19話 王都の危機
ヴィンダー視点
まずいことになった。王都の第三防壁が壊され王都中心にある領主の部屋に向かって魔物が総移動している。なぜ魔物が一致団結して同じ方向に進んでいるのか。そもそも魔物は集団にはならないはず。一体一体の強さが同じランクの冒険者やハンターとあまり変わらないため魔物は人を脅威と思っていなかった。だったらなぜ集団で行動しているのか。それにミッシェル村でも魔物の集団が襲ってきたという報告があった。それとなにか関係があるのか?いやそれよりもまず魔物の討伐が優先だ。とにかくはやく城門へ!ヴィンダーは城の6階から窓を突き破って飛び降りた。そして地面に衝突する前に風魔法を地面に放ち帰ってきた風で落下の衝撃を和らげた。そして再び走り出す。家の屋根に飛び乗って城門までの道のりをショートカットしつつとにかく走った。そして城門が見えてきた。
「これは」
オークやゴブリンそして数年姿を現さなかったトロールもいた。その数はゆうに100を超えるだろう。そして何より城門を破壊したのであろう魔物・・・ドラゴンまでもが魔物の集団の上を飛び炎のブレスをどこそこに放っている。
「まずい!早く止めなければ」
ドラゴンの推奨討伐ランクはS級以上。私一人で何とか対処できる相手だ。ドラゴンだけならばまだ勝機もあるがほかの魔物の数が多すぎる。私だけじゃ無理だ。冒険者ギルドにA級以上の冒険者を至急集めさせなければ。とにかくまずは足止めだ。こんなに被害が出ているのだからギルドもきずいて冒険者たちを加勢してくれるだろう。剣を抜き魔術を唱える。
【わが身に万力の力を!アーム・ストロング】
そしてヴィンダーは再び走り出す。
「まずはドラゴンを始末しなくては!」
ドラゴンに向かって一直線に走る。ヴィンダーは風魔法が得意なので無詠唱で使うことができる。ドラゴンの近くにまで近づいたら上に飛びあがる!
「くらえ!【ウインドカッター】」
風の刃が剣から無数に放たれる。その刃はドラゴンに向かって飛んで行く。刃はドラゴンの皮膚を切り刻んだ。だがまだ浅い。
「やはりこのくらいでは効かんか!」
ドラゴンがこちらを向き尻尾をヴィンダーに向かって振る。とっさに剣で受けたものの空中での受けなのであまりいなしきれなかった。
「くっ」
ヴィンダーは思いっきりぶっ飛ばされる。まずい!このままじゃ衝突の衝撃で死にかねん。とにかくガードを。
【ウインドシールド】
風がヴィンダーの体を纏う。本来この魔術は攻撃を受けるためのものなのがヴィンダーは自らの使い方を編み出していた。それは風を纏い衝撃を風で受けるというものだ。ヴィンダーは本当は無詠唱で風魔法を使えるのだが魔術の核となるワードを唱えたほうが威力はアップする。それに核のワードだけでよいので詠唱時間が大幅に減少され威力も上がる。そして家の壁にぶち当たる。
ドゴォン。物凄い騒音がした。なにせ音速に近い速度で壁にぶち当たるのだから当然ではあるが。
「かはっ」
血を吐く。やはり全部は受けれなかったか。だが休んでいる暇はない。すぐに立ち上がり足に力を穴が開いた壁の向こうに見えるドラゴンに向かって飛び上がる!ドラゴンが口を開けブレスを吐こうとしている。
「そうはさせるか!【ウインドソード】」
剣に風が纏わる。そしてブレスを放とうとしているドラゴン口に向かって空中で身をひねり風で足場を作ってそれを踏んで飛び込む!
「くらえ!」
ドラゴンの口に何度も切り刻む。そして再び風で足場を作り飛び上がる。
「どうだっ!」
ドラゴンはよろめく。少しは効いたようだ。だがまだ致命傷ではない。ここからが正念場だ。
・・・
クレア視点
ミリカさんの手をつかみどこかに転移した。目を開ける。見下ろすような形で王都が見えた。多分ここはどこかの丘だろう。
「ここは?」
「私のお気に入りの場所よ。そんなことより王都は思ったより深刻な状態のようね」
王都の南側のほうから煙が上がっていてここからでも見えるほど周囲の家や建物が破壊されている。
「いったいこれは・・・」
なんで急に魔物が攻めてきたの?私の村でもそうだったけどなぜ魔物が集団で行動しているの?やっぱりなにか異変が起きているのかも。ドゴォン。なのにか音が聞こえてきた。おそらく戦っているのだろう。わたしもなにかしなくては。ここでただ見ているわけにはいかない。
「ミリカさん。私たちも王都に戻り戦いましょう」
「え?あぶないわよ。私が行ってくるからクレアちゃんはここにいて」
「そんなわけにはいきません。私だって魔術の特訓をして少しは強くなりました。だから足手まといにはならないはずです。だから私も行かせてください」
ミリカが顎に手を当て迷うようなそぶりを見せる。
「そこまで言うならつれていくけど危なくなったらすぐに撤退するのよ?」
「はい!」
ミリカさんが少し笑い顔を引き締める。
「じゃあ、行きましょうか」
またミリカさんの手を握り再び転移する。
・・・
再びヴィンダー視点
攻撃をいなし相手の隙を作りできた隙に攻撃を叩き込む。これをなんども繰り返す。たまに反応できずに攻撃が直撃し意識を失いかけたが何とか持ちこたえた。相手もかなり弱ってきている。
「もうすぐか。たたみかけ」
言いかけた途中急にゴブリンがこっちに襲い掛かってきた。
「!?ゴブリンか」
ゴブリンの攻撃を受ける。受けれたを思ったが受けれていなかったようで吹き飛ばされる。
「ぐっ」
何度も地面を転がりそのたびに受け身をとりながら勢いを緩めていった。
「かはっ」
血を吐く。おかしい。ゴブリンがこんなに強いわけない。私が弱っているのか?いやそうだとしてもゴブリンの強さじゃない。攻撃が重すぎる。剣を地面に刺し力を入れて立ち上がる。
「!?」
立ち上がった瞬間目の前にこん棒があった。とっさに剣で受け止めたものの再び吹き飛ばされる。すぐに立ち上がり戦闘態勢に入る。やはりこいつは普通のゴブリンじゃない。よく見ると目が赤黒く光っていて体は普通は緑だがやや黄色がかっている。猛スピードでゴブリンこちらに走ってくる。そしてすぐに目の前まできた。もうすぐでドラゴンを倒せたというのにとんだ邪魔が入ったものだ。そしてゴブリンがこん棒で殴りかかってくる。
【ウインドシールド】
ゴブリンのこん棒を風の盾で受けその間に剣で切りかかる。切ったと思ったがゴブリンが身をひねりかわす。
「これは厳しい戦いになるな」
ヴィンダーは剣に力をこめ警戒する。再びゴブリンがこちらにとびかかる。動体視力がゴブリンの動きについていけないのかゴブリンの残像が見える。こちらもそろそろ切り札を使わないとこちらがやられそうだな。そして全魔力を集中して唱える。
【フルオートウインドコンディネイション!】
説明しよう!フルオートウインドコンディネイションとは「略してHUK」全魔力を消費する代わりに今までヴィンダーが自分でその場に応じた風魔法を使っていたのをすべてフルオートで行うという魔術だ。これはヴィンダーが風魔法の才能があるとわかりたゆまぬ努力の末たどり着いた奥義である。〈ちなみに魔力がマックスの時に使えばめっちゃ強いよ>
「これを使うのはいつぶりかな」
強者感溢れる言葉を吐く。そして構える。コブリンも警戒した様子を見せ双方構える。そして同時に相手にとびかかる。その速さは互角にも思えたが少しヴィンダーのほうが早かった。
「あまい!!」
ゴブリンの胴体に剣を二三撃いれる。だがそのうち二回はこん棒で受け止められた。HUKの効果で素早さ上昇しているにも関わらず受け止められたのだ。
「奥義を使ってもまだ互角か」
ヴィンダーが苦い表情になる。だがやるしかない。ただでさえこいつのせいで魔物たちの足止めができていないのにこんなところでやられるわけにはいかない。そして双方再びとびかかる。こん棒をいなし反撃逆に剣をよけられ反撃される。油断したら即死ぬような戦いを繰り広げる。そして二人はなんども剣「こん棒」をかわし切り結んでいく。ゴブリンのこん棒をヴィンダー真っ二つに切る!
「うぎゃ?」
ゴブリンが驚いたような声を上げすぐさま攻撃をよけようとする。だがその隙をヴィンダーは見逃さない。剣をゴブリンののど元に刺す。相手がひるんだ隙にゴブリンを切り刻む!
「うおぉーーー」
斬る斬る斬る!そしてゴブリンは肉片にあった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
さすがに応えたな。これからドラゴンとの戦いがあるのに。くそ。余計な体力を使った。この状態でドラゴンに勝てるのか?いや、やるしかない。
「ちょっとヴィンダー。無理しすぎよ」
上からミリカの声がした。ミリカか!?来てくれたか。
「ちょっと手ごわい敵に遭遇したものでね」
「そのようね」
ミリカがヴィンダーの傷を見て頷く。ミリカが地上に降りる。
「クレアちゃんは非難させたかい?」
「一応一度は非難したんだけどね?私も戦うっていって聞かないからしょうがなく連れてきたわ」
「そうか・・・今はどこにいるんだ?」
「多分もうすぐ来るわよ」
上に転移門が開きそこからクレアが出てくる。
「ヴィンダーさん。大丈夫ですか?」
心配そうにクレアが尋ねる。
「あぁ、なんとかね」
すこしほほ笑む。だが思ったよりダメージが大きいようだ。
「私が治癒してあげるわ」
ミリカが治癒の魔術を使ってくれた。たちまち傷はいえ体力も回復する。
「やはりミリカの治癒魔術はすごいな。これでまた戦えるよ」
「あまり無理しちゃだめよ?失った血や魔力は回復できないんだから」
「やくそくはできないな」
ヴィンダーは困ったように笑う。
「死なない程度に無理してよね。死んだらもう治癒できないんだから」
「わかっている。その時は素直に撤退するさ」
「そうして」
ミリカがほほ笑む。
「さぁクレアちゃん。私たちは冒険者ギルドに加勢してもらえるよう説得しに行くわよ」
「はい!」
「そのあとは傷ついた人の治癒や援護を行うわ。どう?いけそう?」
「もちろんいけます。こういう時のために特訓していたんですから」
「たのもしいわねぇ。じゃあ行きましょうか!」
「はい!」
そしてミリカとクレアは冒険者ギルドえと転移した。
「さて、私はドラゴンと決着をつけるか。奥義が続いているうちに」
そしてヴィンダーは走り出した。
今回は結構長めに書きました。楽しんでいただけると幸いです。間違ったとこがあったらご報告お願いします。ではまた次のおはしでお会いしましょう。さようなら!




