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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

権力と防御力はカンストで

作者: モキ

「高校二年の美少女である私は、よく分からないけど、多分頭のおかしいストーカーに殺されたようだ、まる」


「そうそう、可哀想だよねー、君」


「そして目の前にいるのは、奈良の大仏を金ピカにしたような、おじさん? おばさん? 声の低さからおじさんのようなきがするが、おばさんの可能性も捨てきれない。というかめちゃくちゃでけぇ」


「失礼だよね、君。私仏だよ? 仏敬えよ、マジで」


「ところで、ホトケ、私は殺されて死んだのか? しかし、死後の世界がこんな感じとはびっくりだ。全部真っ白。面白みがないな」


「そう、君があまりに美少女であまりに優しいから、色々勘違いした男に殺されたのよ。可哀想に。それで、君を異世界に転生させてあげようって話になったのね、仏会議で。君、前世とかも含めたら結構、徳積んでるからさ。あ、ここは私の家の物置だから面白味なくてごめんね」


「あー、やっぱり殺されたのか。畜生、もっと人に厳しくすればよかった。てか、転生させてくれんのか、ありがてぇな。ありがてぇな、ホトケ。つうか、ここホトケん家の物置かよ、逆におもしれぇな。てか、客間に招待しろよ」


「それで、君を異世界に転生させる話だけど、記憶もったままになるのね。色々な仏の内部事情で。さらに君徳めっちゃ積んでるから、異世界に転生させる際に、願い事三つ叶えてあげようって事になって、何かある?」


「仏の内部事情とか聞きたいけど聞きたくないな、オイ。まじで、私めっちゃ徳積んでるの? 自覚なかったわ、無自覚徳積みフェスティバルだわ。てか、三つ望み叶えてくれるって具体的に何よ?」


「あー、来世でどんな人間にして欲しいとか、どんな人間関係がいいとか、どんな世界に転生させて欲しいとか、そんなのよ。」


「じゃ、来世では見た目めっちゃ汚ないおっさんで、権力と防御力カンストでよろしく」


「マジで、君汚ないおっさんになっちゃうの、来世でも美少女維持しようよ」


「嫌だよ、今世そのせいで殺されたし、あえて逆をいって殺されないようにするんだよ」


「なるほど賢い。逆の発想賢い頭良い」


「まあ、そう褒めんなって、じゃあ、そんな感じで来世はよろしく頼むわ」


「オッケー、仏に任せとき」






「なんでやねん、ほんまなんでやねん」


私は見事、見た目汚ないおっさんに転生をとげた。


私が転生したのは、なんというかザ・ゲームの中のファンタジーって感じの世界で、私は王子だった。私の国は、何というか貧困とかに民が苦しんでいて、ヤバかった。


これはよくないゾ!と思った私は前世の超絶お利口さんだったオツムの記憶と、今世の王という権力を駆使し国をガンガン良くしていった。


しかし、この状況は一体。


私の上に美丈夫が乗ってる。いや、性的な意味じゃなくて、睨みながらナイフを私の体にザクザク刺してる。


「何故だ! 何故死なない!?」


スマーン!防御力カンストしててスマーン、ね!


そして、この美丈夫ただの美丈夫ではない。


実は、この世界を魔王から救った勇者だったりする。昨日魔界から帰ってきた。


どうやら、彼が旅に出る前に将来を誓った幼馴染の女の子が、私の今のお嫁さんだったらしく、超プンプンふんぬ状態らしい。


可哀想に。昨日魔界から帰ってきて城に来て私のお嫁さん見た時の絶望フェイスやばかった。めちゃくちゃ可愛かった。……おっと、私に同性愛の気はない。飽くまで前世の感覚で可愛いと感じたのだ。


しっかし私も今のお嫁さんは一目惚れで、猛アタックして手に入れたからなあ。手放す気はない。あ、権力とかは使ってないよ。正攻法でいきました。


とりあえず、無理矢理お嫁さんにしたわけじゃないから、許してちょんまげ。


まあ、この勇者からしたら、汚ないおっさんに幼馴染を寝取られたんだよな。たまったもんじゃないよな。


「畜生! 死ね! 死ね! 死ね! 畜生、何で血も出ないんだよ! 返せ! フェリスを返せえ!」


あ、フェリスって私のお嫁さんの名前ね。人妻の名前を呼び捨てとは、小僧生意気だぞ。


私は勇者を退けようと、勇者の体を掴んだ。


「勇者よーー」


「ひゃっ、や、ヤダ、何するんですかッ、乱暴する気ですか! 汚されるゥー!!」


ちょ、勇者なに言ってんの、私にその気はねぇっての。ボコ殴りにするぞコラ。


「どうしたの、アナタ。何か声が……」


「フェリス!」


「ハーシャ!」


勇者ーーハーシャがフェリスに抱きつく。おいやめろ。人妻に抱きつくな、ブッ殺すぞ。


「フェリス……俺、汚されちゃったよぉ……お婿さんに行けない……」


「まあ! なんてこと!」


まあなんてことをうそぶくの勇者殿。


「それなら夫に責任を取ってもらうしかないわね。アナタ、ハーシャをアナタの二人目のお嫁さんにしてください」


は?何言ってんの。我が妻フェリスよ。







勇者が国に帰って来てからその三日後、国で盛大な結婚式が行われた。


勇者と私と妻の結婚式だ。


しかしーー。


「アナタ……」


「旦那さま……」


私の右にいるのは愛しき我が妻フェリス。私の左にいるのは美丈夫のハーシャーーではなく、美人のハーシャ、我が二人目の妻。


ハーシャが性転換アイテムで女になったのは驚いた。


そんな便利なアイテムがあったのか!という驚きと、あれ、ハーシャ私にメロメロやんけ!という驚き。


……実はハーシャって私のことはじめから好きだったんじゃないのか?まあ、幸せだからいいや。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 会話のテンポがとてもよいと思いました。 [一言] とてもとても面白かったです!
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