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いずれくる別れに

作者: 砂上楼閣

またこの季節がやって来ました。

あの子が虹の橋を渡ってから数年。

どんなに忙しくても、思い出します。

きっと来年も、再来年も、何十年先も。

なぜ君は生き物を飼うの?


そんな事を聞かれた。


なぜ?


理由なんて後付けでしかない。


子供の頃から家で飼ってただとか、保護したとか、動物が好きだったからとか、一人が寂しかったとか。


色んな理由があると思う。


けれど、やっぱり理由は後付けなんだ。


私たちは出会うべくして出会ったんだ。


縁があったから一緒に暮らしてるんだ。


そこに、最初から理由なんていらない。


別れは悲しくないの?


確かに別れは悲しい。


どんなに長生きな生き物だって、ほとんどの生き物は私たちよりも先に逝ってしまう。


情を持てば、同じ時を過ごす程に、別れた時の衝撃は想像を絶する。


悲しくて、哀しくて、胸が痛くて、辛くて、言葉にならなくて。


今にも目を開けて、動き出しそうで。


声をかけたら返事をしてくれそうで。


居なくなったことが信じられなくて。


いつまでも元気な姿が忘れられない。


多くの生き物が私たちより先に旅に出てしまう、それは悲しいこと。


だからと言って遠ざけることなんて出来はしない。


愛しいから。


その温もりを知ってしまったから。


知らなかった頃の事なんて思い出せない。


別れが訪れるのを知っているからこそ、最後まで見守っていける。


もちろん失うのが怖くて、遠ざける人もいる。


けれどそれは共に過ごした温かな時間を覚えているから。


愛しいからこそ、哀しみを知ったからこそ、忘れることが出来ずに想い続ける。


そこに人だから、動物だからなんて区別はない。


あの子の存在は、それを知らないその他大勢が何と言おうと特別で。


我が子のように愛おしく、親友のようにかけがえなく、夫婦のように当たり前な存在なのだから。


生涯でたった一度の出逢いと別れを迎えるのか。


何度でも出逢いと別れを繰り返していくのか。


それは人によって違うけれど。


けれど、忘れないで欲しい。


私はあの子と出逢えて幸せだった。


あなたはどう?


忘れないで欲しい、その出逢いを…

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