第4話 待ち
倒れた青年をただ見ていた。
何をすれば良いのか頭が追いついて居なかった。
そんな若い二人の女の子に最年長の玄次郎が大きな声を出す
「何をしとるんじゃ!はよう止血をせんん!
蒼、お前は力を使え」
玄次郎は的確に指示を出した。
直ぐに動く二人。
「わしはあいつを呼び戻す。
それまでなんとか持たせい!」
「「はい!」」
返事をするが紅葉が質問を投げかけた。
「あ、じいさん。
この子はどうするよ?」
「今は放置じゃな、この青年が優先じゃて。
ちゃんとせんと死んでまうぞ?」
マスターがタオルや水等の用意をしている間に玄次郎はバーの奥へと姿を消す。
先程の彼女を呼び戻す為だろう。
「紅葉。こいつの腕の場所を辿れる?」
「もうやってる、店から少し行った所の十字路にある!」
「取りに行ける?」
「ん、大丈夫。まっかせなっさーい!
それより、そっちの止血は終わったの?」
「こっちも終わってる。
止めるだけなら簡単」
そう言って青年の傷口から出血が止まっていた。
まるで血が吹き出ない様、文字通り止まっているかの様に。
不思議な現象だったが紅葉には見慣れた物だった。
「おっけ。なら、その状態を少し維持してて。
あいつも腕をもって帰ってくる頃には戻ってきてるでしょ」
その言葉と共にバーを出た紅葉だった。
店の奥から連絡していた玄次郎が戻ってきた。
「ふむ、いつ見ても見事なもんじゃな」
「ありがとうございます。
それで彼女は・・・?」
「ああ、戻ってきちょる最中だった様での。
おそらくじゃが紅葉と一緒に戻って来るじゃろ。
あれは紅葉が好きじゃからのぉ」
そんな言葉と共に紅葉と彼女の帰りを待つのだった。