41話 ランク
俺たちは今街道を歩いている。
天気は良好。風も心地よい。
天国に来たみたいだ。
「ねぇハルト」
そんなことを考えているとリリアが話しかけてきた。
「ん?」
「クザートの森でのことなんだけどさ。オークロードをどうやって倒したの?」
「え?そうだなぁ。リリアが前自己流の剣術の技?みたいなの使ってたろ?」
「うん」
「それを参考にして俺も自己流で技を作ってみたんだ。そしたらまぁ、たおせたってわけよ」
「よくそんなことできたね。戦うだけでも大変だったろうに」
「まぁ溢れんばかりの才能のおかげだろうなっ!」
キモイポーズとドヤ顔で言う。
「はいはい」
軽くあしらわれた。なんやねん。
「なんだろう、あれ」
リリアが急に立ち止まり遠くを見つめている。
「どした?」
リリアの見ている方角を見たら遠方に塔みたいなのが見える。
「塔、かな?」
「多分。でもなんであんなところに?」
「さぁ」
「あぁ、あれは迷宮ですよ」
『迷宮?』
声が重なる。
「はい。あの迷宮は珍しい部類でして普通迷宮は地下に生成されるものですがあの迷宮は塔の形で生成されたのです」
「へぇ~。イレギュラーな迷宮ってわけだ」
「たしかあの迷宮のランクはSだったような」
「Sかぁ。俺たちにはまだまだいけないだろうな」
オークロード以上の強さの魔物がいるということだろう。
今の俺には到底勝てる相手ではない。
「そういえばハルト冒険者やハンターの一ランクの差ってしってる?」
「差?」
「うん。例えばオークロードは上A級でしょ?」
「え?あ、あぁ」
知らんけど。
「Sランクの魔物はAランクの魔物の10倍の強さなの」
「10倍!?」
「うん。だからランクを一ランク上げるのも大変なの」
「まじか」
冒険者という仕事も楽じゃなさそうだな。
「ソフィアちゃんは冒険者とかやってたの?」
「まぁ少しだけ」
「ランクはどのくらい?」
「Cです」
Cか。最低ランクの一つ上だな。
そういやランクで思い出したがSが一番上じゃないらしいな。
「Zってランクもあるって聞いたけど?」
「あーそれね。Zは大抵の人間は到達できない領域なの。冒険者ギルドにもないしね」
「そうなのか?」
「うん。Zってのはこの世界のどっかにいる魔王や龍族、それに七天皇。このくらいしかZに相当する存在は確認されていないの」
「へぇ~」
七天皇か。聞いたことがある。確か最初の村の鍛冶屋で。
龍族は聞いたことがない。龍の種族なのか?
「昔私が読んだ本にこう書いてあったの。かつて一騎当千と謳われたSランクの聖騎士が、その個体の『ため息』一つで肉の塵に変わった。Zという文字は、ランクではない。それは**『人類がこれ以上関わることを禁じる』という終止符だ。とね」
「いかにもこの世の理から外れた存在を言っているような文だな」
「そういう意味だろうからね」
「あと六天大聖もZだったはずです」
ずっと話を聞いていたソフィアが口を開く。
「そういえばそんなのもいましたね」
リリアが思い出したような仕草をする。
「六天大聖?なんじゃそりゃ」
「人族で初めてZランクに到達した者たちの名称です。確か全員半数以上は女性だと聞いています」
「女性でそこまで強くなれるのか?」
「おそらく」
ってことはリリアは俺より強くなる可能性があるってことか?怖いな。
そんな話をしながら一向は港町へと着々と進むのであった。
六天大聖・・・。それはこの世の理から外れ人族でありながら人族という存在を凌駕した存在。
1. 創世の大聖:マザー・エデン
司る理: 「生命」「増殖」
特徴: 全ての生物の母体となる魔力を持つ。彼女が歩いた跡には花が咲き乱れるが、その本質は「無制限な細胞増殖」という恐怖。敵を植物や肉塊に変えて、永遠に枯れない庭園の飾りに変えてしまう。
2. 審判の大聖:至高天のイストリア
司る理: 「法」「因果」
特徴: 天秤を携えた厳格な執行者。彼女の前で「嘘」や「敵意」を持つことは、そのまま死という結果を招く。彼女が放つ言葉は世界の法則を書き換える「断罪の言霊」となる。
3. 虚無の大聖:深淵のクシュリナ
司る理: 「忘却」「無」
特徴: 常に目を隠した少女の姿をしている。彼女に触れられた者は、痛みを感じる間もなく、自分が誰であったか、自分が存在していたという事実さえも世界から消し去られる。
4. 終焉の大聖:禍の妃・宵闇
司る理: 「腐敗」「崩壊」
特徴: 黒い和服のような装いをした、妖艶な美女。彼女の吐息は万物を風化させる毒霧。あの「生物兵器組織」ですら、彼女から採取した細胞の一部を「聖遺物」として崇めている。
5. 劫火の大聖:皇炎のイグニス
司る理: 「破壊」「再生」
特徴: 太陽の化身。彼の怒りは星の地殻を溶かし、文字通り世界を焼き直す。六天大聖の中で最も気性が荒く、戦闘に特化した個体。
6. 時空の大聖:クロノス・ヴァイアス
司る理: 「時間」「空間」
特徴: 少年のような外見だが、全知全能に近い。彼にとって、戦いはすでに「終わった結果」をなぞるだけの作業。Sランクの戦士が100年かけて放つ一撃も、彼にとっては止まった景色に過ぎない。
この六名は今もどこかでひっそりと暮らしている。中には好き勝手暴れている個体もいるようだが・・・




