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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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3/12

3話

現実世界にダンジョンあったら、レベル上げは確定ですね。

数日が経過し、俺たちは攻略したダンジョンとは別のところに来ていた。

東京ダンジョンの入口に立った瞬間、俺はわずかに眉をひそめた。


「……思ったより、人が多いな」


「他のダンジョンとは、空気が違うのう」


相方の言う通りだった。

装備の整ったパーティも確かにいる。だが全体的に、どこか緊張感が薄い。


笑い声。

軽口。

中には、配信機材を抱えたまま準備をしている者までいる。


「東京ダンジョンは、比較的安全って言われてるらしいぞ」


「噂を信じすぎじゃな。未知の階層がある以上、安全など存在せん」


ここが俺たちにとっても、初めての東京ダンジョンだ。

それでも、油断する気にはなれなかった。


俺たちは会話を控え、黙々と階層を下っていく。


二十階層。

三十階層。


敵の性質や動きは、他のダンジョンと大きくは変わらない。

だが、魔力の流れがどこか歪んでいる。


「……嫌な感じがする」


「うむ。下に行くほど性質が変わるダンジョンじゃな」


三十五階層を越えたあたりで、周囲から人影が急に減った。

引き返すパーティが増えているのだろう。


「ここからが、情報の少ない領域か」


「初物は、いつも厄介じゃ」


四十階層。


通路を曲がった瞬間――

鋭い悲鳴が、空気を切り裂いた。


「きゃっ――!」


反射的に足が動く。


「戦闘音だな」


「助けを求めておる」


理由を考える前に、体が前に出ていた。


角を抜けた先で見えたのは、

巨大な爬虫類型のモンスターと、崩れかけたパーティ。


その中で、一人の女性が壁際に追い詰められていた。


武器は弾かれ、足が止まっている。

初見ダンジョンで判断を誤った――そんな状況だった。


モンスターの爪が、彼女へ振り下ろされる。


――間に合う。


俺は一息で距離を詰め、刀を抜いた。


弾き。

踏み込み。

一閃。


首が落ち、巨体が床に崩れ落ちる。


「……え?」


呆然とした声を背に、すぐ次へ意識を切り替える。


「もう一体、来るぞ」


相棒が一歩前に出た。


「初見でこれは、少々荒っぽいのう」


次の瞬間、爆音。

二体目は通路の奥ごと吹き飛ばされた。


静寂。


助けた女性は、その場に座り込んだまま、俺たちを見上げている。


「だ、大丈夫か?」


「は、はい……ありがとうございます……」


「無理はするな。ここから先は、慣れた者でも油断すれば死ぬ」


そう告げて踵を返すと、相棒も何も言わずついてきた。


「……初見の割には、随分派手にやったのう」


「他に選択肢がなかった」


「それもそうじゃな」


――だが、その静寂は長くは続かなかった。


「に、逃げるぞ!」


誰かの叫びを合図に、残っていたパーティが一斉に踵を返す。

振り返ることもなく、我先にと上層へ駆けていった。


「おい、待――」


声を上げた時には、もう遅い。


残されたのは、先ほどの少女だけだった。


「……置いていかれた、か」


「判断としては正しいが、薄情じゃな」


少女は壁に背を預け、肩で息をしている。

武器を失い、膝が震えているのが一目で分かった。


「怪我は?」


「だ、大丈夫です……多分……」


まだ恐怖が抜け切っていない声だ。


「名前は?」


「え……あ、はい。白瀬ユイ、です」


「ユイ、な。無理に動くな」


足元に転がっていた武器を拾い、差し出す。


「……ありがとうございます」


彼女がそれを受け取ろうとした、その時――


「……あ」


ユイが、はっとしたように胸元を見る。

小型のカメラが、そこに固定されていた。


「……配信、切れてない」


「?」


「え、配信?」


「す、すみません……ダンジョン攻略のライブ配信をしてて……」


「今も?」


「……はい」


一瞬の沈黙。


「ほう。随分と余裕のある趣味じゃな」


「ち、違います!ここまでは安全って聞いてて……」


「結果は、見ての通りじゃな」


ユイは反論できず、小さく縮こまる。


俺は頭をかき、ため息をついた。


「……生きてるなら何でもいい。この階層でソロは無茶だ」


「す、すみません……」


「パーティは戻らないだろ。ここから先は俺たちが護衛する」


「え……いいんですか?」


「偶然居合わせただけだ。それに、このまま一人で帰すのは危ない」


相棒が、くくっと笑う。


「命拾いしたと思うがよいぞ。妾たちは、初見だが暇ではない」


「は、はい……!」


ユイは何度も頭を下げた。


その背後で、

彼女のカメラには無数のコメントが流れていた。


――だが、その事実に、

この時の俺たちは、まだ気づいていなかった

ダンジョン配信者ってどうやって配信してるんでしょうか

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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