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数億年後の君へ  作者: 櫛名
第二章
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共に歩く者達


冷たい空気、すっかり冬仕様になった煌びやかな街の様子を見ながら、石畳の上を3人は歩いていた。


「そういえば、何を買うんだ律」


ルージュの言葉に律は、そういえば買い物に行くとしか言ってなかったなと思い、ルージュを見た。


「そうだな、まぁ色々あるが一言で言うなら食料品全般だ」

「だいぶ大雑把ですね......」

「フォルテ、残念ながら律のこの言葉は大体事実だ。」

「え?」


フォルテの反応とは裏腹に、ルージュの半ば呆れた視線が律に刺さる。その視線に律は「仕方ないだろう、いつもの事なんだから」と片手を振り、暗に分かってくれと示し、お茶を濁すしかなかった。


「いいや、そもそもお前は料理がしっかりしすぎてるんだよ。どう考えてもおかしいだろ、あの出来は」

「褒められたと思っておこう」

「褒めてはいるが、お前の料理を食べた後に食った食堂のあの惨めさ。お前には分からんだろうな」

「そりゃ......食堂の飯はあんまり旨くないだろう?自分で作れ」

「作れって......お前レベルのは無理に決まってるだろ」

「あ、あのー......」


ルージュと話していたところに、困惑した一言が律の耳に届いた。その声の方向に律は視線を向けると、フォルテが若干気まずそうな表情をしていた。そういえば今日は3人だった。いつもルージュと二人だったのでつい、いつものノリで話してしまった。ルージュもフォルテの表情を見てマズった。と思ったのか律にも視線を投げてきた。律はアイコンタクトで気をつけようと合図を出し、ルージュは頷いた。


「悪い、いつも二人だったから完全に視界から外れていた」

「すまないな。わが部下よ」

「いいえ、大丈夫なのですが、ルージュさんそのキャラは似合いませんよ」

「ありゃ、手厳しい」


ルージュはフォルテの言葉に頭をかいてごまかしていた。どうやら部下にもルージュという存在は、基本ふざけている人という認識のようだ。律はそれはそれで上司としてどうなんだ?と思いフォルテを見たが、そこまで表情に変化がない。おそらく彼らなりの在り方なのだろう。


「それで、話を聞く限り律様は料理がお得意なのですか?」

「いいや、得意なんてもんじゃない。フォルテお前も食ってみたらわかる。他で食べる飯がしばらくおいしく感じられなくなって、後悔するからおすすめはしないけどな」

「言いすぎだ。あくまで趣味の域だよ」

「は、はあ。」


ルージュの過大評価に、律はあくまで趣味の領域というスタンスを崩さないでおいた。しかし律のもとにルージュからの冷たい視線が送られるが、変える気はないぞと、無視した。


「まぁいい、んで律今日は何日分を買うんだ?」

「今日は4日分だな。約束事もあるし」

「ほーん?約束事ねぇ」

「なんだよ」

「律様って約束事あるんですね」

「えぇ俺なんだと思われてるんだ......」

「いやお前、冷静に考えてみろよ。この国の英雄が約束事だぞ?」


その言葉通りに当てはめたら、確かに大事かもしれない。しかし律の約束事は、セリフィアと夕飯を共にするというだけだ。さして大事でもない......はずである。


「まぁ大したことではない。あまり気にするな」

「内容は言わないんだな」

「まぁルージュさん律様にもいろいろあるのでしょう」

「それはそうだが、気にはなるだろ?」

「そうですね。国の英雄に約束事を取り付けられる存在。とても気になります」


本当に大したことではないんだが......やはり立場が悪さをしているのだろう。そう思い律はそっとため息をつく。


「フォルテ、いいかい。国の英雄だからと言って大臣と会食とか、皇帝と遊びに行くとかはないんだぞ?」

「それは知ってますよ?」

「じゃあなぜ、気になっているんだ?」

「情報部で、そのような約束事をしているという事実が、確認できていないからですね」


今、何と言っただろうか,,,,,,情報部でそのような事実が確認されていない?つまりは情報部はそんな情報まで仕入れているのか......?


「なぁルージュ、お前もそこまで把握していたのか?」

「ん?あぁそうだぞ、大体は把握していた。そこまで俺は詳細ではないが、どこに行くかくらいはな」

「勤務時間外も?」

「場合によってはそうだな。お前を野放しにしていたら、少々危険だしな。別に俺は大丈夫だとは思っているが、立場上、一人で要人を暗殺できる奴はマークせざるを得ないのでな」


なるほど、そう言われてしまうと頷くしかない。律も情報部の立場だったら当然マークするだろう。納得したか?というルージュの視線に、律はため息を漏らし小さく頷いた。しかし、しばらくは納得のいかない律をみて情報部の二人が笑うという、絶妙に居心地が悪い状況に追い込まれてしまった。そんな空気が少し経った頃ルージュが急に足を止めた。


「さてさて律さんよ?着きましたぜ」


ルージュの言葉に、律は目の前の店を見上げると、律には見慣れたレンガ造の倉庫のような食材販売店が目に映る。品揃えがとても良く、ここら辺の人が大変お世話になっている店だ。


「あぁ、そうだな」

「ここがそうなのですね」

「フォルテは来るのは初めてか?」

「ええそうですねこの店舗は初めてです」

「品揃え完璧だぞここ」

「いいですねぇ」


3人は店に向けて歩を進める。多少のギクシャクはあったが、それもまぁいいだろう。いくら意見しても変えられないものは変えられないのだから。




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