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ナイトメアロストチャイルド  作者: おのこ
ミツキレポート:CASE2.1
53/53

市内同時多発テロ

 前文としてまず、このレポートを読んでいる人にお伝えしたい事がある。



 この記録は、僕こと高坂(コウサカ) 光来(ミツキ)が、先に起こった世間一般で呼称される市内同時多発テロについて、実際に僕が体験し調査した内容と報道された情報を元に推測と主観を交え今後同様の事件が発生した際の参考にするべく書いた、いわば僕の為の備忘録である。


 その為、実際に報道された事実や、本当に起こった事実とは差異が生じる可能性がある。

 というより、今回の事件は市内の広範囲で行われており、復活したアユムが張り切って街を見回ってたので巻き込まれてこそ居るが正直事故のようなもので、街中で起きる破壊活動に対応しながらも、その事件背景に関しては全く理解っていなかった。


 とは言ったものの、街でとんでもないことが起きた事は確かなので、分からないなりにまとめようと思いレポートを纏めた次第だ、あくまで僕用だから正しい情報が欲しいなら新聞でも読んでなよ。


 以上、前文終わり。


 まず今回、街に行われたテロ行為に関して纏めよう。


 最初の発生は夜11時頃、街の中央を走る道路で行われていた工事現場で、現場の作業員に扮する悪魔崇拝者達(サタニスト)が発砲、その際、走行中の車1台が集中して狙われ郊外方面に逃げたのが確認されている。

 攻撃していた車両に逃げられた後、悪魔崇拝者達(サタニスト)はクレーン車を横転させ道を寸断した。


 それからの動きは一つ一つ記す事も難しいが他市内5箇所で、同様に道路の寸断が行われる。

 そのやり方は様々だが、タイミング的に同一組織による計画的犯行に間違いないだろう。

 彼等はそれらの破壊工作を実行後、足早に現場を去ろうとし、アユムと僕はこれの1部隊に偶然遭遇、一見工事作業員だが銃器を隠し持っていると僕が警戒を促した所、不信感を抱いたアユムが勝手に襲撃、街中で銃撃戦を含む激しい戦闘となった。[※1]


 ※注記1:この戦闘は人的被害こそなかったものの、市街地では最も大きな物的被害となった。


 その他にも市街地で小火や喧嘩がなど小規模な犯罪が多発し、警察機能を一時的に麻痺させた。

 それらの事件事故を捌き切り夜明けには一先ずの平穏を取り戻す結果となったが、この街の警察が優秀だったからかと問われると、おそらくそれも悪魔崇拝者達(サタニスト)が目的を達するか、諦めるかをした結果でしかないと僕は考えている。



 これについては次の、郊外で起きた警察と悪魔崇拝者達(サタニスト)の戦闘で纏めさせて頂く。


 最初の銃撃戦の後、郊外で武装集団と警察との激しい戦闘があったと報道されている。

 結果としては警察側の被害はゼロではあるが、逮捕者1名を除く武装集団の人員21名が死亡、戦場となった郊外の家電量販店跡は全焼、更にはそこに至るまでの国道上で一般車両に確認されている激しい銃撃戦と、残された三台の武装集団のものと思われる廃車。

 状況から推測するに、戦闘をしていたのは最初に工事現場から逃走した車両、警察のものであるとの報道と被害状況より、あれほど凄惨な戦い方をするのはマル魔くらいだろうと予想がつく。

 これに関して、ケンゴさんに電話で探りを入れたが何も答えてくれなかった、ケチめ。


 予測に予測を重ねるしかないが、おそらくその車両には本庁や県庁から来た要人でも乗っていたのだろう、そこにマル魔の人員が護衛として着き、悪魔崇拝者達(サタニスト)に襲撃される事となった。

 襲撃の様子からその目的は誘拐ではなく、殺害であると分かる上に、郊外に逃げたという段階で、街中で交通機能と警察機能への飽和攻撃に取り掛かる徹底っぷり、警察内部の要人と予想しているが正直やりすぎだ、実はお忍びでどこかの国の大統領でも来ていたのだろうか?



 最後に、郊外の家電量販跡で起きた戦闘だ。


 当時の詳細については新聞の方が詳しいが、これに関しては僕自身も現地に足を運んだ。

 現地の調査の結果、完全に状況証拠からの推察でしかないが、火吹き男(パイロキネシス)魔法使い(メガロマニアックス)がこの襲撃に関わっていた可能性が高い。


 火吹き男(パイロキネシス)はその【魔法】発現時の自爆率[※2]が有名だが、それ故に、火吹き男(パイロキネシス)が敵として現れた時の脅威は他の【魔法】に比べ遥かに高い。[※3]


 ※注記2:【魔法】は現象を産み出しこそするが、それから自動的に身を守ってくれる訳ではない、つまり自分の炎で焼け死ぬのだ。


 ※注記3:僕は遭遇したことがない、つまりこれは受け売りだ。


 理由としては二つ。

 一つ目は、最初の自爆を乗り越え、純粋に自らの【魔法】を高いレベルで操作できる魔法使い(メガロマニアックス)であるということ。

 二つ目は、炎という事象自体の殺傷力の高さだ。高温により人間を容易に殺傷し、戦い続ければ酸素を燃焼し、何より可燃物があれば燃え移り普通の人間にとってはそれすら脅威となりうる。


 無論、念力(PK)の自由度や、障壁(シールド)を持たないという性質があるので単純に強いとはならないが、脅威という点ではまさに自らの誇大妄想を現実に押し付ける魔法使い(メガロマニアックス)の中の魔法使い(メガロマニアックス)と言えるだろう。


 火吹き男(パイロキネシス)の脅威について散々書いてきたが、つまるところ何が言いたいかというと、強くて珍しい魔法使い(メガロマニアックス)悪魔崇拝者達(サタニスト)が今回のテロの計画に組み込み繰り出してきたという事だ、これだけで単純にその本気さが伝わってくる。


 夏頃から何度書いたか覚えていないが、大物の悪魔崇拝者(サタニスト)組織が妙にこの街に目をつけている予感がひしひしとする。

 これも前に書いた内容だが恐らく目的はシマハラの残した研究資料、若しくは研究結果、本当に死んでも面倒を残す男だと溜息が出る。


 これ以上は今回の事件には直接的に関わっていないので特に書ける事がない。

 ケンゴさんがなんとかしてくれる事を信じつつこのレポートを締めたいと思う。


 PS:

 リュウコさんが街で見かけたケンゴさんが包帯でグルグル巻きだったと笑いながら話していた。


 火吹き男(パイロキネシス)と戦闘をしてたの絶対ケンゴさんだろ。

 守秘義務とか言わずなんとかして情報をくれないだろうか。

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