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プロローグ
ゆらゆらと揺れる焚火をじっと見つめていると、今までのことを思い出す。
よくわからないままこの世界に喚ばれて、
思わず『勇者』に立候補し、
仲間の力を借りて何とか倒した…とか文字にしてみるけど、もうとんでもない経験だらけだった。
ゲームの世界とかちょっとあこがれたこともなかったわけじゃないけど
実体験してみるととんでもない。ごめんこうむりたいレベル。
だけど、もうすぐそれも終わる。
勇者として旅立つ前に、約束してもらっていたことがある。
『魔王を倒したら、還してもらう』
そのことを王様に約束してもらえたから、私は今まで頑張ってこれたのだ。
「もうすぐ帰れるんだ…」
仲間に聞こえないくらいの声で私は呟いた。