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21 木材加工の発展

 異世界に来てからというもの、俺の人生は「いかに文明を再現するか」というテーマで貫かれている。食料を確保し、保存庫を作り、ついには冷蔵機能付きの壺まで完成させた。


 ならば次に求められるのは何か?


 それは、より精密な道具の製作である。


 これまでの俺は、石を削ってナイフを作り、蔓を編んでロープを作り、木を組んでシェルターを作ってきた。しかし、ここへきてある問題にぶち当たった。


 ──木材が削れないのだ。


 いや、正確には「異世界の木材が、異様に加工しづらい」のだ。


 普通の木なら、削れば削ったなりに形が変わる。だが、この世界にはどういうわけか「削ると自己修復する木」や「刃を弾く木」などという、物理法則を無視したような材質が存在する。俺は自作のナイフや石の斧で挑んだが、結果は惨敗だった。


 ──自己修復する木は、削った瞬間に元通りになる。


 ──刃を弾く木は、そもそもナイフが入らない。


 「お前ら、木のくせに生意気だぞ……」


 俺は愚痴をこぼしながら、何度も試行錯誤を重ねた。火で炙れば柔らかくなるか? 水に浸せば加工しやすくなるか? 叩き割ることはできるか?


 結果、すべてダメだった。


 特に「刃を弾く木」に至っては、ナイフを突き立てた瞬間に弾き返されるという異常事態を引き起こした。


 「おいおい……これじゃまるでゴムじゃないか」


 だが、ここで諦める俺ではない。


 異世界には「特殊な素材」が存在する。以前、冷却効果を持つ黒い砂を見つけたように、何かしらの方法があるはずだ。


 そんなわけで、俺は新たな素材を求めて探索に出た。そして、川辺で妙な石を発見する。


 黒曜石のように鋭くはないが、叩くと微妙に振動する石だ。


 「……振動?」


 俺は試しにその石を小さく割り、木の表面に押し当ててみる。すると、驚くべきことに──


 微細な振動によって、木の表面がわずかに削れるではないか!


 「こ、これは……!」


 俺は即座に実験を始めた。この振動する石をノコギリの刃として使えれば、異世界の木材も加工できるのではないか?


 まずは、石を薄くスライスし、それを枝に固定する。普通のナイフではなく、「振動する刃」を作るのだ。そして、試しに自己修復する木を削ってみる。


 キュイイイ……!


 「……削れる!!」


 普通のナイフでは太刀打ちできなかった木が、じわじわと削れていく。しかも、この振動する刃を使うと、自己修復の速度が鈍る。おそらく、修復する前に木の組織を破壊するからだろう。


 ならば、刃を弾く木はどうだ?


 俺は慎重に振動する刃を当ててみる。すると──


 今までのナイフでは跳ね返された表面が、じわじわと削れていくではないか!


 「勝った……!」


 これで、俺は異世界の木材を自在に加工できるようになった。


 さっそく、俺はこの振動する刃を強化し、より扱いやすい「ノコギリ」にすることを決意した。刃を木の柄に固定し、力を加えやすい形にする。何度か試作を繰り返し、ついに完成したのが──


 異世界特製・振動ノコギリ(仮)


 さっそく試してみると、信じられないほどスムーズに木材が切れる。普通のノコギリでは苦戦する固い木も、まるでバターを切るようにスパスパ削れるのだ。


 「これなら……建築の幅が広がるぞ」


 これまでは「使える木材を探す」しかなかったが、これからは「どんな木材でも加工して使える」ようになる。


 振動ノコギリがあれば、もっと頑丈な家を作ることも、より精密な道具を作ることもできる。さらには、異世界の未知の木材を自由自在に組み合わせ、まったく新しい発明をすることすら可能だ。


 俺はワクワクしながら、次の計画を立て始めた。


 このノコギリを使えば、もっと丈夫な家具を作れるか? それとも、より頑丈な武器を作れるか? いや、いっそ──


 橋を作るのはどうだ?


 俺は遠くの川を眺めながら、次なる目標に思いを馳せた。


 今まで行けなかった対岸には、まだ見ぬ未知の資源があるかもしれない。異世界の探索を広げるためには、丈夫な橋が必要だ。


 「よし……次は橋だな」


 異世界の木材を自在に加工できるようになった俺は、新たな挑戦へと踏み出していく。

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