表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/107

フランクフルト


「それも大事なことだけれど、誘拐されたということだよね?」

「あ」

 

 日和(ひより)が笑顔で覗き込んでくる。

 (すぐる)の後ろに縮こまっているとさすがにまずいと思ったのか「ごめんね、大丈夫だよ。ただ、俺の婚約者候補筆頭である君を誘拐だなんてした輩にはそれ相応の……」とか言い出したので「やめてください」と言ってしまった。

 婚約者候補筆頭ってなんだおめえええ!

 勝手なこと言うな!


「すみません、お嬢。日和(ひより)がまた勝手に話を進めていて。そういう自分勝手なところが良くないのだと、再三言っているのですが」

「そうですよ。私、結婚は考えてないって言ったのに」

今は(・・)、だろう? あと十年もしたらきっとその気になるよう、俺が頑張る!」


 頑張るって……。

 いや、まあ、頑張るのは勝手だと思うけれども。

 変わった、と日和(ひより)のお姉さんが言ってたけれど、これ、変わったのかぁ?

 思わず(すぐる)を見上げると、微妙な表情。

 一応変わった、マシになった……のか。そうか……。


「つまり未来の俺の嫁を誘拐しようとしたってことだろう? 殺す」

「ダメですよ!?」

「未来のお嫁さん確定じゃないですよ!」


 なんてことを言うんだこの男は。

 あまりにも日和(ひより)

 天上天下唯我独尊を地でいく男……!


「でも不届き者がこの会場にいるのは確かだろう? おい」

「かしこまりました」


 使用人――いや、ボディーガードに合図する日和(ひより)

 即座にボディーガードたちが日和(ひより)が目で合図した方向に走っていく。

 え? 待って?

 私、自分が走ってきた方向とか覚えてないよ?

 なんでそれなのに日和(ひより)は私を誘拐しようとした犯人のいる方向がわかるの?


「あちらの方向で間違いないのですか?」

「間違いないよ。それに、うちのSPたちもある程度霊視ができる。真宵嬢の混乱した気の残滓を追えば、犯人の場所はだいたいわかる」

「そういうものなのですか」

「っ……」


 私の混乱した気の、残滓を追う。

 私自身も集中して自分の気を追うと……本当だ。

 結構ジグザグに走りながら、林の中を走って祭りの明かりを頼りにこっちにたどり着いたっぽい。

 意識しなければわからないのに、日和(ひより)は即座にこれができるのか。


「犯人は捕らえたら事実確認して警察に引っ立てるから、もしかしたら嫌なことを思い出させてしまうかもしれないけれど……頑張れるかい? 真宵嬢」

「は、はい……。犯人はちゃんと裁かれなければ……妖怪になってしまうかもしれないので」

「そうだね」


 こくり、と真顔で頷く日和(ひより)(すぐる)

 二人の真剣な眼差しが、それだけこの世界で妖怪になる恐ろしさを物語っているようで……。

 なんだか――また恐怖が蘇ってくる。


「なにか温かくて美味しいまのでも食べましょう。お嬢はなにか食べたいものや、飲みたいものはありますか?」

「え、ええと……」


 私が怯えているのを思い出し怯えだと思ったのか、(すぐる)が肩を抱いてポンポンと軽く叩く。

 安心させるように。

 物理的に捕まって、無理矢理連れて行かれた。

 だからこんなポンポンでも怖がりそうなものなのに、私の体は(すぐる)の行為に安堵感を覚える。

 不思議だけれど……でも、(すぐる)はなんかこう、私に『結婚結婚』とか言わないから安心なんだよね。

 それに、夏なのに温かいものを食べよう、なんて……。

 前世の猛暑だったら絶対『冷たいものがいい』って言ってだろうなぁとか考えてしまって。

 そこじゃねーよ、と自分で自分の心に突っ込んでしまう。


「……ソーセージ……」

「ホットドッグやフランクフルトですか?」

「うん、うん、そう」


 近くに見えた暖簾を指差すと、(すぐる)がすぐにフランクフルトを買ってきてくれた。

 串物は危ないからと、休憩できる椅子のある場所に連れて行ってくれる。

 なんか、こういう場所で食べるフランクフルトから漂う絶対体によくなさそうな油の香り、魅惑的すぎてやばいな。

 あと、ちょっと不満なんだけどマスタードは……ついてないのか。

 そうか、小学生にマスタードは苦いしからいか。

 子ども舌なの忘れてた。

 しかし……世界の半分がなくなっているのに、ホットドッグやフランクフルトはあるんだ?

 なんかあんまり考えたことなかったな、こういうものがいつ日本に入ってきたのか、とか。


「美味しい」

「よかったです。フライドポテトも買ってきたので、食べられそうならどうぞ」

「ありがとう……」


 フライドポテトまで……。

 しかし備えつけに差し出されたのはお茶。

 そこはコーラじゃないんかい。


「どうかしましたか?」

「う……ううん。ねえ、(すぐる)、これは日本以外の食べ物だよね?」

「え? まあ、そうですね。ヨーロッパやアメリカの食べ物も、大陸を経由して入ってくることがあるんですよ。ソーセージやフランクフルトなどは肉の保存食なので、冬場のタンパク質として日本でも定番の品となっております」


 商人モードだぁ。

 なるほどね、大陸は地続きだから、生き残っている人たちから文化としても支援としても流入はあるのか。

 結界の外……それよりもっと遠くの、海外はどんな感じなのだろう。

 文化が入ってきているってことは、生き残っている人も結構たくさんいるのだろうか?


「海外ってどうなってるのかなぁ。こういうものも、もっとたくさんあればいいのに」

「そうですね。浄化が進めば土地も作物が採れるようになるし、牛や羊や鶏の数も増えるでしょう。今は中国が世界の食糧庫として機能していますけれど、我が国でも食糧問題は年々深刻化していますし……」

「う、うん」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
、、十夜くんは?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ