23話 パンデミック
ん?ここは?俺はゆっくりと目を開け目覚める。
「ハルト様!」
ソフィアが俺を揺さぶりながら叫ぶ。俺はベットの上に寝ているようだ。
「ソフィアちゃん、ここは?」
「医療室です。ハルト様が急に倒れたからいそいでレイグルに運んでもらったんです」
レイグル?誰だそれ。あぁ、あの王の隣に立ってたやつか?まぁいいや。今はそれよりも王国の状況を把握しないとな。
「いま王国はどうなってる?」
「ハルト様が倒してくれた怪物?が城内にたくさんいるんです。城内だけじゃなく王国全体に怪物が増え始めているようで・・・」
悲しそうな顔をして俯く。王国全体に?結構事態は深刻なようだ。
「ソフィアちゃん、その怪物は人を噛んだりしていないか?」
「はい。噛んでます。そして噛まれた人も怪物になっています」
やっぱりか。でもなんで急に?ソフィアちゃんがいってた事件と関係が?
「ハルト様、今この城は私たちがいる最上階以外怪物に占拠されました」
まじか。クレアたちの安否を確認しに王都に行こうと思ってたのに・・・。とんだ災難だな。
「うっ」
起き上がろうとしたらめまいがした。魔術を使いすぎたかな?魔術で身体強化すれば戦えると思っていたけどそんな簡単じゃないな。俺自身の戦闘能力も上げないとな。
「無理しないでください」
ソフィアが心配そうな顔でハルトを見つめる。そうだな、しばらく休むか。体の力を抜きべっとに横たわる。しかしどうしたものかな。この城から、いや、この王国からどうやって脱出するか考えないと。
「他のみんなはどうしてる?」
「お父様は下の階に兵を何名か派遣して様子を見させています。帰ってきてないですけど・・・。それとお父様と側近の人たちで作戦会議?をしているそうです」
そうなのか。俺が気絶している間に何が・・・。それにこういうパンデミックには裏に何者かがいるはずなんだ。そいつさえ見つけれれば。なぜこんなことを思い浮かんだかはわからない。まぁ神が知らせてくれているのかもしれない。
「ハルト様、先ほどの魔術は何だったのですか?」
う~んどうやって説明したらいいものか。
「俺は普通とは魔術の発動条件が違うんだ。剣を通してしか魔術を使えないんだよ」
「だから剣から魔術が発動していたのですね。身体強化魔法をかける時も剣からハルトさんに魔力が流れてました」
へぇ~そうなのか。俺には剣に魔力を吸われる感覚しかしないからな。ん?剣から俺に魔力が流れる?だったらなぜ俺は今こうして魔力ギレみたいになってるんだ?もしかしたら剣に想像した魔術のイメージを剣に送るときに俺の魔力を一緒に剣に送りその魔力で魔術を発動するっていうプロセスなのかもしれない。
「でもソフィアちゃん、なんで魔力が剣から俺に流れているってわかったの?」
「王族は魔術を可視化出来るんです。だから魔力が見えるんです」
そんな能力がるのか王族は。まぁ、ありえんこともないか。
「ハルト様、これからどうします?」
「どうするってソフィアちゃんのお父さんに任せるしかないんじゃない?」
「そうですね・・・」
なぜか悲しそうな顔をした。え?俺なんかいらんこと言ったかな。
そうして数日が過ぎた。ゾンビに侵入されることもなく比較的安全な数日だった。その間に俺はゆっくり休み魔力を回復し魔術の練習や魔術なしでも戦えるように特訓をしていた。王の護衛であるレイグルさんに特訓をしてもらった。王やレイグルさんにも俺の魔術について説明してなんとか警戒はとけた。レイグルさんは結構凄腕の剣士のようだ。身体強化魔法をかけてもはがたたなかった。レイグルさんからいろいろとアドバイスをもらいつつ2~3日特訓した。最初は強面だから緊張していたが意外と面倒見のいいひとで優しかった。ちなみにレイグルさんと特訓できたのはソフィアのおかげだ。
「よしっ!これで多少は戦えるようになったぞ!」
「うむ。ハルト、貴様はなかなか筋がいいぞ」
「ありがとうございます」
「もう俺が教えることはあまりないだろう。だが慢心せずにこれからも努力しろ」
「はい!」
レイグルさんは踵を返し去っていった。俺は数日でレイグルさんとまともに斬り合えるぐらいには成長した。自分でもこんな短時間でここまで成長できるとは思ってもみなかった。意外と剣の才能はあるのかもしれない。レイグルさんに教えてもらった剣術と魔術を組み合わせることで新しい技を習得できた。
その晩俺は王に呼び出された。ギィ、扉を開ける。
「何か用ですか?」
王に問う。
「あぁ、お前にも城からの脱出作戦に協力してもらいたくてな」
「脱出作戦・・・ですか」
「あぁ、この城にいつまでもとどまっていてもらちがあかないのでな。それに食料も残り少ない。このままだと味方同士でも暴動が起きかねん」
脱出作戦か・・・。ないな、協力しても俺にメリットがない。一見大勢で協力して脱出したほうが安全に見えるかもしれないがそれは違う。大勢で移動すれば必ずなにか問題が起きる。作戦を練ってもそれが必ずうまくいくという保証はない。それだったら一人で脱出したほうがましだ。まぁ、こういう考えのせいで生前はボッチだったんだが・・・。
「お断りします。僕は一人で脱出します」
王とその側近たちに睨まれた。だが気にしない。こういう視線は慣れている。
「わかった。こちらも強要するつもりはないからな」
よかった。話が通る人で。レイグルさんがこっちを見ていた。
「ハルトよ、一人だと行くなど自殺行為に等しいと思うが・・・」
「大丈夫です。レイグルさんに教えてもらった技術があれば生き残れます」
「そうか」
レイグルはほほ笑んだ。
「だが気をつけろよ。奴らは前にお前が戦ったやつよりも強くなっている」
ん?強くなってる?それはちょっとやばいかもしれない。1.2体なら勝てるかもしれんが大勢相手するんだったら厳しいかもしれない。逃げればいいんだが。
「それってどのくらいですか?」
「そうだな・・・ゾンビ3体で俺に勝てるかどうか」
ゾンビ3体で?無理無理、そんなの絶対に無理だ。
「やっぱり俺も一緒に行きます!」
「そ、そうか?わかった」
王が少し戸惑いながらも了承してくれた。気を取り直して脱出作戦会議だ。




