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時間操作魔法の変わった使い方  作者: オリオン
姫の部隊、第3章、襲撃は終わり
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天性の科学者

さて、城に戻ってきたわけだが、とりあえず、明日国に帰るって事をメリーに伝えないとな。

俺はそんなことを思いながら、城の赤いカーペットの上を歩いた。

それにしても、これ、洗うときとかしんどそうだよな、カーペットの間に石とか入り込んだりしたら。

いやいや、別にそんなくだらない事を考える必要も無いよな、うん、俺が洗うわけじゃないし。

っとと、そんな事を考えてたら、気が付いたら研究所の近くだ。

結構距離がある筈なんだが、その事を考えていたせいで、あまり距離を感じなかった。


「あー、メリー、いるか?」

「はいはい、居ますよ、私が研究所から出ること何て、そうそう無いよっと」


研究所の中に入ると、メリーが俺とミナから取った血を見ていた。

それも、真剣に・・・なに? 優秀な研究家は血を見ただけで色々と判断できるの?」


「・・・何してる?」

「いやぁ、見ただけで判断できるかなって、そんなに機材がないし」

「不人気らしいからな、でもよ、人が来たのに血を見てるって、どうなんだ?」

「私が血を見ていたら、ソールが入ってきただけだよ」


まぁ、うん、そうなんだよな、アポを取ったのにこの状態だったら文句言えるんだが

そんなアポを取ってないのに来たんだから、相手にも事情があるだろうし、文句は言えないな。


「で、なんだ、何か分かったか?」

「なーんにも、どう見てもただの血液だよ、ちゃんとあの子の方も見たけど

 本当に同じなんだよね、血の色もさ、あ、私の血液でも見てみたよ、同じだった」

「同じ人間どうしで血の色とかおかしかったらヤバいだろう」


でも、あの魔物の少女の血の色も人間と同じだったんだな。

そういえば、ウェアウルフの血液とかも同じ色だったっけ。

前にキースが怪我をしたときに、同じ血だったし、やっぱり人間なんだな。


「そもそも、魔物も大概が人間と同じで赤い色だろ?」

「そうだよね、でも、ほら、この子って蟻でしょう? だから、体液なんじゃないかって思っててね」

「た、体液?」


ヤバい、蟻の血の色なんて考えたこともなかった。

と言うか、虫の血液その物を考えた事も無い。


「ありゃ? 知らない? 蟻には血液がなくて、体液なんだよね、だから、血はない

 体液だけで事足りるからね、で、その色は基本的に透明、もしくは黄色掛った透明」

「な、なんでお前はそんな事を知ってるんだ?」

「いやぁ、小さい頃に、蟻の中を覗いてみたくって・・・その、バラバラに・・・」


・・・あぁ、うん、小さい子が良くやってるよな、虫の虐殺って。

意味も無くバラバラにしてみたり、足をもいだり・・・今思うと、スゲー残酷だよな。

それも、無邪気だ、邪気はない、純粋無垢ってのは、怖いもんだね。


「あぁ、子どもは良くやるよな、そう言うこと」

「ほら、あれだよ、私は昔から好奇心旺盛だったし・・・でも、今はちゃんと感謝はしてるし

 今は殺戮してないし・・・惨殺もしてないよ?」

「いや、分かってるから、てか、お前の年齢でそれしてたらヤバいから、サイコパスだから」

「だよね~、あはは・・・子どもは許されるけど、大人は許されないからね」


これが悪い事って自覚がない子どもは許されるが、大人は駄目、まぁ、暗黙の了解だな。


「しかし、そんな事で血の色を把握してるとはな」

「そのね、昔から好奇心旺盛だったからさ、虫の血の色って本も書いてたよ」

「・・・子どものくせに、本とか書いたのか、それも、血の色特集って・・・」

「まぁ、1冊だけだよ、私の手持ちにある奴だけ、それを読んで思い出した感じ」

「はぁ、そうかい」

「とにかく、この軽い研究で分かったことは、この子は見た目も人間だし、体内の構造も人間だよ

 心臓の鼓動音も聞えるし、食事も取れる、糞尿も出てるよ、それは私が回収してる

 動かせないから仕方ないんだけど、あと、体の構造も女性の構造のそれと一致

 違うのは頭の触覚みたいなのと羽だね、羽なんてどうやって出来てるんだろう

 あ、勿論だけど血管もあるよ、それと羽にも血管っぽいのがあったし、それに!」

「いや、まて、まて、流石にそんな早口で言われても分からん」


分かったことが嬉しいのか、メリーは結構な早口で色々と説明してくれたが

残念ながら、俺はその早口には付いていけなかった。

ただ、分かったことは体の構造は殆どが人間と一致してるって事だ。


「ちゃんとこの子には人間の器官があって多分人間との間に子孫も残せるよ

 構造的にも子どもを育てることは可能なのは明白なんだ

 それも卵じゃなくてお腹から生まれてくるタイプ! きっと生理もあるよ!

 普通の人間との間に子どもを授かることとか出来るのか凄く興味深い!? 知りたい!

 あ、そうだ、ソール!」

「やめぃ! 訳分からんわ! 色んな事に興味津々になるのは分かったから、少し静かにしろ!」

「あっちゃぁ、ごめんごめん、私の悪いくせが・・・」


どうやら、色んな事に興味津々になりすぎて、暴走するくせがあるようだな。

知りたいという感情は分かるんだよ、分からないことが分かるようになるのは嬉しいし。

だが、あの暴走の仕方は異常だよな、もう、後半何言ってるか分からなかったし。

早口すぎて、かなりマジになんて言ってるか分からなかった。


「まぁ、とにかくだよ、この子はほぼ完璧に人間って事、強力な筋力がこの華奢な体の

 何処から出てくるのかとか、傷の治り速すぎるとか、人間には思えないところも多いけど

 会話も出来るし、体も人間とほぼ一緒、謎は多いけどやっぱり人間の線が濃厚だね

 でも、問題はどうして人間の姿になったか、だよね、なんで魔物が人間になったのかな?

 何か魔物は一定の行動を取ると人間の姿に変化するとか? もしかして人間になりたいから

 人間を襲ってるのかな? だったら人間が魔物を食べたら魔物になるのかな?

 いや、そもそもどういう過程で人間になっていくんだろう、いや、それ以上に

 何でソールとミナの血を注入したら暴走が治るの? やっぱりフィルス家には何か隠された秘密が!」


ヤバい、メリーの奴が目をものすごくキラキラさせながら、独り言をブツブツ言い出した。

最初の方は多分俺に色々と説明したかったんだろうが、後半から完全に独り言だし。

あれだけの長い言葉を、噛まずにペラペラと喋れる辺り、凄いな。


「うん、興味深いよ! やっぱりこの子は興味深い!

 いやぁ、あの本が見付かって良かったぁ、あの本がなかったら血とかに疑問を抱かなかったし

 それにここまで疑問が多い事に気付かなかったかも知れないし、うふ、うふ、うふふ

 凄く興味深い、もう色んな可能性が頭の中に出て来て止まらない! くぅ! 謎を解明したい!

 この謎を解明したい! 解剖してみたいなぁ、でも、女の子だから無理だよなぁ

 うぅ、人間の形をしてなくって意思がなかったら解剖したのに、一切の躊躇いも無く!

 何であるの!? 無くっても良いじゃん、いや、やっぱりあった方が良い! その方が謎が多い!」


完全に自分1人の世界に入り込んだな、もう、俺の声なんか聞えてないんじゃね?

て言うか、解剖したいって・・・さらっと怖いことを呟きやがるな。

それも、満面の笑みだ、あの笑みが逆に恐怖を引き立たせてやがる。


「もう、どうにもならないかもな・・・」

「あぁ、ああなったメリーはそうそう止まらないからな」

「レインさん? どうしてここに来たんですか?」

「あいつが気になってな、それにしても、暴走しているな、こうなっては、そうそう止まらん」


それは、見ているだけで十分分かる、もうね、完全に暴走してるからな。


「こう言うとき、どうするのが正解なんですかね?」

「簡単だ、少し待っていろ」


そう言うと、レインさんはゆっくりとメリーの方に近寄った。

しかし、メリーは近寄っているレインさんには気が付かず、独り言をペラペラと喋ってる。

完全に自分だけの世界にどっぷりだな。


「メリー、暴走は程々にするんだな」

「あふぁ!」


近寄ったレインさんは暴走していたメリーの頭部を結構本気で殴りつけた。

その衝撃で、メリーはベットに激突、そして、少しして立ち上がった。


「うぅ、あ、頭が痛い・・・何も殴ることないじゃんかぁ・・・」

「お前は暴走したらこうでもしないと治らないからな

 そもそもだ、人前で暴走するなとあれほど言ったでは無いか」

「いやぁ、そんな事言っても可能性を考察するのって楽しいし?」

「・・・お前は、根っからの研究家だな・・・そうだ、ソール殿、ここに来たと言うことは

 メリーに何かしらの用があるのでは?」

「あぁ、そうだった、メリーの暴走で忘れてた」


あんな暴走を目の当たりにしたら、そりゃぁね。


「え? なに? 何かあったの?」

「あぁ、実はな、明日、俺達はこの国を発つ」

「へ?」

「な、なんと・・・」

「えぇ!? うそ! え!? 冗談でしょ!? あ、明日!? ミルナ国にずっと居るんじゃないの!?」

「何を馬鹿な、俺達の国はバージン国だ、復興も結構進んで、同盟の話も色々と決まったんだし

 流石にそろそろ自分達の国に戻るさ、で、それを伝えに来たんだ」

「うぅ・・・こ、こうしちゃ居られない! リーシャ姫に色々と言わなきゃ!」

「色々って、何を言いにいくんだ?」

「そんなの私も連れて行って欲しいって事を!」


え? マジで? こいつも来んの?


「な、メリー! 本気か!? 普段グータラしているお前が!?」

「折角の研究チャンス! 向こうのチームと協力して、色々と謎を解き明かすの!」

「いや、流石に不味いのではないか!? お前が行くとソール殿達の護衛対象が増えて」

「問題ない! 知らないけど!」

「おい!」

「とにかーく! 言いにいくの!」


それから、メリーはもの凄い速度で部屋を出て行き、リーシャの元に走った。


「あ、おい! 待てって!」

「リーシャ姫ぇ!!」

「な、なんじゃぁ!? ず、随分とものすごい勢いじゃのぅ」

「明日発つんですよね!? 私も連れて行ってください!」

「な、なんじゃと!?」

「こ、こら、メリーさん、いきなりその様な頼みは失礼ですわ!」

「ぶ、無礼は承知なのですけど! ど、どうしても私も一緒に行きたいのです! 研究したいのです!」

「む、むぅ・・・妾は別に構わぬのじゃがなぁ、お主はミルナ国の研究員じゃ

 妾の一存で決めれる問題ではないのじゃ」

「そうですわ、そう言ったお話しはしっかりとお父様をお通しになってくださいまし」

「分かりました! ミルナ国王ですね!? 探してきます!」

「な、なんじゃ!? 流石に自国の王に、なんの連絡も無しというのは!」

「そうだ! 馬鹿者がぁ! 無礼を考えるんだ!」

「がふぁ!」


メリーが何処かに再び行こうとしたときに、レインがメリーの根っ子を思いっきり掴んだ。

そう、一切の手加減はない、かなり必死だな。


「リーシャ姫様、レベッカ姫様、我が友の無礼、心よりお詫び申し上げます」

「う、うむ、妾は別に構わぬのじゃが・・・その、メリー殿そのままでは死んでしまうぞ?」

「えぇ、首を思いっきり掴んでいますからね・・・最悪死んでしまいますわよ?」

「な、なんですと!?」

「きゅぅ・・・」

「おおぉぉ! す、すまないメリー!! 生きているか!? 息をしているか!? メリーぃぃ!!」


それから、少しして、メリーはなんとか目を覚ました。

どうやら、レインに思いっきり首を掴まれ、意識を失っていただけだったようだ。

それから、目が覚めたメリーはリーシャとレベッカ姫の協力で、ミルナ国王との面会を許可されたそうだ。

結果、メリーはバージン国に向う許可を降ろして貰い、あの女の子を運ぶ事になった。

ただし、条件としてレインも連れていくこととなり、レインはこれを了承。

結局、俺達は新しく護衛対象が2人増え、護衛人数は1人増えた。

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