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朝から重すぎる


あの日から早い事に数ヶ月が経ち、桜も散る季節となり俺は高校生となった。だが、高校での新しい生活?ないない。俺はこれからの学校生活に期待なんかはしていない。俺の青春はあの日から終わったのだ。幸い、俺と彼女は別の高校に進学し、同窓会みたいな、集会がない限り、会う機会はないだろう。つまり、俺のことを貶すような人物は、ほぼいない。しかし俺の親友でありオタク仲間の詩音もいないのだ。彼は俺らが通っている“青葉第一高等学校”より学力が上の私立学校に通っている。まあ、詩音は私立学校の方が似合ってるしな、金持ちだし。そんなわけで彼とは休みの都合のいい日にしか会えない。何気に癒されてたんだよなぁ、アイツの笑顔。

ピコン!

突然、スマホの画面が通知音とともに明るくなる。誰だよ、こんな朝っぱらから。俺は暗くなった画面にもう一度明かりをつける。そして、浮かび上がってきた通知バー?を見て、即座に電源を切る。

よし!未読スルーしよう!

読書のみんなは誰からのメッセージか気になるだろうから特別に見せてあげよう。


毒舌女(皐月):いつも通り、駅ね。

毒舌女(皐月):あと、私の笑顔には癒されないってのか?( ゜д゜)オオン?

覚悟してけよ。


いや、怖ええよ!なんなのアイツ、いくら俺が考えていることが分かるからって。一緒にいないのにどうして?ホントコワ、皐月コワイ。

さっきから、“ほぼ”いないとか、“俺ら”って使ってたかと言うと察しのいい読者の皆様なら分かるでしょう。はい、俺と皐月は同じ高校です。ワーイヤッタヤッタ、じゃねーよ!

なんで皐月?しかも俺と同じって……。アイツ絶対知った時凹んだだろうなぁ〜、あれ目から汗が出てきたぞ?


イェーーーーーイ!!!!!

突然として隣の部屋から、叫び声と共に軽快なjーpopが聞こえてくる。しかし、いくら軽快な音楽と言えど隣の部屋から聞こえてくる為、ただの騒音である。


「あー、もう!」


騒音で苛立ちが抑えきれず、眠気が飛び見事に覚醒した俺は、布団から飛び出して騒音の元凶に文句を言いに行く。部屋を出て、直ぐさま隣の部屋のドアをノックする。

ヘンジガナイ、タダノシカバネノヨウダ。

ここで使うべき言葉ではない気がする。不吉だし。呆れた俺は、思いっきり部屋のドアを開ける。そして、騒音が支配する部屋で声を張り上げて、その名を呼ぶ!


「唯ねぇぇえ!少し音下げろや、うるさい!」


しかし、それでもなお騒音は鳴り止まない。

騒音の元凶である【唯ねぇ】こと俺の血の繋がった姉の“都城 唯”には俺の声が聞こえていなかった。わざとなのかは知らないが、その行動によって堪忍袋の緒が切れた俺は、わざわざ唯の側まで駆け寄りもう一度声をかけた。


「唯ねぇ!音、うるさいから下げて!」

「およ!?あれ、さみやっち!?いつからここにいたの?いくら姉だからって、レディーの部屋に入る時はノックくらいしてよー」


この愚姉〜!メガネがなかったら絶対殴ってやるのに…!


「したわ!一様したけど、唯ねぇが気づかなかっただけだから!それに、あんたはいつか らパンクガールになったの?昨日までゴリゴリのゲームやってるだけの廃人ニートだったろうが」

「え、なんて?」

「お前は、ラノベの難聴系主人公かよ!」


朝から、騒音の中2人して大声で(俺が一方的に)言い争っている為、第三者から見たら異様な光景だろう。しかし、これが俺らの日常である。いつから狂ったんだよ俺の人生……。

「まあまあ」

唯ねぇはそう言って、スマホや、ケーブルで繋がっていたスピーカーの電源を切った。こうして、第一次都城家騒音兄弟喧嘩が幕を閉じた。よし、明日の喧嘩に備えて準備しておこう。


「うるさくなっちゃたのは謝るよ。でもね?私はパンクガールになったつもりはないし、我が愛しのゲーム達から離れることなんて死んでも無理だと思うよ?」

「別に唯ねぇの趣味の話はいいから。それよりも、そろそろ就職とか考えたら?また母さんから鬼電が来るんだけど」

「おっしゃー!今日はモン○ンしよー」

「話聞きやがれ、このニート!!」

この一連の会話で我が姉が、どうしようも無い【ゲームオタク】のニートだと分かってしまうのが本当に悲しい。両親も『なんでこんな風に育ってしまったんだ……』と頭を抱えるほどのクズっぷり。しかも、ゲームのしすぎによる視力の悪化。マジでどうしようもないな、コイツ。

姉がクズなのは、初めて知ったことじゃないが、やはり諦めのため息が出てしまう。


「とりあえず、唯ねぇ。俺もう着替えて学校行くから、朝飯自分で作って食べてよ。いや、お願いします食べて下さい」

「もーさみやっちは心配性だなぁ〜。言われなくともちゃんと食べるよ」


いや、だって貴方、一時ガチで引きこもってて3日もろくな食事してないじゃない。そりゃ心配するよ、家族だもん。貴方クズだけど。

「ホントに食べろよ?」

「はいはーい」

そう言って姉は一番新しいモン○ハンをやりはじめた。それもそれを見て、今日2回目のため息をつき部屋を出た。

その後、自分と念のため姉の分の朝食を作って、ラップをかけて置いておき自分の分を食べ家を出た。


***

チャリを使って約5分ほどで駅に着いた。改札のある二階へと行くと、もうすでに私服姿の皐月がいた。怒った顔をして。

死への警告が脳内になっているが、仕方がないんだよね、ちょっくら先に逝って来るよ。

俺はなるべく、気に障らない程度で朝の挨拶をした。

「おっはよー!皐月!」

「黙れ」

「はい」

一言でこの圧……弁護士とか似合うんじゃねコイツ。

「私の未来を勝手に予想するな。あと貴方、また髪前に比べてボサボサだけど」

「あー、これ?いやもう高校生活とか諦め付いてっからよ。無理に自分を磨く必要ないんじゃないかなと思ってな」

「ふーん。それよりも何既読どころか未読なのよ。結構私怒っているんだからね」

いや、あのメッセージ見たら誰でも見なかったフリはすると思うぞ。絶対コイツ、対価とか言って何か奢らせる気だな!いいぞ、何でも来い!アレかツイッターとかでバズってるタピオカか!?アレ、一回改札出ないと買えないから面倒なんだけどな。


「そんなもの奢らせようと思わないわよ。別に、今日じゃなくていいから、いつかお詫びぐらいして」

「えっそんなんでいいの?」

「貴方は私を何だと思っているのよ……」

「毒舌・冷淡・鬼畜女」

「ぶっ飛ばすぞ♪」

「笑ってるけど笑ってないぞ、むしろ怖い」

「はぁー、もういいわ。早く行きましょ」

「了解」

……今更だけどコイツナチュラルに俺の思考読みやがったな。

「本当に鈍感ね、貴方」

このアマぁぁ!いい加減思考読むのやめろよ!

「い・や・よ」

はあ、やっぱり皐月じゃなくて詩音が一緒だったら良かったな、疲れるし。


【唯side】 

斎宮が家を出てから数分経った。私はゲームを一旦やめベットにダイブした。そして…


「かわぁぁぁぁいいいいいい!!!」


勢い良くベットの上をゴロゴロしながら叫ぶ。二十歳だと言うのに、こんな姿を親が見たらどう思うのだろう。きっと今以上に距離を置かれるだろうけど、それもこれも私の愛弟である斎宮が可愛い過ぎるのが行けないのだ。私は弟と対面で話す時は、恥ずかしくてニックネームで読んでいるがこうやって一人でいる時は呼び捨てをしている。

それよりも、今日は一段と可愛いかった。うるさいからと言って私の部屋までやって来て、声が届かないから耳元までやって声をかけてくるなんて!あの時、正直メチャクチャドキドキした。つい最近まで中学生だったのに男らしくて、それで持って甘い声を聞かされたらイチコロだよー!……まあ、全部仕組んだことなんですけどね♪

私のことをニートとか廃人とか言う割に心配してくれて、今日も私の分まで朝ご飯を作ってくれてるし、本当に可愛い。

そんな私の愛弟は、失恋をしてしまった。けど、話を聞く限り振られて置いて良かったと思う。私の愛弟を悪く言う奴は全員敵だから♪しかし、感謝するところもあり失恋のせいか斎宮は以前よりカッコよさを抑えている。おかげで、それ以来斎宮に近づく虫がいなくなった。

まあ、もしこれから斎宮に近づく悪い虫がいたら……お姉ちゃんが追払ってあげるからね!


重過ぎる姉の好意によって本当にラブコメが始まらない可能性がある事を彼は知らない。

仙台駅のタピオカ屋ってめんどくさい場所にありません?

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