4話 武器
とりあえずおっさんが言ってた村長の家に行ってみることにした。
「よっこいしょ」
木から立ち上がる。そういえばあの女の子はどうなったかな?
倉庫にむかって歩く。魔物にばれてなきゃいいけど。
倉庫の扉を開ける。真っ暗な部屋に太陽の光が入る。
女の子が角に座っていた。女の子に近寄る。
「魔物は倒したから外に一緒に行かない?」
女の子が顔をあげる。頬に涙の跡がある。泣いていたのだろう。
無理もない。母親が死んだのだから。
「私を殺してくれませんか?」
俺も昔死にたいと思ったことがある。だが、いざ死ぬ直前になると怖くてたまらない。
経験者だからよくわかる。実際に一回死んだからな。
「どうして殺してほしいの?」
女の子に問いかける。
「お母さんが死んでこれからどうすればいいかわからないし、お母さんがいない世界なんて生きてる意味がありません」
確かに親が死んだらとても悲しいし、生きてる意味がないと思うこともわからなくはない。
俺だって元の世界にかえって親に会いたい。だが悲しみや辛いことをのりこえていくのが人生だ。
「生きる意味はこれから見つけていけばいいさ」
女の子の頭をなでる。
「まずは君の名前をおしえてくれないか?」
やはり最初は名前からだ。
「クレアです」
「いい名前だね、お母さんにつけてもらったの?」
クレアがうなずく。
「生きる意味が分からないなら俺について来ればいいさ、もちろん君がいいならね。」
「いいんですか?」
クレアに手を差し伸べる。
「うん」
クレアが俺の手つかんで立つ。
「じゃあ私はあなたについていきます」
クレアは少し笑った。
「わかった、まずは俺を村長の家まで案内してくれないか?」
「わかりました」
少しは元気が出たようだ。思ったより早く立ち直ったな。いや、まだやせ我慢かもしれない。
俺が何とかしなくては。そう決心した。
倉庫を出て外に出る。クレアは眩しそうにしている。
ずっと暗い倉庫でうずくまっていたのだからまぶしいだろう。
村の広間に出た。噴水があって、その周りに店が噴水を囲むように並んでいる。
ところどころ家の壁が壊れていたり、壊れた破片がそこらへんに散らかっている。
広間の奥にまっすぐな道がある。その道の奥に長い階段が見える。
「あの階段の上の家が村長の家です」
思ったよりでかい家だ。階段を上るとでかい門があって、その奥に神社みたいな建物がある。
扉を開ける。そこには長方形の大きな部屋があって、その奥に村長らしき人物が高級そうな椅子にすわっている。
「おぉ、きてくれたかい」
そりゃ、来いって言われたからな。
「こちらが村長のエオレンド・グレイ・メーン様だ」
「君が町の魔物を倒すのを手伝ってくれたハルト君だね。私のことは気軽くエオレンドと呼んでくれ」
「ところでなぜ君がクレアを連れているのかね?」
エオレンドさんが問いかけてきた。
「ハルトさんが私を助けてくれたんです。でもお母さんが死んじゃって」
クレアの顔が暗くなる。
「リディアが死んだのか!?そうか、それは残念だった」
「ハルト君クレアを助けてくれてありがとう」
「いえ、たまたまその場面にいたので助けたまでです」
「そうかい」
村長がフッと笑う。
「私からも礼を言う」
おっさんがこっちに歩いてきた。
「私の名はヴィルカス。よろしく頼む」
おっさんの名はヴィルカスと言うらしい。
「こちらこそよろしくお願いします」
ヴィルカスさんと握手をする。
エオレンドさんにクレアのこと聞いとかないとな。
「エオレンドさん、クレアを僕に預けてくれませんか?」
「クレアをかい?」
「はい」
「クレアはいいのかい?」
「はい、私はハルトさんについていきたいです」
「そうかい。クレアがいいならいいよ」
「ありがとうございます!」
「ただしクレアをちゃんと守ってあげるんだよ」
「はい!」
そういうことでクレアが俺の仲間になった。仲間でいいのかな?
「そういえば君、村のダンジョンにいたんだろ?」
「はい、それがなにか?」
「どうしてダンジョンにいたんだい?」
「それが僕にもわからないんです」
「わからないのかい?」
「はい」
「そうか・・・とこれで君は何級だい?」
「級?」
「知らないのかい?」
エオレンドさんとヴィルカスさんが驚いたように顔を見合わせる。
「ヴィルカス、お前の魔法で調べてみろ」
「はい」
ヴィルカスさんが俺の頭に手を置いて呪文?を唱える。
「戦いの神よ!このもののクラス(級)をおしえよ!クラスサーチ!」
地面に魔法陣が現れて俺の体を包み込む。
「君の級は・・・Dだね」
「Dか、一番下の級だね」
「ちなみに級はDからZまである。D・C.・B・A・S・そしてZの順番だ」
「ちなみにヴィルカスはS級だ」
S級!とんでもなく強いおっさんだなぁ~と思ったらやっぱりとんでもない人だった。
っていうか俺の級一番下て、低すぎないか?さすが最初の雑魚敵ゴブリンにボコボコにされた男!
「ハルト君の剣だいぶ傷ついてるね」
ヴィルカスさんが剣を見る。
「だいぶ魔物と打ち合いましたから」
「新しい剣、もしくはその剣を修理したいなら町の鍛冶屋のソンブルクにいってごらん」
「ソンブルク?」
不思議そうに俺が聞くと一瞬驚いた顔をしたが悟ったのかすぐに説明してくれた。
「この村一番の鍛冶師さ。素材とゴールドさえあればどんな武器でも作ってもらえるよ」
どんな武器でもか・・・刀とかほしいかも。
素材なら何とかなりそうだけど金はどうしようかなぁ。
「あの、僕お金ないんですけど」
クレアが驚いた顔をしてこっちを見ている。お金を持っているとでも思ったのだろうか。
ここに来たばかりでロクな知識も無い言うのに金を持っているわけがないだろう。
「ゴールドのことなら心配ない」
「魔物を討伐するのを手伝ってくれたしなによりクレアを守ってくれた。その働きに応じたゴールドを君に渡そう」
「本当ですか!?」
「もちろん。君は命がけで戦ってくれたからね」
正直助かった。この世界にきてお金を稼げるか不安に思っていたところだっったからしばらくは心配ないな。
それにクレアもいるしお金は何とかしなくては。
「1000000ゴールドでいいかな?」
「1000000!?」
「それくらいが妥当だと思ってね」
意外とこの村の村長は金持ちのようだ。まぁ、村長だから当たり前なのかもしれない。
「じゃあ、1000000ゴールドでお願いします」
「わかった。ヴィルカス!」
「はっ!」
ヴィルカスさんが部屋の奥へ入っていった。数分後ヴィルカスさんが大きい箱をもってきた。
そして俺の目の前にくる。
「ハルトくん、収納魔法は使えるかい?」
収納魔法?ポーチのことか?
「え、えーと、ポーチ!」
俺の前に最初にダンジョンで見た丸い光が浮かび上がった。
「これですよね?」
「よかった、使えなかったらこの量のゴールドをどうやって運ぶんだって話になるからね」
「そのまま開いといてくれ」
ヴィルカスさんが俺の開いたポーチの中にお金を放り込む。
2分くらいで全部入りきった。
「そのゴールドで好きなものを買うといい」
エオレンドさんが笑っていった。
よし!新しい武器を買うぞ!
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