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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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2/13

2話

相方って良いですよね。

ダンジョンを完全攻略し、相方と一緒に家まで帰ってきた。


最下層の空気を思い出すと、今こうして玄関の前に立っていることが、少しだけ現実味を欠いて感じられる。

血の匂いも、魔力の残滓もない。ただの、どこにでもある住宅街だ。


「お主、ダンジョンで得たドロップ品は売らなくてよいのか?」


靴を脱ぎながら、相方が何気ない調子で言った。


「ギルドが割とめんどくさいからな」


「それは……ギルドに所属しておらんからじゃろ?」


「一番の理由はそれだな。二番目は、銀行口座を作らなきゃいけない」


相方は小さく首を傾げた。

この世界の仕組みには、まだ慣れていない部分も多い。


異世界から帰還して、すでに一ヶ月が経っている。

だが今の俺には、自由に使える銀行口座がない。


正確に言えば、口座自体は存在している。

ただし、一度銀行に出向き、諸々の手続きを済ませなければならない状態だ。


理由は単純だった。


俺が異世界に飛ばされている間、この世界では三年近い時間が経過していた。

その間、俺は完全に失踪扱いとなり、各種記録はすべて停止。

銀行口座も例外ではなく、凍結されている。


「面倒な世界じゃな」


相方がぽつりと呟く。


「ああ。向こうは向こうで理不尽だったけど、こっちは別の意味で理不尽だ」


家を借りられているのも、正直かなり無理を通した結果だった。

俺の戸籍の扱い、相方の存在、その他諸々。


説明できない部分はすべて国家機密案件として国に丸投げし、

ようやく生活の最低ラインだけは確保できた。


その結果として――

俺と相方は、今こうして同じ家で暮らしている。


玄関で靴を脱ぎ、並べる。

俺のものと、相方のもの。


サイズも形も違う二足が、当たり前のようにそこにあった。


異世界では、常に命のやり取りをしていた。

寝る時でさえ剣を手放せなかった日もある。


それに比べれば、この光景はあまりにも平和で――少しだけ、落ち着かない。


「……それでも」


ふと、相方が口を開く。


「向こうに、置いてきた者たちのことに未練はないのか?」


その問いは、責めるものでも、詮索するものでもなかった。ただ、事実を確かめるような声音だった。


少しだけ、沈黙が落ちる。


「未練はあるよ」


嘘はつかなかった。


「仲間もいるし、借りもある。正直、未練がないと言えば嘘になる」


命を預け合った仲間たちの顔が、脳裏をよぎる。今も、あの世界で戦っているはずだ。


相方は何も言わず、ただ静かに耳を傾けている。


「でもな」


俺は、言葉を続けた。


「それでも帰りたかった。向こうでどれだけ強くなっても、あの世界で生き続ける自分が想像できなかった」


剣を振るうことしか知らない人生を、

あの世界で終える未来が、どうしても受け入れられなかった。


「……選んだのじゃな」


「ああ」


帰ってきた理由は、逃げでも後悔でもない。

自分で決めた――それだけだ。


「それに、こっちに来てもお前がいてくれるだろ?」


言ってから、少しだけ照れくさくなる。

だが、事実でもあった。


相方は袖の長い和風の服を軽く整え、俺の方を見る。


「なら、妾はそれでよい」


その言葉は、驚くほどあっさりしていた。

それ以上は踏み込まない。


いつも通りの、心地よい距離感だった。


この世界での生活は、まだ安定とは言えない。

金も、立場も、未来も、すべてが曖昧だ。


それでも。


向こうの世界から、一緒に帰ってきた存在が、今ここにいる。

それだけで、しばらくは戦っていける気がした。


少なくとも――

この世界で、もう一度生き直す理由にはなる


僕には友達が少ない

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