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数億年後の君へ  作者: 櫛名
第二章
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啓示派掃討作戦


東門を出てすぐにある少し開けた土地。普段は静かで落ち着きのある場所で絶好の昼寝スポットでもあるのだが、今日はそうではないだろう。早朝にもかかわらず次々と集まる兵士にざわめく新兵達で埋め尽くされた、不安と緊張に包まれた空気がその場を埋め尽くしているのだから。


まぁ、緊張するのは無理はない。新兵にとっては端から端まで視界を兵士で詰め尽くされたことなどそうそうない。それも訓練用の武器ではなく実物となればなおさらである。


「おい、いつもの訓練場は西の正門前だよな。なんで東門なんだ?」

「なんでこんなに人数が居るんだよ訓練じゃないのかよ」

「俺も知りてぇよ、こっちも混乱してんだ」

「俺はどんな訓練でも覚悟は出来てる」

「意識高いなお前......」


そんな声がそこかしこで聞こえる。しかし混乱していたのは新兵だけではない。新兵をある程度束ねる100人将もこの妙な状況に混乱していた。彼らは500人将に「お前らここにこの時間に集まっておけ」としか言われておらず、100人将各員は、それぞれ100人での訓練だと思って来ていたのだから。


「いやぁ律少将、相変わらず情報封鎖完璧すぎないか?ここまで来たら怖いぞ」

「何をいまさら。お前だってこれくらいはできるだろルージュ殿」


大体の場合、情報封鎖はどこからか漏れるものだ。それは否定しない。しかし今回の目的地が啓示派の拠点であることも、掃討作戦が実行されるというのも。全体を知っている者は数にして約50人、それくらいであればぎりぎり制御できない数ではない。


「ありゃ新兵達かなり警戒してるな。まともにやれるのか?」

「まぁ取り逃しを仕留めるだけだし、それくらいは大丈夫だろ」

「そうかもしれないが、あれ見ろよ」


ルージュが半目で指を刺す人物を見てみる。


「おぉ、すごいなあれ」


槍を片手に足先から手の先まで、ものすごい勢いで震えている新兵。あそこまで震えている人物を見るのは律も初である。


「感心している場合か、まるで死ぬと分かっている場所に行く新兵の様だぞ。行軍中に倒れないよな」

「まぁ、倒れたとしても放置するがな」


今回の新兵の任務は周りの包囲と、とり逃しの殲滅のみ。人一人減ったところで問題など無い。


「ひとまず新兵達を安心させて来いよ。英雄殿」

「はいはい、檄を飛ばせばいいんだろ?めんどくさいなぁ」

「指揮官の檄は重要だぞ?士気にかかわるからな」

「分かってる分かってる。さっさと行って新兵でもそれなりに戦えるようにしてきてやるから待っとけ」


かなりめんどくさいことではあるが、総指揮官になった以上致し方ないことだ。甘んじて受け入れることにしよう。


「小隊ついてこい」

「いやな顔が隠せてないですぞ律少将」

「おやおや軽口を言ってる場合か?お前も隠せてないぞ」

「おや、これは失礼」


クスクスと笑いが起こる小隊。それもそうだ、ここに居る小隊は全員こういうことが嫌いなのだから。


「まぁ、いつもの通りやれば問題ないさ分かったかお前ら」

「「「イェスオール」」」

「よろしいではいくとするか」


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