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数億年後の君へ  作者: 櫛名
第二章
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啓示派の者達


律を先頭に全員が一斉に動き出す。無駄に凝っている通路を通り、目の前に現れた無駄に豪華な扉をルージュが火魔法で破壊し発煙弾を投げ込む。小隊員はドアの手前壁面に隠れ無差別な銃撃をやり過ごす。


「クリアリング後に全員突入、壁側に居る敵を掃討しろ」

「「了解」」


律が気配を探り、ルージュがサーチで室内を確認する。


「右側に4名左側に2名、中央に3名。武装しているのは右側2名に左側2名あってるかルージュ」

「あぁ、それで間違いない。トラップも無いようだ」

「では一班は右側、二班は左側を無力化してくれ」


律の指示で班員は動き出す。即座に室内に入り、小隊員は武総員を一人ずつ着実に減らしていく。けたたましく鳴り響く銃声もすぐになくなり、啓示派は何が起こっているか分からずに残存人数は中央の三人のみとなった。


「やぁ、君はこの拠点の責任者かな?」


絶対零度をも生ぬるい視線で律は中心にいる啓示派の責任者らしき人物を見る。


白いローブで体を覆い、凝った刺繡が入ったストラを羽織っている。いかにも胡散臭い宗教家が好んで着るような姿だろう。


「あぁ?どうだが」


参った。こいつは司祭ではない、司教だ。防衛大臣より捕虜にしてほしいと言われた人物に該当してしまう。


「一応聞くがそのまま捕虜になる覚悟はあるかな?」

「残念ながらお前ら帝国主義者の捕虜になる気などさらさらない。我々が手を出さずとも後に無神論者には神の裁きがあろう」

「神の裁きねぇ......存在も不確かな神を信じて何になる?」

「それを決めるのは我々ではない。神だ。神こそがすべてを決めるのだ。」


手を振り上げ、気味が悪い笑顔を向けてくる。


「その結果が今の啓示派なのだろう?いい加減大人しくしてくれないか?」

「それは無理な話だ。むしろ我々の神を全て否定した卑しい血統や貴様ら無神論者どもこそ、大人しくするべきだ。お前らは罰当たりにも真の神を信じず、160年も前から正しい信仰者たる我々を排斥し、聖地から追い出している。それがどれだけ無礼で卑劣なことか、何故まだ分からぬのだ?」

「分からんな。お前たちは管理者との戦争を勃発させた張本人達だ、追い出されるのは当然だろう。お前らのせいでどれだけの人類が死んだと思っているんだ。」

「死んだ?なかなか面白い冗談を言えるではないか若い衆。」


司教は笑い出す。その笑い声は不気味でこの上なく不快な嫌悪感を生み出すようなそんな笑い声だ。


「失礼、あまりにも面白い冗談につい笑ってしまった。」


司教はハタハタと手を叩き身なりを整える


「どうやら君は勘違いしているようだ、彼らは死んだのではない。救われたのだよ。卑しい血統が支配するあの帝国から解放されたのだよ」

「我々が信じる神はたとえ異教の者でも救ってくださる非常にお優しい神だ。それは管理者になぎ倒され焼かれ、魂だけになった帝国民も例外ではない。我らが神は慈悲深くも彼らに帝国の真実を教え、皆一様に神によって救われている。どうだ、とても素晴らしいと思わないか?」


司教は周囲を見て賛同を求めるそぶりを見せる。しかし頷いたものはいなかった。


「まぁいい、それは我々が帝国を解放する時に分かるだろう。どれだけの子供が死のうとも、若者が死のうとも我らが死のうとも。神は全ての過程に意味を授け、全ての人類を救ってくださるだろう。どうだ?お前たちも今のうちにこちら側に来ないかね?」


再度、気味が悪い笑顔を向けてくる司教。これ以上話をするだけ無駄だろう。全てが破綻しており、全てが希望的観測だ。


「ルージュ、司教の両隣に居るのは司祭、何をしても自由だ許可を出そう。だが司教は捕虜にしなければならない」

「分かってる。さっさと終わらせよう」

「あぁ、こんな気色悪い奴二度と野放しには出来ないからな」


こんなやつ見るだけで不快だ。生かしておくだけ無駄ではあるのだが、せめて帝国のために良いにえになってくっることを願うばかりだ。


律は剣を抜きルージュはグレネードと杖を持ち構える。司教と司祭は大きな杖を持ち迎え撃つ姿勢を取る。


「正直、残念だ。話せば君たちでも我々の崇高な理念が伝わると思ったのだが......」

「いい加減黙れ、クズども」


律は剣を抜き司教の右腕を切り飛ばす。一瞬の出来事だが司祭たちの視線がこちらに集中し杖を構える。しかし彼らは隙が大きすぎた、ルージュはグレネードを全力投球し司祭一人ずつプレゼントと言わんばかりにボディーにめり込ませる。


しかしグレネードの勢いは司祭に当たっても変わらず。そのまま部屋の奥までは吹っ飛び壁に衝突して爆発する。その様子を司教は右手を抑えながら屈んで恐怖にかられた瞳で呆然とみていた。


「では司教。ご同行願いますね」

「ま、まってくれ」


律は司教の首元に一撃を浴びせ気絶させる。


最後に命乞いとは、先ほどの弁舌をした割には実に情けない限りである。本当にあの程度で我々に勝てると思っていたのだろうか。


周囲を見渡し各班長からのハンドシグナルで残敵が居ないと知らされる。どうやらこれで本当に終わりの様だ。外見だけ立派なスクラップというのもあながち間違ってはいなかったらしい。ルージュに目を向けると快晴の空を見渡すが如き晴れやかな目をしていた。


「はぁっ。すっきりした」

「そりゃようござんした」


どうやら本当に夢だったらしい。いつもの軽口かと思っていたが意外である。


「少将、この後はいかがなされます?」

「そうだな、ルージュ書類関係はどうするんだ?まだ取り残している物もあるとは思うが」

「ん?あぁお前は知らされてないと思うが、情報部の者が来てそのまま施設内をくまなく捜査し全部回収する」

「......なぜそれを伝えてないんだ?」

「別に伝えなくても、情報部の公証見せればいつもの奴か。となるだろ?」

「まぁ、そうだな」


確かにそうかもしれないが、正直知らせてもらいたかった物である。


「ひとまず終わったことだしさっさと帰ろうぜ」

「お前は帰れるんだな」

「もちろん。そういう手筈になってるからな俺は」

「なるほどな」


啓示派の拠点襲撃から書類の全捜索までやっていれば、いくら忙しい情報部でもハードワークここに極まれりだ。流石にあの男も気を使ったのだろう


「さて、小隊各員撤収準備をしろ。この司教は捕虜だ、死んでもらっては困るため右手の止血をして荷台にぶち込んでおけ」

「分かりました」


小隊員の声を聴きながら律は頷き部屋を出るために歩き出す。昔の資料で見たような神殿造りだなと思いつつ、皆を待てば小隊員は徐々に整列をはじめ少しすれば全員が並び終わる。


「準備は出来たな。では総員帰るぞ」


正直新年一発目がこのような内容になるとは思っていませんでした......。

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