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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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真智の家に避難(2)


「仕方ないなぁ。教えてあげるよ」

「マジで!?」

「よかったじゃないか、真智。真宵ちゃんがいる間、宿題を進めてしまいなさい」

「そうね。そうしたら旅行にも心置きなく行けるわ」

「旅行?」

「おう! 結界の端っこの方に旅行に行くんだー! おじさんの仕事のついでなんだけどさー」

 

 へー、いいなー。

 旅行……旅行かぁ。

 考えたことなかったなぁ。

 でも結界の端の方って、行って平気なの?

 

「仕事ということは、お祓い関係ですか?」

「そう。先日の夏祭りで善岩寺(ぜんがんじ)家のご夫婦に相談されてね。悪魔が住む屋敷のお祓いに、協力することになったんだ」

「……あ……悪魔が……」

 

 善岩寺(ぜんがんじ)家の、夫婦。

 確かに夏祭りの時、私が一夜さんと話していた時に保護者同士で話していたな。

 あの時――悪魔が住む屋敷の話をしていたのか。

 ……善岩寺(ぜんがんじ)家の……。

 

「あ、あの、そのお屋敷って……だ、大丈夫なのでしょうか?」

「一応宇治家(うち)は悪魔祓いのプロだからね。話を聞く限りなんとかなりそうな家ではあったよ。住んでいる人もいないようだから、取り憑かれている人から追い出す系ではなく直接対峙する形になりそうだが」

「お祓いにはついて行っちゃダメなんだよなー?」

「ダメだね。真智はまだ危険だ。悪魔は悪霊よりも強い。真智の今の霊力量と実力では見学もさせてあげられないよ」

「ちえー」

 

 ちぇーじゃないよ。

 それにしても……悪魔か。

 嫌だな、真智の叔父さんと、十夜のお母さん、お父さんが悪魔と関わるの。

 十夜の場合は『悪霊に乗っ取られて行方不明になる母』というプロフィールだけれど、真智は『悪魔に“両親を”殺害されて復讐者となる』わけだ。

 もちろん、真智叔父や善岩寺(ぜんがんじ)夫妻がプロなのもわかる。

 私が心配しすぎなのだろう。

 でも、やっぱり悪魔と関わると聞くと不安になる。

 真智も十夜も、まだゲームプロフィールの“事件”が起こる年齢なんだもの。

 幼少期をたとえば小学校低学年と仮定するのなら、小学校高学年になるまでは不安が続く。

 

「そのお仕事、取材させていただくことはできないでしょうか?」

 

 不安だ。

 不安だから、私がついていくことはできない?

 取材といえばなんとかついていけないかな、と提案してみたが、やはり真智叔父には笑顔で「ははは、ちょっと難しいかな」と言われてしまう。

 そ、そうだよね。

 依頼された仕事なら、子どもがついていくのは無理だよね。

 

「屋敷には連れて行けないが、旅行なら一緒に来ても構わないよ。千頭山(せんずやま)家の様子がおかしいのなら、落ち着くまでうちで“旅行”していたことにすればいい」

「い、いいんですか!? でもあの、家族旅行、ですよね……!?」

「もちろん構わないよ。真宵ちゃんには真智がいつもお世話になっているしね」

「そーだぞ、一緒にいこーぜ!」

 

 マジか、いいのか、旅行について行って。

 正直泊まる場所は別でもいいからって思っていた。

 いや、でも……旅行となると交通費や宿泊費が――。

 

「で、でも、取材しせていただけないと……経費で落ちない」

「し、しっかり考えておられるのですね……真宵さん」

「それなら別荘近場の神社を取材してみるのはどうかな? パワースポットとして有名な、大栄(だいさかえ)神社があるんだ。白蛇が祀られていて、皮膚病に御利益があると言われているよ。真宵ちゃんが参拝すれば、修行になると思うよ」

「だいさかえ神社、ですか……」

 

 そういえば秋月も『心霊すぽっとやぱわーすぽっと? という神社巡りも、霊力を増強することができるからおすすめ』って前に言ってたな。

 思えば言われた割に神社参拝には一度も行ったことがない。

 どんなものなのか一度は行ってみたいと思っていたけれど、どこの神社がいいのかまでわからなかった。

 これを機会に行ってみるのもいいかも?

 

「確かに、取材としてなら交通費も宿泊費もそれに伴う食費も経費計上できます!」

「では、行く方向でいいかな?」

「はい! ぜひ!」

 

 その大栄神社の動画を撮って、Vtuberとして初の“出張”にしてみよう!

 

「じゃあそのためにも真智は今日一日で宿題ドリルをいっぱい進めておかないとね」

「エッ」

「私、霊力回復のためにたくさん食べなきゃいけないから先に準備しておいてね。目標はドリルの半分まで! ……そういえば、自由研究のお経の暗記はどこまで進んでいるの?」

 

 思い切り目を背けられる。

 ああ、これはお経暗記の方も進んでないな。

 

「もう、仕方ないなぁ。お経の暗記も手伝ってあげるよ。神社に参拝するのならそこで読ませていただきましょう。間違っていてもいただけるもの」

「そうだね。神社は心がこもったお経さえ読めば力を分けてくださるだろう。とはいえ、うちは悪魔祓いの家だから、ラテン語の勉強もしなければならないけれどね」

「えー、英語でも難しいのに、ラテン語なんてもっとわかんないよー」

「悪魔祓いにはラテン語が必要なんですか?」

「悪魔は元々日本にはいなかったんだよ。国外から避難してきた外国人が増え、悪魔も増えたんだ。そして、最初の悪魔はラテン語で神の力を借りて倒された。悪魔はその系譜から、ラテン語を非常に恐れる。自分たちの始祖を倒した言葉だからね」

 

 それゆえ、悪魔祓い師はラテン語の習得が推奨されているそうだ。

 まあ、言語の習得なんて簡単じゃない。

 それに、正しいラテン語の発音を確認できる人間も日本国内で三人くらい。

 必須にできないのはそう言う事情。

 しかし逆を言うとラテン語を習得できたら超強い。



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― 新着の感想 ―
真宵ちゃんラテン語まで習得する気かな スーパー小学生ですね!
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