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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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10/10

10話

いまだに、なろうの使い方があまり分かっていない

61階層を越えた先で、ダンジョンの様相は明確に変わった。


通路は人工物めいた直線を失い、岩肌は歪み、天井の高さも一定ではなくなる。

魔力の流れが目に見えて濃く、空気が重い。


「ここからが、本番か」


「ようやくダンジョンらしくなってきたのう」



 出現するモンスターは、これまでの延長線上にはない。獣でも魔物でもない、形容しづらい存在。

肉体と魔力が半端に融合し、倒しても輪郭が霧散するように消えていく。


だが、対処は難しくなかった。


俺が魔法で動きを止め、相方が刀で断つ。

それだけだ。


70階層を越える頃には、敵の強さよりも環境が厄介になっていた。


重力が不安定な階層。

一歩踏み出すごとに床の感触が変わる。

空間そのものが歪んでおり、距離感が信用できない。


「……歩きにくいな」


「斬りにくくはないが、面倒じゃ」


 相方はそう言いながらも、何事もないように敵を斬り伏せていく。

上下左右の感覚が狂っていても、刀筋は一切乱れない。


 80階層。


ここから先は、敵が意思を持ち始めた。


連携。撤退。囮。


モンスターが戦術を使ってくる。


「知能があるな」


「人の真似事をしておるだけじゃ」


 群れで襲いかかってくる敵に対し、俺は広範囲魔法を展開する。

空間そのものを焼き、凍らせ、圧縮する。


逃げ場はない。


残った個体を、相方が静かに処理する。


「……数が増えても、結局同じじゃな」


「戦場が広がるだけだ」


 90階層。


景色が完全に変わった。


空がある。

だが、地上の空ではない。


赤黒い雲が低く垂れ込め、遠くで雷鳴が響く。

地面は石でも土でもなく、脈打つ何かの表皮のようだった。


「……生きている、のか?」


「ダンジョン自体がじゃろうな」


ここではボスという概念が曖昧になる。

階層全体が敵だ。


地面から触手のようなものが伸び、空間そのものが圧迫してくる。


俺は魔法で結界を張り、進行方向を固定する。

相方は黙って前に立ち、迫るものをすべて斬る。


  119階層。


 そこは、これまでのどの階層とも違っていた。


敵影はない。

空間は静止し、魔力の流れすら感じられない。

まるで、世界が息を潜めているようだった。


中央に立つのは、一枚の巨大な扉。


石でも金属でもない。

黒く、滑らかで、表面には無数の魔法陣が刻まれている。

どれも見覚えのない式で、触れただけで拒絶の意思が伝わってくる。


「……これか」


「ようやく、辿り着いたようじゃな」


 相方は刀に手をかけながら、扉を見上げている。

気負いはない。だが、集中はしている。


俺は扉に手を当て、魔力を流した。


抵抗は強い。だが、閉じられているというより、選別している感触だった。


「力を測ってるな」


「なら、十分見せてやればよい」


魔力を一段階引き上げる。

扉の魔法陣が一斉に光り、低い駆動音が響いた。


次の瞬間。


扉が、ゆっくりと開いた。


その先は120階層。


空がある。だが、雲は渦を巻き、雷が常に走っている。

大地は焦げ、ところどころ溶けていた。


そして、中央。


巨大な影が、身を起こす。


鱗に覆われた胴体。

 翼は天井に届くほど大きく、首は幾重にも重なっている。

赤い瞳が、こちらを見下ろしていた。


「またドラゴン、か」


「王じゃな。ダンジョンの」


ドラゴンが咆哮する。

空間が震え、衝撃波が押し寄せる。


俺は即座に結界を展開し、衝撃を相殺する。


「任せるぞ」


「言われずとも」


相方が前に出る。


ドラゴンのブレスが放たれる。

灼熱の奔流。


俺は魔法で軌道を歪め、直撃を逸らす。

それでも余波だけで地面が抉れる。

相方は、その炎の中を踏み込んだ。


迷いはない。

炎を裂くように、刀を振るう。


一閃。


鱗が割れ、血が飛ぶ。


ドラゴンが怒りの咆哮を上げ、前脚を叩きつける。だが、その動きはもう見切られていた。


「遅いのう」


相方が跳び、首元へ。


俺は魔法で空間を固定し、逃げ場を潰す。


「今だ」


相方の刀が、首の付け根に深く食い込む。

断ち切る音。


巨大な首が、地面に落ちた。


ドラゴンの身体が傾き、崩れ落ちる。

魔力が霧のように拡散し、空間が静まり返った。


終わりだった。


「……これで、ラスボスか」


「拍子抜けじゃな」


相方は刀を収め、軽く肩を回す。


 ドラゴンの亡骸は光となって消え、代わりに巨大な魔石だけが残った。

俺の自動回収魔法が、それを静かに回収する。


 《東京ダンジョン》

 《最下層到達》

 《攻略状態:完了》


「表示が出たか」


「なるほどのう。終わり、という訳ではないのじゃな」


相方は興味深そうに空間を見渡している。


周囲の景色は変わらない。

階層も、扉も、そのまま残っている。


ただ魔力の流れが、完全に落ち着いていた。


「ダンジョンそのものは健在。だが、もう最深部に守るものは無い」


「後続が来ても、意味が無いのじゃな」


「少なくとも、同じ存在は出てこないだろうな」


俺は魔法陣を展開する。


「帰るぞ。面倒な連中が動き出す前に」


「同意じゃ」


光に包まれる直前、相方が小さく笑った。


「……これは、また騒がしくなるのう」

本日はいいともが何故か見たくなった1日でした

もし「面白かった」「続き読みたい」と思ってもらえたら、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆→★★★★★)してもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!次の更新のやる気になります。

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