国を救った報酬
ドラゴンを迎撃して、気が付いたら朝になっていた。
少しの間寝るつもりだったのに、気が付いたら朝か・・・
はぁ、それだけ疲弊しきってたって事だな。
「うむ、ようやく起きたか、よほど疲れておったのだな」
「え? リーシャ? あぁ、すまない、そう言えばここはお前の部屋だったな」
「そうじゃ」
「でも、起こしてくれれば起きたんだけど・・・ルーリアも無理矢理起こすし」
「疲弊しきった者を強制的に起こすことは無かろう、それに、自分の友達が
自分の部屋に泊まってくれるのは、その、妾としては嬉しかったのだ、は、初めてじゃったし」
そう言うと、リーシャは少し顔を赤くして、顔を逸らした。
「恥ずかしがり屋だな」
「わ、妾は今まで友達なんて居なかったんだ、なのに、いきなり2人も出来て、お泊まりじゃぞ?
それは恥ずかしいという物じゃ、じゃが、それでは前へ進めんと思って、我慢したのだ」
「なるほど、それで? 少しは慣れたか?」
「うむ、会話は無かったからなんとも言えぬが、誰かが同じ部屋にいるという事には慣れた
何だか、不思議と安心するな、誰かが部屋にいてくれると」
確かに、こんな広い部屋に1人って言うのは、不安が募るだろうしな。
「そうか、それは良かった・・・所で、ルーリアは? まだあそこか?」
「うむ、ルーはまだあそこで寝ておる、熟睡じゃな」
確かにリーシャが言うとおり、ルーリアはぬいぐるみに紛れて熟睡している。
それに、周りのぬいぐるみを枕にしていたり、抱いていたりと、寝ている姿は女の子っぽいな。
でも、抱き枕は分かるが、枕にするのはどうだよと、少し思ってしまう。
だけど、何となく、そこはルーリアっぽいな。
「ぬいぐるみが大変そうだけど良いのか?」
「構わぬ、あれで癒やされてくれるのなら、妾はそれ以上を求めぬ」
「随分と、俺達を優先して考えてくれるんだな」
「妾は姫じゃ、妾達は常に国民を優先せねばならぬ、守られる立場なのだから当然じゃ
それは、いつもお父様もお母様も言っている事、ならば妾もその様に考える」
・・・なるほどな、通りでこの国では反乱とか起きないわけだ。
国のトップがこんなに国民優先なんだからな。
「だから、俺達を優先してくれるのか」
「あぁ、勿論、それだけが理由では無いがな」
「それ以外の理由はあるのか?」
「お主らは妾の友達じゃ、それに、国を現状納めておる物としては、英雄でもある
そんなお主らを最優先に考え、行動するのは当然なのじゃ」
「そうか・・・所で、なんで俺達が英雄なんだ?」
「あの時、ドラゴンを落としたのはお主らじゃろ? あれが無ければ、国は滅んでたやも知れん」
確かにあの時ドラゴンを落としたのは俺達だ、でも、いつ、誰が見ていた?
「一体、誰に聞いたんだ? 落とした時にいたのは俺とルーリアだけだぞ?」
「うむ、そのルーがアースとカリーナに話したらしいぞ、妾も聞いた
しかし、身体強化というのは凄いのだな、あれだけ離れても当るとは」
「まぁ、そうだな」
まぁ、本当は時間操作なんだけどな、普通の身体強化じゃまず届かない距離だろうし。
それにしても、今考えると、良く当ったよな、あれだけの距離があったのに。
自分の時間を加速させて、本来投げる速度が時速30kmなら10倍で時速300kmになって。
更にその後50倍に加速させるから、15000kmか・・・音速越えるじゃん、そりゃ届くな。
我が能力ながら、恐ろしいな、時間操作魔法。
「どうした、なにやら真剣な表情をして」
「あぁ、いや、何でも無い」
「ふむ、ならば良いか」
そう言うと、リーシャは俺の横に座って、ゆっくりと紅茶を飲んだ。
そして、俺とリーシャはルーリアが目を覚ますまでの間、ゆっくりと休む事にした。
それから、1時間ほど経過して、深い眠りからルーリアが目を覚ました。
「ふわぁ・・・あ、おはよう・・・」
「起きたか、それでは、少し待っていてくれ」
そう言うと、リーシャは立ち上がり、部屋から出て行った。
「はぅ・・・リーシャちゃん、何処行ったんだろう?」
「何かあるんだろう、それにしても、お前、そのぬいぐるみ気に入ったのか?」
ルーリアは魚のぬいぐるみを抱いている、何というか、斬新だよな、魚って。
あまり見たことがない。
「うん、気に入ったよ、だって、何だか可愛いじゃん!」
「そ、そうか?」
ぬいぐるみは何というか少し不格好で、正直言って整ってはいない。
何というか、毛がボサボサで、締まりが無い顔だ。
いや、ぬいぐるみがキリッとしているわけ無いか。
でも、何処か呆けているような気がするな。
「しかし、可愛い・・・か?」
「うん、この不格好な感じが可愛い!」
「あぁ、そ、そうなのか?」
ま、まぁ、人にはそれぞれ好みがあるし、あまり言及はするまい。
俺は大人しく、そのぬいぐるみを色んなぬいぐるみと戦わせているルーリアをみておくことにした。
何というか、こいつの遊びは子どもっぽい、それに、何だか男っぽいよな。
でも、ぬいぐるみなんだよな・・・
「ふっふっふ、この魚めぇ、この俺が美味しくいただいちゃうぞぉ!」
「魚だってなぁ! やるときゃやるんだよ!」
「ぐわぁ! な、何て奴だぁ!」
「・・・ルーリア、楽しいか?」
「うん! 最高!」
・・・やっぱり、こいつがよく分からない・・・どんな遊びだよ。
俺が少し呆れていると、部屋から出て行ったリーシャが戻ってきた。
「うむ、待たせたの、案内したい場所がある、妾に付いてきてくれ!」
「案内したい場所? 何処?」
「言っても分からぬだろう、さぁ、付いてくるのじゃ!」
「分かったよ!」
そして、俺とルーリアはリーシャに案内され、王座に連れて行かれた。
「え? あ、あれ? 何処ここ?」
「今日、お主らをここに連れてきたのは、他でもない、お主らに授けたい物があるからじゃ」
「さ、授けたい物? い、一体それは・・・」
「勲章じゃ、国の為に尽力してくれたと言うのに、何も無いのでは示しが着かぬからな」
「・・・うーん、勲章とかよりも、とっても美味しい物を食べたいなぁ・・・」
「それは、また後日じゃ、今は城の修復に忙しくてのぉ、そうじゃな、この調子だと
パーティーは10月程じゃ、それまではこの勲章で我慢してくれ」
「うーん、分かったよ、10月だね! 楽しみにしてるよ!」
「うむ、さぁ、近くに寄ってくれ、妾が直々に勲章を付けてやろう」
「分かった!」
そして、俺とルーリアはリーシャに勲章を付けて貰った。
周りの兵士達は、それを見て、かなり羨ましそうにしていたのを見ると
恐らく、それ相応の価値があるのだろう、しかし、ルーリアはあまり嬉しくは無さそうだ。
まぁ、こいつは食べる事と遊ぶことが何よりも楽しいんだろうし、当然だろう。
そして、この授章式が終わり、俺達は城から出ようとしたときだった。
俺達は俺の母さんとアースさんに呼び止められた。
「あれ? 何で2人ともここに?」
「章を貰ったそうだから来たのよ」
「あぁ、これのことか」
俺は自分の服に付いた勲章に少しだけ目線を移した。
「そうよ、この勲章は国を守るために尽力した人が貰う勲章、あなた達は受け取るだけの事をしたわ」
「全く、ドラゴンを撃ち落として、本当に我が息子ながら末恐ろしいわよ」
「あれはルーリアの協力のお陰だ、頑丈な石を作って貰ってなきゃ出来なかった」
「私とソール君は最強コンビだからね!」
ルーリアがかなり得意げな表情でそう言い張った。
「随分と得意げね、ルーちゃん、ソール君が倒れたときはあんなに弱気だったのに」
「そ、それはそうだよ! だ、だって、ソール君が死んじゃったのかと思ったから!」
「そうなのか? ただの魔力切れだったのに」
「ぱっと見ただけでそんなの分かるわけ無いじゃん!」
「それで、ただの魔力切れだって分かった途端、この子ったら倒れ込んだのよ、ぬいぐるみを持って」
「あぁぁ! い、言わないでよぉ!」
ルーリアがドンドン顔を真っ赤にして言ってる。
しかし、だからあんな場所で眠っていたのか、こいつは。
「そう言えば、なんでこいつは離れて寝てたんですか?」
「あなたをリーシャ様のベットで検査してたら、人が多くてね
だから、ルーちゃんは邪魔にならないように離れてたのよ」
「私が居ても何も出来そうに無かったから、せめて邪魔だけはしないようにって思って・・・
本当は近くで介抱してあげたかったけど、私はそういうのに詳しくないから」
まぁ、まともに勉強もしていないルーリアが介抱の仕方なんて知ってるわけないからな。
「しかし、本当に2人とも無事で良かっわ」
「あぁ、そうだ、2人にお礼を言ってませんでした、あの時は助けてくれてありがとうございます」
「私達は兵士として、母親として当然のことをしただけよ」
「そうそう、でも、もうあんな無茶はしないでね」
「あはは・・・努力するよ」
「それじゃあ、もうそろそろ帰ってなさい、疲れたでしょ?」
「はい、そうですね」
「あと、その勲章を持ってたら、多分お城には出入り自由だと思うから、いつでも来なさい」
「分かったよ! それじゃあ、家でまた会おうね!」
「えぇ、あなた達は疲れをしっかりと取っておきなさいよ」
「はーい!」
俺達はその後家に帰ることにした。
しかし、この勲章があれば、いつでも城に来られる訳か。
じゃあ、その内リーシャに会いに行くかな。




