30話 休憩
ミューゲルニア王国から出発してもう5時間が過ぎようとしていた。
「つっかれた~」
リリアが溜息をつきながら言う。
「溜息ばっかしてるといつまでたっても胸は大きくならないぞ」
「なっ!何言ってるのよ。変態!。まぁ、小さいけどさ・・・」
最後のは小声で言った。もちろんハルトに聞こえないようにだ。
「ハルト君?女の子にそういったことを言うべきではないですよ?」
ソフィアがすこし注意をするように言う。確かに。セクハラに分類されるかもしれないしな。
「ごめん」
「まぁ、いいけどさ・・・」
よかった。許してもらえたようだ。にしても本当に疲れた。こんなに歩いたのは初めてだ。さすがに休憩したいな。
「ソフィアちゃんは疲れてない?」
「はい。歩くのは慣れていますから」
「そうすか・・・」
リリアと信じられない!と視線で会話した。
「でもさ一回休まない?」
「そうですね。もすぐ日が暮れますし」
日が暮れる・・・。ん?俺ら野宿すんの?テントないよ?
「でもどうやって夜をこすの?」
「たしかに・・・。どうしましょう」
「あぁ、それなら安心して」
リリアがズボンに手を突っ込む。かなり際どい場所を探る。
「あ、あった」
そして何やら小さいカプセル状のものをとしだした。見覚えがあるな。あぁ、クレアが使ってたやつか。あのドラ〇ン〇ールみたいなやつね。
「それっ」
カプセルをなげ地面に触れると小屋ぐらいの大きさの建物がボンッと音を立てて出来た。
「おぉ~」
いつ見てもすごい。てかなんで持ってんだ?
「つ~かお前どこに隠してんだよ・・・」
「え?パンツの中だけど?」
「・・・・・」
「そ、そんな目で見ないでよ」
「なぁ、リリア。仮にもお前は年頃の女の子なんだぞ?もっと羞恥心とかはないのか?」
「いや、さすがにあるよ。裸見られたら恥ずかしいし」
「じゃあなんでパンツはいいんだよ」
「別に隠してるだけならいいじゃん」
「まぁ、そうかも・・・」
「あ~、もしかして興奮しちゃったとか?」
リリアがいたずらに笑う。なんだこいつ。
「なわけあるか。流石に生でみたら興奮するが」
「この会話やめよ。なんか生々しい」
「そうだな」
隣からソフィアの刺さるような視線を感じたのでおとなしくやめることにした。
「じゃあ入ろうか」
そうして小屋に入った。内装は思ってたより広い。ハ〇ーポッ〇ーのテントみたいなものだろうか。
入ってすぐ右にトイレ。その先にキッチンと狭いリビング。そしてその反対側に寝室といった感じだ。
「ちなみにこの家は二人用だから」
「え?」
「だからどっちかが一緒に寝ないといけないってわけ」
「じゃあリリアとソフィアちゃんが一緒に寝て俺は一人で優雅に寝るとするか」
「ちょ、なんでハルトが一人用で寝るのよ」
「あ?だって俺が一緒に寝るわけにもいかないだろ?」
「そうかもしれないけど私だって一人でゆっくり寝たいんだけど」
「じゃあジャンケンだな」
「そうね。それが公平だもんね」
「じゃんけんって何ですか?」
そっか。知らないよな。あっちの世界の文化だし。そして天才の俺が超わかりやすいように説明してやった。
「なるほど。わかりました」
「じゃあいくわよ!じゃーんけーんポン!」
リリアがグー。俺がパー。ソフィアもパー。
「あぁ~!負けた」
「はい。じゃあお前二人用決定」
「くっそ~」
「じゃあ、ソフィアちゃん。じゃーんけーんポン!」
ソフィアがグー。俺がチョキ。
「なっ!負けただと~!?」
「やった勝ちました」
「ちょっと待って。そしたら私とハルトが一緒に寝ることになるじゃない」
「たしかに・・・」
「でも一人用ベットは譲りませんよ?」
ソフィアが笑う。その目の奥に何かを感じたような気がするが気のせいだろう・・・。
「まじ?」
「はい」
「まぁ、いいか」
「いいの!?」
「どうこういっても負けは負けだしな」
「そうだけど・・・。でも優しくしてね?」
「何をだよ!?」
「ふふっ。冗談だよ」
「ったく」
「じゃあご飯にしようか」
「そうだな。って飯あんの?」
「うん。非常食用の肉があるよ」
あ~、水分取られるやつだ。まぁ、食えるだけましか。
そうしてご飯を「乾燥した肉」を貪った。
「あのお二人とも少しいいですか?」
「なに?」
「なんでしょう」
リリアはなぜかへりくだった言い方だった。
「港町に行くと言いましたがその道中に敵に遭遇しないという可能性もないわけではありません。港町に行くにはクザートの森をぬけないといけません。ですがその森にはミノタウロスやトロール。オークロードが生息しています。はっきり言って今の私たちに勝てるような相手ではありません。なので3人で3日間このあたりで特訓するのはどうでしょうか?」
そんな魔物出てくんの?行きたくねぇ~。けどレイグルを殺すためには必要か。
「そうだね。そうしようか」
「いいけどとりま今日は寝よ~。疲れた。夜にハルトと忙しいことだし早く寝よ」
「忙しくねぇよ。さっさと寝るわ」
「わかってるよ。ちょっとしたジョークじゃん。ジョーク」
「けどハルト君本当に手は出さないでくださいね?」
「当り前。リリアとなんかするもんか」
「ちょっと!それはひどくない?」
「ははは」
「クスッ」
「二人とも笑ってんじゃないわよ~」
そうしてよる飯タイムが終わった。
「んじゃ、寝ますか」
「さんせ~い。もうつっかれた」
そして寝室へと向かった。寝室も意外と広い。窮屈な思いはしなくてよさそうだ。寝るとき以外は・・・。
布団に入る。まぁ、意外と寝やすいかもしれない。俺ん家のベットぐらいだ。
「じゃあおやすみ」
リリアが電気を消しベットに入ってくる。
「ねぇねぇ」
俺の背中をつついてくる。
「ん?」
「ハルトってさ、好きなことかいたの?」
「またその話か」
「いいじゃん。せっかく一緒に寝てるんだし恋バナしようよ」
「さっき疲れたとか言ってたのは誰かな」
「恋バナは別腹なの」
「なんじゃそりゃ」
「いいから教えてよ~」
「好きな子はいなかった。そういうことにあまり興味がなかったしな」
「うっそ~、絶対いたでしょ」
「まじでいない」
「本当?」
「あぁ」
「ふ~ん」
「お前こそどうなんだよ」
「え?私」
「あぁ。俺に言わせたんだからお前も言え」
「私もいなかったかな・・・。それどころじゃなかったし・・・」
リリアの声のトーンが少し下がる。何かあったのだろうか。余計な詮索はすまい。
「そっか・・・」
あえてそっけなく返事をする。
「ねぇ、襲わないの?」
「はぁ?」
「私、したことなくてさ。ちょっと興味あるんだよね」
「そうなん?」
「うん」
暗くてよく見えないが恥ずかしそうにしているのだけはわかった。
「けどなんで俺なんだよ」
「ハルトしかいないじゃん。男」
「そうだが俺にお前の初めてを奪う気はないしその権利もない」
「私は別にいいけど?」
「なぁ、疲れてんだよ」
「どっかで聞いた言葉ね・・・」
「冗談はさておきどしたん?話聞こか?」
「いや、いい。変なこと言ってごめん。おやすみ」
「あぁ。おやすみ」
そうして眠りについた。




