24話 急襲
クレア視点
ハルトさん大丈夫かな。ミリカさんが言うには急に消えたらしいけど・・・。もしかして、いや、そういうことを考えるのはよそう。
「おいミリカ。たしかこの街道を進んだ先に村があったよな」
「そうね、クエム村があったはずよ」
「村があるんですか?」
「あぁ、クエム村は半ば海に面しているから魚介類の産地でもあるんだ。よくリディアもクエム村から魚を買っていたんだ」
魚・・・か。私の村は山奥にあったから商人なんてこないし基本的にお肉と山菜、果物が主食だったからね。
「村に行ったら魚は食べれるんですか?」
「えぇ、食べれるわよ?クレアちゃんも興味ある?」
「はい」
「あそこの魚料理美味しいのよねぇ~」
ミリカがほっぺに手を当てて思い出すしぐさをする。
「そうなんですね。楽しみです」
「あの・・・、お二人はリディアでのことは気にしていないんですか?」
聞くべきではないのかもしれないけど気になるから聞くことにした。
「気にしてないって言ったらうそになるけど気にしても仕方ないからね。それに私はあの魔術を誰が使ったのかが気になるわ」
「そうだな、あの魔術はいったい誰が・・・。凄まじい威力だったからな・・・」
確かに一撃で王都を崩壊させるほどの魔術。七天皇という可能性もあるかも・・・。
そして街道を歩くこと20分後・・・
「見えてきたわね」
前を見ると村の姿がうっすらだが見えてきた。確かに海に面している。
「あぁ、磯のにおいがする」
磯?何だろう。この少し臭いにおいかな。鼻をクンクンする。
「・・・・」
ヴィンダーさんが険しい表情で街道の右側にある森を睨んでいた。何だろう?
「ミリカ!」
【マジックフィールド!】
ミリカがマジックフィールドを展開して森のほうから飛んできたものを防いだ。
「え?」
なに?何が起こったの?ミリカさんは森のほうを睨み私を抱き寄せた。ヴィンダーさんも剣を抜いている。
「おいおい、今のを防ぐとかまじかよ」
森の方から男が出てきた。冷酷な笑みを浮かべていてさっきとばしたのであろうナイフを手に持っていた。
「何者だ!」
ヴィンダーさんが剣を構え男に問う。
「俺か?名乗るほどの者ではないが強いて言うなら、殺し屋ってとこかなっ!」
いきなり手に持っていたナイフを投げる。だがヴィンダーがそれをすべて剣で弾く。
「ちっ」
男は空中に飛んだ。
「敵の前で空中に飛ぶとは愚かね!」
ミリカさんが槍のような土塊を作り男に向かって飛ばす。
「おっと」
男は空中で難なく土塊をかわし腰辺りにあった短剣を抜きヴィンダーに斬りかかる。ヴィンダーもそれを受け止め反撃する。数秒二人は切り結ぶように斬り合う。男は後ろに飛び構える。
「やるなぁ、簡単に殺せるかと思ったが簡単にはいかねぇかもな」
誰なの?なんで私たちに襲い掛かってきたの?ヴィンダーさん・・・。
「ミリカ、クレアちゃんを連れて逃げててくれ」
「わかったわ。でもヴィンダー、死なないでね」
「あぁ」
そして私とミリカさんは転移した。
・・・
ヴィンダー視点
さて、ミリカもクレアちゃんも逃がせた。あとはこいつを倒すだけだ。
「ヴィンダーとかって言ったか?」
男が構えを解きヴィンダーに問いかける。
「あぁ」
「お前強ぇな。そうだ、お前も俺らのチームに入らないか?ボスも強いやつは歓迎だぜ?」
「チームとは殺し屋の集団のことか?」
「あぁ」
最近王都付近の街道で殺人が何度もあったと聞いたがこいつらの仕業なのか?
「断る。私は生憎殺しに快感を覚えないのでね」
「そうか~。残念。じゃあ、死ね!」
男はヴィンダーに向かって走り出す。急に身を屈めヴィンダーの腹あたりに短剣を突き出す。ヴィンダーは急な攻撃にもうろたえず冷静に剣ではじいた。
くそ、ドラゴンやゴブリンとの戦いでただでさえ消耗しいているのに、勝てるか・・・いや、勝たなくてもいい。隙をついて逃げる。
またもや男が突っ込んでくる。次は私から斬りかかる!男に向かって剣を振る。男は体をひねり剣を避け短剣で反撃をする。だがヴィンダーもそれを剣で弾き反撃をする。しばらく二人は攻防を繰り広げた。二人の体に傷が出来てくる。男がヴィンダーの腹に手を当てる。
【サンダーショック!】
次の瞬間腹から体中に痺れる感覚が襲う。
「ガァッ」
動けない。痺れで剣を落とす。
「おらよ!」
男が動けないヴィンダーを蹴る。
「カハッ」
口から血が出る。蹴られた衝撃でヴィンダーはぶっ飛ばされる。
「そろそろ終わりかぁ?」
男がゆっくりとヴィンダーに向かって歩き出す。まずいな、動けない。剣も落としてしまったしな。くそ、こんなところで・・・。男の背後に転移門が開く。
【ブリザード!】
転移門から出てきたミリカが男の背後から魔術を放つ。男の体はミリカの魔術で凍っていく。
「なっ」
男は驚いた表情のまま凍った。
「大丈夫?とりあえず治癒魔術かけるわね。【ヒール】」
たちまち痺れていた体は動くようになり痛みも引いていく。
「ありがとう。危なかった」
「で、あいつは何だったの?」
「わからない。だが殺し屋の集団の一員らしい」
「殺し屋の集団ね、じゃあここで殺しとく?」
確かにこの男は危険だ。ここで逃がしたらこの先何人殺されるかわからない。
「そうだな・・・」
【エクスプロージョン】
凍った男が爆発する。爆発した後はクレーターしか残っておらず男の残骸などは残っていなかった。
「クレアちゃんは無事なのか?」
「えぇ、先に村に避難させといたわ」
「ありがとう。今回も助けられた」
「いいのよ。さぁ、じゃあクレアちゃんも待ってることだし村に行きましょう」
「あぁ」
ヴィンダーとミリカは村に転移した。




