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数億年後の君へ  作者: 櫛名
第二章
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日常とは


「いよっ」


夕暮れ時、律は仕事が終わり小隊長室を出ようと荷物をまとめていたところ、よく知っている声に引き留められる。


「ルージュ、お前仕事は?」

「今終わったところさ、途中まで一緒に帰らないか?」

「それはいいが......今日はついでに買い出しに行く予定だぞ」

「おっいいねぇ、俺も切らしている物があったからちょうどよかった。一緒に行こうか」


律の言葉に軽く乗るルージュ。ここまですんなり乗ると、それはそれで違和感がある。そのため律はルージュに怪しむような目線を送ったその視界の端で、ルージュの隣に誰か立っていることに気づいた。身長はルージュより少し高いだろうか。眼鏡越しの視線も鋭く、整った緑髪の青年は、その立ち姿だけでエリートの称号に相応しい雰囲気を醸し出していた。


「ルージュ。隣の人は誰だ?」

「ん?あぁ、彼はカーター・フォルテ。お前が心配していた俺の部下だぞ」

「初めまして律様。ルージュさんの部下、カーター・フォルテです。」

「あぁ......お疲れ様です」


律はフォルテを見て憐れむような視線を送る。そしてその視線を感じたのか、フォルテは少し引きつった笑顔を律に向けた。やはりルージュは部下に無理をさせているようだ。


「何かあれば何でも言ってくれ。」

「おい、俺には絶対そんなこと言わないだろ」

「お前は別だからな」


律は、ルージュの「まぁそうか」という言葉を聞きながら小隊長室を出る。少し寒く、夕焼けの色をした通路で二人の様子を見ると、もうすでに退勤してるようで片手に荷物を持っていた。


「情報部に寄る必要はなさそうだな」

「おう、とりあえず買い出しだったよな。いつもの街か?」

「そうだな。フォルテさんは?」

「そうですね、私も同行します。あと、呼び捨てで構いませんよ律様」

「ん?そうなのか、じゃあ俺の名前も呼び捨てで大丈夫だぞ」

「いえ、私はあえてつけさせていただきます。そうしないと後々何か起きそうなので......」


その含みの回答に、律は首をかしげるがルージュが一時期、周りから冷たい視線で見られていたという現象を思い出し、「あぁ......」と思わず声に出てしまった。


ルージュは二人のぎこちない空気を察したのか、律の腕を引っ張る。


「とりあえず、行こうぜ」

「それもそうだな、って......ちょ、転ぶって」

「このくらいで転ぶようなたちじゃないだろお前」

「うっせ、おら、放せっ」


ルージュと律のやり取りは、まるで男子学生のように見えたのだろう。くふっと、その光景を見ていたフォルテが笑っていたのだから。その笑っている様子を見た二人も、何かおかしく感じ共に笑ってしまった。


ひとしきり笑い終わったあとで、律は一歩前に出る。


「んじゃ、ぼちぼち行こうか」

「んだな」

「そうですね」


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