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6話 規格外すぎる『超越』魔法、ステータスなるものも見られるらしい



よろしくお願い申し上げます。





創造神・ミーネという世の理を外れた『超越』魔法ーー。



字面を聞くだけでは全容の見えないその能力の一端をまず知ることになったのは、一角オーガと対峙して、すぐ後のことだった。


「どれだけ魔物がいるんだ……、この森」


オーガから逃げ回っているうち、かなり奥まできてしまったらしい。


濃く生い茂る草木に道を阻まれたせい、すぐには元の街道へ戻れないでいると、また魔物に囲まれた。


当たり前だ。

この時間に山中を迷い歩く人間など、恰好の餌である。


「大丈夫ですよ、あんなの雑魚ですから、ひょーいとやっちゃってくださいっ!」


天使・ナナを加え、一人だった追放道中が二人になったこともあるのかもしれない。


神といっても、見た目はただの少女だ。

自分の魅力を理解して最大限に振りかざす、あざと可愛い少女。


魔物も、ただの人間と認識しているらしく、容赦なく迫ってくる。



ーーだが、向こうから姿を見せてくれるのは、ありがたくもあった。


「……マナ、構築」


まだ慣れないながら、ハイネは腰刀を天へと掲げる。


同時に、創造神・ミーネが与えるものとは全く異なる魔力回路を使う、『超越』魔法を組み上げていった。


普通、魔法は詠唱が発動条件なのだが、それらは不要らしい。



辺りを薙ぎ払い、自分の手に戻ってくるような攻撃をイメージする。

そうしながら、『マナ』なるもの=魔力を柄へと伝えていけば、たちまち腰刀がその形を変えた。


先ほど使った技を、応用したものだ。


今度は太刀ではなく、いわゆるブーメランに変形させた。




ハイネは、身体の中へ至るところから入ってくる『マナ』に、いっそう意識を尖らせる。


その流れを指先まで移しブーメランへ伝えれば、外側についた刃が光り出した。


集中を切らさないよう注意して、放り投げると……


一閃、それで掃討してしまえた。


コボルトも、ミミックも、植物魔・マンイーターも、全てである。


ハイネらを取り囲んでいた魔物たちは次々に倒れ、事なきを得た一部の魔物も恐怖からか逃げ出した。



(……周りの木々も一斉に切り倒してしまったあたり、本当にとんでもない)



ハイネが呆れつつ、戻ってきたブーメランを受け取ると、ナナは胸元で小さな拍手を見せる。


ちなみに、胸の方はそこそこふくよかだったが、ハイネの意識にそれは上がってこない。


「さっすが、ハイネ様! もう『マナ』の使い方を覚えてくるだなんて!」


ーーーーマナ。


それは、天使・ナナが『超越魔法』と名付けたこの力の、根幹をなすものらしい。


この世に普及しているものとは、仕組みそのものが全く違った。



創造神・ミーネの与える魔法は、属性とスキル、体に流れる魔力で全てが決まる。


一方、ハイネの中にいるアテナイという女神の力に、属性やスキルなどという概念はないらしい。


「全ての魔法は、『マナ』の構成で作り出せますから。実践あるのみですね」

「……いまいち理解が追いついてないんだけど」

「あら。でも、さきほどの魔法は『マナ』を立派に使いこなせてましたよ?」


属性などはなく、『マナ』という最小単位のエネルギーのみを魔力と呼ぶらしい。



裏を返すならそれはつまり、属性には縛られないということだ。


先ほどの武器を変形させる魔法も、その一つである。

自分で使っておいてなんだが、あんな魔法は生まれてこのかた見たことがなかった。



なににでもなれる力を秘めた、『マナ』。

それをどう構成し、どう使うかが、この『超越』魔法の要になるわけだ。



「どんどん魔法を構築して、どんどん試すことが大切ですねー」

「そうみたいだね。

 あれ…………でもそう言えば、一角オーガを倒した時は、自動で魔法が発動したと思うんだけど」


恐れ多いながら、ハイネは友人に対するような口を聞く。


天使様に対して無礼だとは彼自身も思うけれど、彼女がそうしろと言うのだから仕方ない。


「あれはハイネ様の本能が、勝手にマナを組み上げたんですよ。いわば火事場の馬鹿力……的な?」

「要するに、毎回発動するものじゃないわけか。なら、頼りすぎないほうが良さげみたいだね」

「ですねー、確実なものじゃありませんから」


……なるほど、だんだんと把握できてきたかもしれない。


そして、使いこなすには難易度が高そうなこともまた、同時に理解できた。


そりゃあそう、今までハイネが行ってきた勉強とはまるで異なる。

この世ならざる力なのだから、当然といえばそれまでの話なのだが。



だからこそ、鍛えがいがあると言うものかもしれない。


「あ、ちなみに一度構築した魔法は何回でも使えますからねー。『ステータスバー』って呟けば、一覧で見ることもできますよ」

「……なに、それ」

「便利でしょう?」


半信半疑ながら、ハイネは詠唱を行い、ステータスバーとやらを出してみる。


__________

 獲得済魔法


・武器変幻(武器の形をイメージしたものへ変形させることができる)【新規 回数1/5】


__________


……本当に見れてしまった。


…………本当に、規格外の魔法である。


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