Good ・By・My Home
某ラジオドラマ賞、落選作。供養いたします。
南無阿弥陀。
SE フローリングを軋ませながら歩く
SE 止まる
リリ「ねぇ、そこにいるの?」
M 不穏な曲調
SE カーテン布が微かに動く(擦れる)
SE リリの吐息
リリ「もし居たら窓を2回叩いて、お家さん」
リリM「いつもリリが1人でいる時――」
SE フローリングを歩く
リリ「えい!」
リリM「ママも友達のツバキちゃんも知らない」
SE 勢いよくカーテンを開ける
リリ「あって……る?」
リリM「私だけの秘密の友達が遊びに来るんだ!」
SE 窓を軽く2回叩く
リリ「やったリリの勝ち!昨日もリリが勝ったから2連続だ!」
M 徐々に明るく
リリ「じゃあ次は、お家さんが鬼ね!ズルは無しだからね」
SE 掃除機が一瞬、起動する
リリ「うんうん!お家さんもやる気いっぱいだね」
SE 机の上のアラーム時計音が近くで鳴り出す
リリ「ええ〜もう、こんな時間かあ」
SE 革ソファに大きく座る
SE リリのため息
リリ「もっと、お家さんと遊びたいけど明日も学校だから早く寝ないとなあ……」
SE リリ、アラームを止める
リリ「でも明日また、かくれんぼしようね!」
SE テレビが点き、テレビ音声流れる
リリ「ううん今日はもう、お終いだよ」
SE リリ、机のリモコンを持ち→テレビ消す
リリ「でも絶対に明日ね!」
SE 遠くの寝室の扉が開く音
リリ「うん、分かってくれて良かった!リリの部屋開けてくれてありがとね、お家さん!」
SE リリ、革ソファから立ち上がる
SE 歩き出す足音
M しんみり
リリ「リリね……ママがお仕事、遅くてもお家さんがいると寂しくないって思うんだ」
「どうしてだと思う?(優しく語りかける)」
SE 遠くからレンジ音
リリ「あぁ〜少し違う!でも確かに一緒にご飯食べたり遊んだりしてくれるのも正解って事にする!」
(少し間を置いて)
「つまりね、こうしてリリと一緒にいてくれるからリリは寂しくないんだ、いつもありがとお家さん」
SE 壁を優しく一度ノック
リリ「うん……お家さんもそうだといいな」
SE 廊下(家の中)を歩く音
リリ「おやすみ、お家さん」
リリM「ママが先週、言ってたこと今日もお家さんにもツバキちゃんにも言えなかったな」
SE 寝室のドアを閉めて
リリ「さよなら、お家さん」
リリM「お引越しをして、離れ離れになったらリリは悲しくなる……」
【次の日】
SE 学校のチャイム音が鳴り出す
SE 喧騒
SE 1人外を歩く(リリ)
リリM「お引越しは悲しい気持ちになるよね。2人もきっと同じだから打ち明ける勇気が出ないや……」
M 穏やかな
ツバキ「あ!ねね、リリちゃん!リリちゃん!(遠くから呼びかける)」
SE 遠くから近寄ってくる足音
ツバキ「一緒に帰ろう!(段々と近くに)」
リリ「あ、ツバキちゃん!」
SE 歩音が止まる
ツバキ「どうしたの?下向いて歩いてたよ」
リリ「そうだった?でも確かに考え事してたかも」
ツバキ「え?どんな事、考えてたの?もしかして宇宙人とか都市伝説の事だったり!?」
リリ「ツバキちゃん、そう言うのじゃなくて……」
ツバキ「ええ?ごめんごめん〜だってさリリちゃんもオカルト好きのよしみだからさあ〜」
SE 2人が歩き出す足音
リリ「んー……そうかなあ」
ツバキ「でもリリちゃん、オカルトとか超常現象の話しを聞いたら興味津々にしてたじゃん!」
リリ「う……うん、少しだけ興味はあるけど」
SE カラスの鳴き声
ツバキ「それでも私は嬉しいな……そう言う話したら皆んな変な顔して苦笑いするんだよ?」
リリ「そりゃ、そうだよ……急に笑顔でお化けとか宇宙人のお話したら皆んな、怖がっちゃうよ?」
ツバキ「でもリリちゃんはそうじゃなかったでしょ?」
リリ「……そりゃそうだよ1人は寂しいし、1人の人を見るのも寂しい気持ちになるもん」
ツバキ「そっかぁ〜周りにそう言う話出来る人が全然、いなかったから私は嬉しいよ?」
SE リリの微笑み
リリ「良かった、そう思っていてくれて」
ツバキ「まあね!何せお互いに友達第一号だし!」
M 陽気に
SE 猫が近づいて鳴く
リリ「あ、猫さんだ……」
ツバキ「うわっ!きっと猫又だ!!」
SE 猫が遠さがって鳴く
リリ「あぁ〜可笑しな事、言うから行っちゃった」
ツバキ「違う違う、私のせいじゃないよ?」
リリ「だってほら、猫又だ!とかって言うから」
ツバキ「いやいやあの猫が猫又かもしれないよ?少しでも可能性あるなら私、あの猫を追いたいな!」
リリ「でももし、あの猫さんが猫又だったら尻尾が二つに分かれてたよ?」
M 音が止まる
(数秒の沈黙)
SE カラスが鳴く
SE ツバキの爆笑
リリ「ンフッ!(釣られ笑い)どうしたの急に?」
ツバキ「だってさカラスが鳴いたんだもん!」
リリ「そんな事で?(笑いが含む)」
ツバキ「カラスがリリちゃんの言ってる事が正しいって言ってるようでなんか面白くなっちゃって!」
SE 2人笑いながら歩き出す
M 優しい
SE 息を整える2人
ツバキ「笑い過ぎで疲れちゃったなぁ〜」
リリ「そうだね。やっぱツバキちゃんといると楽しいや……」
ツバキ「そう?実は私も!」
リリ「本当?」
ツバキ「もちろん!だって友達でしょ?」
リリ「そうだね!……友……達か(小声)」
(間を置いて)
リリ「実はねツバキちゃんに、お話ししないといけない事があるんだ」
ツバキ「んん?」
リリ「いま話すのが合ってるのか分からないけど、早く伝えるべきだとずっと思ってたんだ」
ツバキ「うん、何でも話しちゃって!!」
SE 踏切にあたる(踏切警報機鳴る)
リリ「リリね、お引越しするんだ」
SE 踏切警報機鳴り止む
(少しの間)
ツバキ「あ……そ、そっか」
SE 2人歩き出す
M しんみり
SE 風の音
ツバキ「どこに、引っ越すの?」
リリ「札幌なんだ……ママが、お仕事でどうしても行かないといけないからって」
ツバキ「札幌かぁ、ターボ婆さんでも30分は掛かっちゃうかも(空笑い)……いつ引越すの?」
リリ「夏休み中に。だから半年もないんだ」
SE 車の走行
ツバキ「そっか……」
SE ツバキのため息
SE 2人の足音
ツバキ「リリちゃんありがと、話してくれて」
リリ「……うん」
ツバキ「遠くに行っても友達なのは変わらないよ……でも寂しくなるね」
リリ「ごめんね、ツバキちゃん」
(少しの沈黙)
SE 歩いていて
SE 止まる
ツバキ「じゃあさ!切り替えてこ!また明日、引越しまで後悔しないようにさ(少し元気に)」
リリ「うん、また明日ね(優しく)」
SE 扉を開けながら
リリ「ただいま……」
SE 家の玄関扉が閉まる
リリ「……そっか、今日もお仕事遅いんだった」
SE フローリングを靴下で歩く
SE テレビが点き、音声が流れる
M 明るく
リリ「あ、お家さん!」
SE テレビが消える
リリ「そうだ、お家さん」
SE フローリングの上に荷物を優しく置く
リリ「今日はね、ツバキちゃんと一緒に帰ってね!めっちゃ楽しかったんだよ!」
SE 壁を優しく一回ノック
リリ「そうそう!野良猫さんを見つけてね、その野良猫さんをツバキちゃんが猫又だ!って決めつけてさ(笑いながら)」
SE 壁を優しく一回ノック
リリ「でもリリがね、猫又だったら尻尾が二つに分かれてるんじゃない?って言ったらカラスさんが鳴き出してね!!」
SE 掃除機が一瞬、鳴る
リリ「ンフフ(笑う)うんうん……ツバキちゃんが急に笑い出すからさあ。楽しかったなぁ」
M 少し不穏
リリ「あ……そうだ、お家さんにも話さないといけない事があるんだ……聞いてくれる?」
SE 壁を優しく一回ノック
リリ「うん、ありがと。実はねリリとママは、このお家から引越すことになったんだ……」
(無音になる)
リリ「ごめんね、ママのお仕事の都合なんだ」
SE 遠くから蛇口から水が勢いよく出る
SE 水が止まる
リリ「うんリリも寂しいよ、まだ一緒にいたいよ」
SE ポタポタと滴る
(少しの間)
SE 遠くから玄関扉の開閉
ママ「リリただいま〜今日、早めに仕事終わったのよ!」
SE 足音近づき、床が軋む。
リリ「ママ!?ま、また後でね、お家さん(小声)」
SE 革ソファから勢いよく立ち上がる
M 輝き出すような明るさ
SE 玄関の方へ駆け足
リリ「ママお帰り!!(移動しながら)お仕事早く終わったんだね!」
SE 足音が止まる
ママ「そうなのよリリ……ごめんね最近、遅くて」
リリ「ううん!大丈夫!」
ママ「よし、じゃあ……早く帰れた事だし、今日はリリが好きなハンバーグでも作ろうかしら!」
リリ「え、本当に!?」
ママ「もちろん!……んでも、その前に少し着替えたいなあ」
SE ママ、靴下でフローリングを歩く
ママ「そうだ、学校からプリント来てたら頂戴ねー(遠くから呼びかける)」
SE 革ソファに勢いよく座る
リリ「今日は何も貰ってないよ〜!」
SE 机のリモコン手に取る
SE テレビを付けて音声流れる
リリ「あっ!今日学校で楽しい事があったんだ!」
ママ「なになに?どうしたの?」
リリ「えっとね、沢山あるから後で話すね!」
ママ「……リリは偉いなぁー……」
SE ママ遠くから近づく足音
ママ「ほらママとリリって休みの日とか、朝の少しの時間しかあまり話せないでしょ?それでもリリは学校も勉強も頑張ってる」
SEママ、革ソファの隣に座る
M 優しい旋律
リリ「うん……」
ママ「偉いよ家で夜1人で寂しいのに……」
リリ「でもリリ、そんなに寂しくないよ。お友達も居るし、楽しいよ!」
ママ「そっか……お友達ってツバキちゃん?」
リリ「あ、うん!そうそう今日も一緒に家に帰ったんだ、楽しかったよ!」
SE ママ、革ソファから立ち上がる
ママ「そっか、お引越しの事はもう話したの?」
リリ「あ、うん……ものすごく、悲しそうだったし寂しくなるって言ってたよ」
ママ「……そっか」
SE 蛇口から滴る水の音
SE テレビから流れる笑い声
ママ「んでもねお引越ししたらお仕事も今と比べて早く帰って来れるの……そうしたらリリは寂しい想いをする事はないと思うの」
SE リリに近づき、肩を摩る
ママ「朝もリリが学校行くまで居られるし、仕事も夕方までに終わる。休日だって今より沢山、お出掛けできる」
リリ「それでも……やっぱり離れ離れは寂しいよ」
ママ「うん分かるよ、大切な人と離れ離れは寂しくて当然だよ」
SE 摩りを止める
SE ママ、革ソファに座る
ママ「よし、じゃあこういうのはどう?」
リリ「なに?ママ……」
ママ「ほら来月、リリのお誕生日でしょ?その時にお家にツバキちゃんを招待するってのはどう?」
リリ「お家で、お誕生日会ってこと?」
SE ママ身体の向きを変え革ソファの摩擦音
ママ「そう、リリのお誕生日会!プレゼントとケーキ、後はご馳走をママが用意して祝うの」
リリ「本当?ママはお仕事ないの?」
ママ「お仕事は特別に休みを貰うわ……リリはそこでツバキちゃんにキチンと伝えるの」
リリ「伝える?今までありがとうって?」
SE リリ、鼻を啜る
ママ「それとコレからも宜しくねって伝えて約束をするの、引越ししてもまた会おうねって」
リリ「……伝えたら寂しくなくなるのかな」
SE ママ、リリの髪を優しく撫でる
ママ「寂しさは完全に消えないかもしれない。けどね2人がこの先また会えるって約束したら、その約束の日を想って前向きになれるはず」
リリ「そうだといいな……」
SE リリ、鼻を啜る
ママ「きっと、そうよ!誕生日会楽しみにしてて」
リリ「うん、ありがとママ」
SE ママ、手をパチンと叩く
M 穏やかに
ママ「よしっ、じゃあご飯作るかな!」
リリ「うん……!」
ママ「美味しく作るからなぁ!(徐々に遠くへ)」
SE 遠くで冷蔵庫開ける
SE テレビの音声が徐々に乱れる
リリ「ん……?」
SE テレビ音声元通り
リリ「ダメだよ、お家さん。(小声)」
SE テレビの音声乱れる
リリ「見つかったら、ママ怖がっちゃうよ?(小声)そしたら、お家さんが嫌われちゃうよ」
SE テレビ音声元通り
ママ「ん、リリ?どしたの?(遠くで)」
リリ「あっ、えっと!何でもないよ、独り言!」
ママ「あら、そう?(遠くで)」
SE 壁を軽くノックする音
リリ「ダメだってお家さん!ちょっと一回リリの部屋に来て!早く!(小声)」
SE 革ソファから立ち上がる
SE 荷物を持つ。
リリ「宿題してくるねママ!(移動しながら)」
ママ「はーい、出来たら呼ぶからね〜」
リリ「うん!」
SE 部屋を颯爽と歩く
SE リリの部屋の扉を素早く開ける
SE 扉閉める
M 険悪な
リリ「はあ〜……ママに見つかる所だったじゃん」
SE 部屋のカーテンが勢いよく閉まる
リリ「いつもは、そんな事しないのに……なんで、リリ以外がいる時に物浮かせたり音鳴らしたりしたの?お家さん!」
SE カーテンが勢いよく行ったり来たり
リリ「……怒ってるの?なんで?」
SE タンスの開け閉め
SE ベッドが軋む
SE 椅子が動き出す
リリ「分からないよ、伝わらないよ……お家さん」
SE カーテン勢いよく行ったり来たり
リリ「お家さん、ダメだからね……それだけは分かってよ?分かったら、机の引き出し開けて……」
(途端に無音)
リリ「ねぇ聞いてるの、お家さん?分かったら机の引き出しを開けて!なんで、急にリリに反応しなくなったの?」
M 更なる険悪
ママ「キャー!!(遠くから)」
リリ「え……?ママ!」
SE 勢いよくリリ、部屋の扉を開ける
SE 駆け足
リリ「ママ!ママ!どうしたの?」
ママ「り、リリ……離れて!」
リリ「なにが起きたの?」
ママ「……ガスコンロの火が勝手についたの」
SE コンロの火、勢いよく
ママ「ほら!触ってないのに、こ、故障かしら?こんな事、今までなかったのに」
リリ「怒ってる」
ママ「え?」
リリ「お家さんが、怒ってるんだよ……」
SE 2人、恐る恐る歩く
SE テレビ消えたり付いたり
ママ「っ!次はテレビが勝手に」
リリ「お家さんがテレビ付ける時は、テレビ番組を見たい時か、お話をしたい時……」
ママ「リリ。さっきからお家さんって」
リリ「ごめんママ、ちゃんと説明しなきゃだよね」
SE テレビ消えたり付いたり
リリ「ずっとね、このお家にはリリとママだけじゃなくて、もう1人いるんだ」
ママ「それがお家……さん?」
リリ「うん。リリがお家で1人でいる時に現れるの」
ママ「どう……して?」
SE テレビが付き、音声が歪む
リリ「それも分からない……だから、ママにもツバキちゃんにも今まで話せなかった」
ママ「リリ……」
リリ「でも勘違いして欲しくないのが、お家さんは悪い人じゃないって事……お家さんがいてくれたから寂しくなかったんだから。」
SE 蛇口の水が滴る音
SE 壁を強く叩かれる
リリ「ねえお家さん。さっきはゴメン、急に寂しい想いさせちゃったよね?謝るからさ!」
(無音が続く)
リリM「その後、お家さんはどうして反応しなかったのかな?」
【次の日】
SE 学校のチャイム
SE 喧騒
リリ「ねね、ツバキちゃん?教えて欲しい事があるんだけど、いい?」
ツバキ「ん?どしたの?」
リリM「今日の朝ママが優しく言っていたっけ。次に現れたら……直ぐに電話して欲しいって」
リリ「言葉を話せない人と一緒に会話をする方法って何かないかな?」
ツバキ「言葉を話せない人?」
リリM「でもリリはお家さんと一度しっかりと想いを伝え合いたいし聞きたい……友達として」
M 落ち着いた
ツバキ「例えば手話とか?」
リリ「う、う〜ん……手話以外だと何あるかな?」
ツバキ「手話以外なにがあるんだろ……。そういえばリンちゃんはどうしてそんな事、知りたいの?」
リリ「え?」
ツバキ「話せない人が近くにいるのかなあって」
リリ「そうだねツバキちゃんにも話さないとね……実は嘘みたいな事なんだけどね信じて欲しいんだ」
SE カラスの鳴き声
SE 玄関の扉が開閉
リリ「ただいま」
ツバキ「お邪魔しまーす!此処が噂のポルターガイストハウスかあ!!」
SE ツバキ、歩き回る
ツバキ「リリちゃんのお母さんはお仕事?」
リリ「うん、本当は勝手にお友達を家に呼んじゃダメなんだけど……内緒、だよ?」
SE 床が軋む
ツバキ「もちろん、もちろん!いやあ、こんな身近に現象に悩んでる人がいるなんて思わなかったよ」
リリ「うん、リリもいつかは話したいなって思ってたんだけど……ね」
ツバキ「ありがとう話してくれてリリちゃん!」
M 陽気な
SE 床にランドセルを雑に置く
SE ランドセルを開ける
ツバキ「よしっ早速、始めようかコックリさん!」
SE 本を机に置く
SE 本を捲る
ツバキ「元々、コックリさんって言うのは昔に遠い国の幽霊を呼び寄せる方法が日本に良い感じに伝わったやつなんだ」
SE 2人、革ソファに座る
リリ「幽霊って怖い幽霊?」
ツバキ「ううん、良いも悪いもないよ。だから、そのお家さんも呼び寄せれるかも!」
SE 本を捲る
ツバキ「ほら、ここ!」
SE 本、指でトントン
リリ「ホントだ……そう書いてるね」
SE 本、指でスライド
ツバキ「それとココにコックリさんを呼び出す為に必要な物が書かれてるから読んでみて!」
リリ「え、うん。えっと、五十音表・硬貨……」
ツバキ「そう!たったその二つで幽霊を呼べる!」
リリ「でもリリ、コックリさんを呼びたい訳じゃないよ?お家さんとお話をしたいの……」
SE ランドセルを漁る
ツバキ「大丈夫そこは私、考えてるから!」
SE 紙を取り出す
SE 紙を机に敷く
ツバキ「よしっ、オッケー!最後に10円玉を真ん中に置いてっと!」
SE 10円玉(硬貨)を机にトンと
ツバキ「お家さんが現れた時に10円玉を文字に沿って動かす様に伝えてリリちゃん!」
リリ「ああそっか!それでリリは伝えたい事を伝えれるし、お家さんもリリに伝えれる!」
ツバキ「そうそう!お家さんがリリちゃんをどう思ってるかの反応も分かるし良いアイデアでしょ!」
リリ「凄いよ、ツバキちゃん!」
SE 革ソファの軋み
M 真剣な
ツバキ「じゃあ……私の後に続いてリリちゃん」
リン「うん」
ツバキ「お家さん、お家さん、おいでください」
リン「お家さん、お家さん、おいでください」
(少しの間)
ツバキ「もう一度……お家さん、お家さん、おいでください」
リン「お家さん、お家さん、おいでください……お、おいでになったら10円玉を動かしてお家さん」
(数秒、間を置いて)
ツバキ「……こない……ね」
リン「そっか。」
ツバキ「もしかしたら今は話したくないのかも?」
リンM「アレから一度もリリの前にお家さんは現れなかった……やっぱり怒っちゃったのかな?」
SE バースデーソングがスマホから流れる
リンM「でも今日こそは、出てきて欲しいな……」
SE ママ、ツバキのバースデーソング(合唱)
SE リリ、喜び笑い
ママ、ツバキ「ハッピーバースデイ……トゥーユー……おめでとう!」
SE バースデーソング鳴り止む
リリ「ありがとうママ!ツバキちゃん!!」
SE ケーキの蝋燭に火を吹きかけるリリ
ママ「8歳の誕生日おめでとう……」
ツバキ「これからも友達だよリリちゃん!」
リリ「うん……」
SE ママ、皿にご馳走を乗せる
ママ「よしっ食べましょう!ほら、ツバキちゃんも遠慮しないでいいからね!」
ツバキ「はいっ、いっぱい食べます!」
SE 3人の笑い声
ママ「今日は特別な日だからね……」
ツバキ「なんてったって誕生日会だもんね」
リリ「えへへ(照れ笑い)別にそんなに大きな事じゃないでしょ?」
ママ「そんな事ないよ、誰だって誕生日は特別な日。例え遠くにいて一緒に過ごせなくても大切で特別な日よ」
SE 窓が小さく震え出す
ママ「ん?」
ツバキ「も、もしや……!」
SE 壁や窓、床がゆっくり揺れ動く
ママ「じ、地震じゃないわよね?」
リリ「ち、違うよ……ママ」
SE テレビが付く
リリ「違う……お家さんだ!お話したがってる!」
M 緊迫
SE リリ、革ソファから勢いよく立ち上がる
リリ「ツバキちゃん、アレ持ってきてないよね?」
SE ツバキ、革ソファから勢いよく立ち上がる
SE ポケットから紙と硬貨を取り出す
ツバキ「こんな事があろうかと!用意してきたんだ、リリちゃん!」
ママ「こ、コラ二人共、危ないから動かないで!」
リリ「きっと大丈夫だよ、ママ!……お家さんとリリは友達だもん……だから許してママ」
SE ツバキ、机のご馳走の皿やケーキを動かす
ツバキ「リリちゃんのお母さんもお願いします!手伝ってください!」
ママ「リリ……ツバキちゃん……?」
ツバキ「お願いします!リリのお母さん!」
SE 壁を2回優しくノック
ママ「わ……分かったわ……もし危なくなったら、直ぐに家から出るのよ皆んな!」
ツバキ「よしっ分かりました!」
リリ「うん……ありがとママ!」
SE ママ、ツバキ、机のご馳走の皿やケーキを動かす
リリ「お家さん……ありがと来てくれて……リリねちゃんとお家さんと話をしたいの!」
SE 机に紙を敷く
SE その中央に硬貨を置く
リリ「お家さん、お家さん……話を聞いて、この10円玉を動かして会話をしよう?」
ツバキ「も、もし、よかったら……10円玉を文字の上で動かしてね?」
(数秒の間)
リリ「お家さん……(祈るような声)」
ママ「も、もし。お話しをしてくれるなら……は・い・の上に10円玉を移動させてください……」
リリ「ま、ママ……(小声)?」
ママ「大丈夫、大丈夫よ、友達、なんでしょう?」
リリ「うん……ありがと(小声)」
SE ママ、リリの背中を摩る
SE 硬貨がゆっくりと動き出す
リリ「動いた!」
ツバキ「こ、これ……すごいよ!」
SE 硬貨がゆっくりと滑るように
リリ「は・い……だって!」
ママ「お話し、してくれるみたいね」
ツバキ「リリちゃん、ちゃんと伝えてあげて!」
リリ「えっと、直ぐに引越しの事、話せなくてごめんなさい。ホントは直ぐに話すべきだった……でも言えなかった」
SE 硬貨、動く
ママ「ど・う・し・て……」
リリ「だ、だって!話したらリリも悲しくなるし、お家さんだって……ツバキちゃんだって!」
ツバキ「リリちゃん……(小声)」
リリ「頑張って寂しくならないように、悲しくならないようにしたかった……でも、考える度に、やっぱり離れ離れになりたくないって思っちゃうの!」
SE 硬貨、動く
ツバキ「さ・び・し・い……」
リリ「うん……寂しいよ……だから、ごめんね。お家さんを寂しがせたり、怒らせたりして……」
SE 硬貨、動く
リリ「え?……こ・ち・ら・こ・そ……」
ママ「お家さん、きっと動揺してたんだわ……いつもは優しく遊んでくれてたんでしょ?リリ……」
リリ「うん……」
SE リリ、鼻を啜る
ツバキ「私も、そりゃ悔しいぐらい寂しいよ、お家さん。でも、皆んなを怖らがせたらダメだよ?」
SE 硬貨、動く
ママ「は・い……だって(少し笑う)正直だね」
リリ「(微笑む声)うん……」
SE 硬貨、動く
リリ「ご・め・ん・な・さ・い……ううん、動揺して悲しくなるのも分かるよ……」
SE 硬貨、動く
リリ「ひ・と・り・こ・わ・い……うん、リリも」
SE リリの鼻の啜り
ママ「あっ、そうだ!」
SE ママ、手をパチンと叩く
SE 颯爽と立ち上がり、歩き出す
リリ「どしたのママ?」
ママ「リリに誕生日プレゼントだよ(遠い所から段々と近く)」
リリ「プレゼント?」
ママ「ええ。はい、誕生日おめでとう……」
ツバキ「うお!よかったねリリ!」
SE 箱をゆっくりと開ける
リリ「え!これって!スマホ?ホントにいいの?」
ツバキ「うわあ!しかもコレ最新のじゃない?」
ママ「そうなの!これで、ツバキちゃんとも……お家さんとも、どんなに遠くにいても側に感じれる……そうじゃない?」
リリ「ホント!!」
ママ「まあ、でもツバキちゃんはスマホを持ってないかもしれないから」
ツバキ「私!持ってますよ!(食い気味に)」
SE 硬貨、動く
リリ「……ん、なになに?」
ツバキ「と・お・く・て・も・?」
ママ「ええ、どんなに遠くても……」
リリ「でも、お家さんスマホなんて使えるの?」
ツバキ「そこは幽霊さんだから、できる?」
SE 硬貨、動く
リリ「わ・か・ら・な・い……」
ツバキ「あぁ、幽霊でもあるんだ出来ないこと」
SE 硬貨、動く
ママ「ご・め・ん……いいえ、謝らないでお家さん、ママが早とちりしちゃったからよ」
(少しの間)
リリ「じ、じゃあさ!約束しよう!」
ツバキ「約束……?」
リリ「うん!此処で……この場所で、お家さんとツバキちゃんとで集まるの!そして、かくれんぼしようよ!!」
ツバキ「うわ、いいね!」
ママ「ちゃんと言えたねリリ……(小声)」
SE バースデーソングが流れる
ママ「あ、あら?勝手に音楽が……」
リリ「お家さん!」
SE 硬貨が動く
ツバキ「ほら見て、リリちゃん」
リリ「お・め・で・と・う」
SE バースデーソングが流れる
リリ「ありがとう!みんな!」
SE 小鳥のさえずり
SE 車のエンジン音
ママ「リリ〜もう出発するよ!(外の遠くから)」
SE 軋む床をゆっくりと歩くリリ
SE その場で座り込む
リリ「お家さんのお陰で、ママともツバキちゃんとも、もっと仲良くなれた気がする……」
「全部、お家さんがいてくれたからリリは前向きでいられたんだ……」
SE 壁から一回ノック
リリ「うん、楽しかった……」
SE 玄関扉が開く
ママ「リリ〜!もうこれ以上は遅刻しちょうよ?(遠くから)」
リリ「うん、分かった!」
SE リリ、立ち上がると床軋む
リリ「……じゃあ、お家さん行くね……絶対にまた、隠れんぼ、ね!」
SE 玄関前の扉がゆっくり開く
リリ「お家さん、ありがとう」
SE 玄関前の扉がゆっくり閉まる
リリ「お家さん……バイバイ!!」
完
少しでも今作が安らかに眠って欲しいので感想、評価等、宜しくお願いたします。




