シエルも頷く。


「……任セル」


俺は少しだけ考える。


「……まあ」


「悪くはない」


レイカが笑う。


「交渉成立、か?」


「仮だ」


「十分だ」


そのまま、空気が少し緩む。

だが――この戦いで、完全に証明された。


このパーティはこの世界でも、十分に異常だということが。

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