13.蝸壼他縲�ュ皮視繧�
それは、ただ魔王であった。
彼であり、彼女であるそれは、ただただ魔王であることのみを許された存在であった。
性もなく、個もなく。
揺蕩うように、微睡むように、それは苦しんでいた。
茫洋とした意識の中、唯一わかるのは己の役目。
幼い頃が在ったのか、それとも始めからこれなのか。
──そんなことはどうでも良かった。
大切なのは、この世界を殺すという強い意志である。
恨み、殺し、犯し、壊し、潰し、消し──そして怨むこと。
人を、獣を、魔物を、竜を、神を、世界を。
それは、完膚なきまでに叩きのめし、破壊し、抹消し、畏怖と恐怖と絶望を与えるということ。
彼は、彼女は──それは、深い怨嗟の中に居た。
怨むきっかけなどありはしない。
はじめから、世界の苦しみは魔王たるそれのものであったのだから。
打たれ、殴られ、蹴られ、奪われ、犯され、殺され、苦しんだ全ての生命の叫びを、それは余すことなく享受していた。
殴られたなら殴り返そう。
奪われたなら奪い返そう。
殺されたなら殺し返そう。
全て、等しく苦しみを。
あらゆる憎悪を世界に還せ。
其は我が望み、其は我が願い。
頭蓋が軋むように、冥い憎悪が脳髄を侵す。
今も未だ、悲痛な叫びは鼓膜を震わせて離れない。
瞼を閉じれば、またどこかで世界が燃えた。
きっと、誰かが泣いたろう。
己はシステムである。
役割であり、機関である。
光あるところには闇がある。
明るい太陽が、黒々とした影を作るように。
それは、至極当然で当たり前のこと。
であればやはり、己は光と対の闇であり、善と対の悪であり。
どうしようもなく魔王である。
噫、悲しき哉。
愚か、哀れな生命よ。
慶べ、寿げ、祝福せよ。
──此れは、救済である。
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