偏心
今日の金曜ドラマシリーズは黒姉を模したしろかえでが担当いたします! (^_-)-☆
大学時代の女友達から舞い込んで来た結婚式の招待状……
そこに書かれた新郎の名前は予想通り“あの人”だった。
やっぱりね! 分かっていた事だけど……
薄くため息をつきながら独り言ちる。
新郎は元々私と同中の男の子。
同じ高校へ入学し、しかも同じクラスになったのが縁で友達付き合いが始まった。
彼は私の事を『女子だけど気の置けない』友人としか思ってはいなかった様だけど……私は彼の事を“男の子”として意識していたので……彼が大ファンの有名ロックバンドのコンサートを二人で観に行った時などは……私の胸はドキドキしっぱなしだった。
新婦は大学時代のゼミ仲間だった。
決して飛び切りの美人では無いけれど……素直で可愛らしい性格は……教授や男の子から常に好感を得ていた。
そこがヒネた私とは違うところだった。
そして忘れもしない大学三年の夏……
彼の所属していたサークルが企画した“マジメな”研修旅行に彼女と一緒に参加して……彼と彼女は知り合った。
そこからは言わずもがなで……
この招待状へと至った訳だ。
同封されてある新郎新婦のご挨拶文の最後には新婦の可愛らしい文字で『私たちのキューピットになって下さったあなたに是非是非お越しいただきたいのです! どうか宜しくお願いします』と手書きされていた。
発作的に私は!!
その紙をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ入れようとしたけど……思い止まった。
それから深いため息をついて……返信はがきの『出席』へ丸を付ける為に机の引き出しを開け、『清水の舞台から飛び降りる』心持で買っておきながらしまい込んでしまった高級万年筆を探した。
でも、その手で探り当てたのは土産物の“面白鉛筆”
随分昔に……彼の香港旅行のお土産で貰ったものだ。
こんな物まで使えずに取って置くなんて……『私、“重症”なんだなあ』と今更ながら思い知らされた。
『もう! これを機会に使ってしまおう!』とガラガラ回る電動鉛筆削り器を押し入れから出して真新しいままだった鉛筆を挿し込んでみる。
ガリガリガリと軽快な音が止んで鉛筆を抜いたら……しっかり削れているのに、先っぽの片側が“皮被り”!
「あれっ?!」と鉛筆を確かめてみると……芯が真ん中では無く『偏芯』している。
これは何の『暗示』なのだろうか??
ヒネた私は彼への片想いを口に出す事無く……“皮被り”の男に挿された後、すぐに別れた。
こんな黒歴史の持つ私はこの鉛筆の様に……
今も『偏心』している。
おしまい
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