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プロローグ
やあ、こんにちは。
これを読んでいるあなたに、一つだけ言っておく。
ここから先は、読むべきじゃない。
……いや、本気で言ってるんだ。
これから語るのは、長くて、暗くて、二度と思い出したくない僕の記憶。
読み終える頃には、きっと後悔する。
「知らなければよかった」ってね。
でも、どうしても読むというなら──止めないよ。
暗闇に落ちるのは、ひとりよりもふたりの方が心強いだろ?
え? 僕が誰かって?
僕はトウヤ。
鬼の里で生まれた“角のない欠け者”さ。
殴られて、踏みつけられて、それが当たり前の世界を生きてきた。
だけど、そんなの、たいしたことじゃない。
本当の地獄は、そのずっとあとに始まったんだから。
もしあなたが怖がりなら、ここで読むのをやめたほうがいい。
なぜって?
だって、この物語を読めば、目の当たりにすることになる。
血の匂いと、闇に潜む化け物と――そして、最悪な死を。
ねえ、まだ読むつもりなの?
なら、約束してほしい。
どんなに絶望しても、途中で逃げ出さないで。
この物語は、僕が鬼を滅ぼすまでの、長い復讐の記録。
ページをめくった瞬間から、あなたも、暗闇の中に落ちていく。
――もう戻れないよ。




