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5もふもふ、モンスター疑惑発生

 味なしハンバーガーを完食して、再びペットボトルを出す。今度はデカい2リットルを出した。とりあえず3本。


 ペットボトルの水はもうマスターしたな。かなり練度が上がっているのを感じる。キャップも綺麗な丸だ。


 上達を感じてにやけつつ、他に必要なものを考える。


「あとは、石鹸か。それから、タオルもいるよな。ドライヤーがあれば完璧だが、電気がない……。ポータル電源、出せるか?」


 目を閉じて、昔ネットショッピング中に見た形状を思い出そうとするが、どうにもぼやけてて思い出せない。


 こんなことなら、ありとあらゆる商品を見て記憶しておくべきだった。


 まぁ、異世界で記憶が役に立つことになるなんて、微塵も思っていなかったから仕方ないが。


 どうしようもないので、文明の技術は諦め、原始的に「タオルで拭く」を選択した。


「石鹸……石鹸、石鹸?」


 いや、よく考えたら、俺はボディソープを使っていた。固形石鹸なんて使ったことほとんどないぞ。


 そういや、俺が小学生のとき、水道に置かれていたのが、固形石鹸だったよな。思い出せ、石鹸の感触や泡立ち具合を!


 楕円形の乳白色をした石鹸。

 擦ると泡立ち、汚れが落ちる。

 基本情報を脳内にインプットしつつ、大きさや硬さもイメージしていく。


 今はそこまで大きくなくていいか。ミニ石鹸にしよう。そういうのがあるとテレビコマーシャルで見た気がする。


 ああ、そうだ。ペットに使っても大丈夫な、安心安全の無添加仕様にしよう。待てよ、石鹸ってなにでできてるんだ? いや、ダメだ。余計なことは考えるな、失敗する。


 うんうん唸りながら必死に絞り出した固形石鹸。


 ポンっと音がして、見た目はそれっぽい石鹸が手のひらの上に落ちてきた。


「上手くできたのか?」


 微妙な気がする。

 今さらだが、ペット用シャンプーにしたらよかったな。でも俺、ペット飼ったことないから具体的にわからないんだよな。


 ああ、なるほど、そういうことか。


 このスキル、記憶力と解析能力が必要な感じか。

 ペットボトルの練度が上がっていることから、何度も出して、こんな感じだったとピタッと嵌まった結果、完璧に近いものが出ている。


「どちらかというと、錬金術とかに近いのか?」


 レシピがあると簡単に出せる感じに近い。今は、俺の脳内レシピに頼り切っている。


 ま、なんにせよ、もふもふの洗浄だ。続けてタオルもイメージした。


 ふわふわで肌触りがよく、吸収性も高い……俺の家にあったタオルの新品。


 これは、よく使っていたからか、すぐに出た。

 灰色のバスタオル1枚。


「よし、こんなもんか。待たせて悪かった。洗うのはここでいいか?」


「きゅっ」


「水かけるが、驚くなよ。体を綺麗にするからなー」


 言葉を理解しているようなので、声をかけつつ、まず傷口がないかを確認。


 毛は汚れているが、傷は見当たらないな。治っていたのか? 脱水で死にかけていたのかもしれない。


 小さな体を簡単にチェックし、2リットルペットボトル一本を傾け、そっと体を濡らす。


 耳や目には入らないように気をつけて……。


 血が固まっているところは丁寧に湿らせ、軽く擦って水を染みこませる。


 それだけで少し汚れた落ちた。

 茶色くなっていると思っていたが、どうやら元の毛は白いようだ。ただ、首もとだけが、襟巻でもしているみたいに紅色をしている。


「……ん? いや、ちょっと待て。……羽?」


 背中に折りたたまれた羽のようなものがある。羽、そう、翼。鳥の羽のような。しいて言うなら、ゲームに登場したモンスターみたいな……。


「……おまえ、動物……じゃないのか?」


「きゅう?」


 小首をかわいらしく傾げる。

 ……いや、まぁいいか。かわいいしな。敵意はないし今のところ従順だし……。いや、大丈夫か?

 異世界の動物なのか?

 それとも、ここはモンスターがいるタイプの異世界かっ?


 内心ヒヤヒヤしつつ、固形石鹸に水をかけ、手のひらに擦りつける。手にある程度石鹸が移ったら、手のひらを擦り泡立てた。微妙な泡立ちの石鹸を、ふわふわな体に揉みこむ。


「おお、泡立つな。意外といい感じに出来てたか」


 失敗したかと思ったが、泡立ちはいい。汚れが落ちるを初期値に指定していたからか、しっかりと血の汚れも落ちていく。


 でもこれ、まさか指定してなかったら泡立つだけで汚れが落ちない石鹸になっていたのか?

 意外と面倒なスキルだな……。


 泡が茶色くなってきたので、いったん水で洗い流す。汚れが落ちて、白い毛並みが見えてきた。


 濡れているからスリムになっているが、目はくりっと大きく、頬には猫のようなヒゲが生えていて、背中の羽が、パタパタと小さくゆれている。


「おお……。おまえ、かなりの美猫……いや、猫じゃないな。羽があるからな。美モンスター……。……名前つけようか?」


「きゅっ!」


「きゅっきゅ鳴くからキュイ」


 安易か?

 もっとかわいい名前がいいか?

 いや、こいつはメスなのか?


「きゅう! きゅい!」


「気に入ったのか?」


 もう一度手に石鹸を擦りつけ、また毛を洗っていく。尻尾もわしゃわしゃと洗っていて気がついたが、驚くことに、尻尾の先端が雫のマークのようになっていた。


「……」


 こういう動物……だよな?


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