1話
異世界系って終着点が難しいですよね
世界は五年ほど前の大地震をきっかけに、ダンジョンという存在が現れた。
東京だけでも二ヶ所。他県のものを含めれば、日本にはすでに十数ヶ所のダンジョンが確認されている。
皮肉なことに、ダンジョン内に出現するモンスターから採取できる魔石には莫大な需要があった。
結果としてこの世界には、「冒険者」と呼ばれる人種が生まれ、第二のゴールドラッシュさながら、人々は日々ダンジョンへと潜っていく。
もっとも俺たちは、その金目当ての連中とは少し違う。
「なあ。なんで帰ってきてまで、俺らダンジョン潜ってんだ?」
「それはお主とわしが、平凡な日常で生きていける存在じゃないからじゃろう」
「身も蓋もねえな」
会話を交わしながらも、二人の足は止まらない。
通路の奥から、甲殻に覆われた魔物の群れが雪崩のように押し寄せてきた。
「来たぞ。数は多いな」
「多い方が楽しいじゃろう?」
次の瞬間、相方の足元が爆ぜた。
轟音とともに岩床が砕け、爆炎が通路を埋め尽くす。
「ちょっ、おま――!」
言い終わる前に、爆炎の中から相方が飛び出してきた。
燃え盛る炎を背負ったまま、刀を一閃。
銀の軌跡が空気を切り裂き、前列の魔物がまとめて上下に分断される。
肉片と血飛沫が壁に叩きつけられ、嫌な音を立てて転がった。
「うるさいのう。逃げ遅れる方が悪い」
「それを言うのは人としてどうなんだ」
俺もため息混じりに刀を構える。
地を蹴り、距離を詰める。
刃を振るうたび、首が飛び、胴が裂ける。
骨が砕け、血の匂いが鼻を刺す。
気づけば、通路は赤く塗り替えられていた。
「ふぅ……とりあえず、この辺りは間引いたな」
「大変じゃったな」
「主にお前がな」
足元には、数え切れないほどの魔物の死体。
原形を保っているものの方が少ない。
傍から見れば、どちらが怪物なのか分からない光景だ。
「いい歳だもんな、俺たちも」
「お主がそれを言うか? どちらも年齢は化け物みたいなものじゃろう」
「そういう自覚はしたくないんだけどな」
「事実じゃからな」
こいつとも長い付き合いだが、相変わらず姿はまったく変わっていない。
俺も人のことは言えないが、不老という人類の到達点に立っていると考えれば、悪くない気もする。
まあ、一生このままというのも、少し寂しいが。
「このダンジョンの最下層って、まだ誰も到達したことないんだよな?」
「わしとお主が、初めてになる予定じゃ」
「じゃあ、さっさとクリアして次に行くか?」
「わしはもっと強い奴と戦いたい」
「お前みたいなのが増えたら、世界が困る」
「それもそうじゃな」
俺たちは金のために戦っているわけじゃない。
強い敵を求めて、ただそれだけの理由でダンジョンに潜っている。
特に隣の相方は、ドがつくほどの戦闘狂だ。
今日だけで、三百体近い魔物を屠っている。
爆発させ、斬り裂き、粉砕しながら進むその姿は、
どう見ても英雄ではなく連続殺人犯候補第一位である。
気長に書いていきます
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