私はあなたの愛を信じない
夢を3回連続で見たので文字にしてみました。
「ニーナ!そんな恰好でお相手に会うつもり!?ちゃんときれいな服に着替えていらっしゃい!まったく…アロルドを少しは見習ってほしいわ!」
母のキンキンとした声が響く。兄のアロルドは見下すような笑みを私に向けながら
「まぁまぁ母さん、おちついて。ニーナ、車を回してくるから早く着替えておいで。ふさわしい恰好にね」と言った。
ちゃんと選んだ服だった。一度だけ、母が似合うと言ってくれた色の綺麗でシンプルなドレス。
でも、駄目だったようだ。
「ごめんなさい。すぐに着替えてきます」
部屋にトボトボと帰る私の後ろで、母と兄が談笑している。
「ごめんなさいね、アロルド。せっかくあなたが持ってきてくれたお見合いなのに、あの子ったら」
「いいよ、母さん。ニーナはいつもああじゃないか。あちらもきっと大人しい所を気にいってくれるさ」
「まったく、あなたにばかり世話をかけてあの子は恥ずかしくないのかしら。私も申し訳ないわ」
「何言ってるんだ、母さんの手助けになるなら、僕は嬉しいんだ」
「まぁ、アロルド…嬉しいわ」
感激した母の声、私には向けられない、声。
「自慢の、むすめ。」
自分でちいさく口にしてみると、虚しさが大きくなった。母がそう言ってくれることなど、きっと生涯ない。
振り返って兄を見る。
上質なスーツ、キッチリと撫でつけられた髪、綺麗な顔立ち、大学を首席で卒業し、父の会社に入社した、跡取、完璧な兄。
それに比べて私は…
「ニーナ?早く着替えてくるようにいったはずよ。」
苛立ちを隠さない母の声でハッと我に返った。
「はい、すぐに。」
私は誰にも愛されない。
初投稿ですので、何かとお見苦しい点があるかとは思いますが、ご容赦ください。
ご指摘やご感想などあれば、とても励みになります。
書き物をするのも初めてなので、とりあえず完成目的に頑張ります!
あべかわ