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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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携帯ゲット!


 十夜母が御愚間(おぐま)母に笑顔で牽制。

 多分これで“秘密裏に”と言う暗黙の了解が完了する。

 これで少しずつ『千頭山(せんずやま)家の当主がおかしい』と他の六家に伝わるようなる、はず。

 安倍家と大離神(おおりかみ)家が動いてくれれば、あの鬼ババアも表に出て来ざるを得ない。

 かと言って安倍家と大離神(おおりかみ)家の人にはそう簡単に会えない。

 なぜならほとんどの発言権がある人が結界の外に住んでいるから。

 彼らが戻ってくるのは年末年始。

 それにはまだ半年以上ある。

 その時に鬼ババアの中の悪魔を取り祓ってもらえたら、なにかが変わるのだろうか?

 少なくとも悪魔になる前の鬼ババアが鬼でなければ私の待遇は少しはよくなるかもしれないし、私を殺すために呪具の代わりにされることもないかも?

 まあ、あんまりその辺りは期待しないつもりだけれど。


「真宵ちゃんは女の子だものね、携帯電話がないのはまずいわ。なにか困ったことがあったら助けを呼べないものね。世の中小さな女の子が好きな男も多いし」


 シャレにならねぇ……。


「そうね、携帯電話はいただけるかしら? 契約は私がするから」

「おばさま、本当にいいんですか!?」


 結構ダメ元だったんだけれど!?

 予想外に十夜母はノリノリ。


「私にも娘がいるもの。誰とも連絡がつかない女の子が一人で住んでいると思うと胸が痛むわ」

「あ、一応、使用人と一緒に住んでいますので……」

「そうなの?」

「……まあ……あの……中学生の女子なのですが……」

「その子も危ないじゃない!」


 ですよね!

 まともな大人はそう思いますよね!


「でも、さすがに使用人の携帯電話までお世話になるのは……」

「二人分増えたところでなにも問題ないわよ! 家族割で割引が増えるだけ!」

「お得!?」

「お得よ!」


 じゃあ甘えてもいいか!


「それじゃあ、使用人の分もお願いしてもよろしいですか?」

「もちろんよ。御愚間(おぐま)さん、いいかしら? 二台、追加で新規契約しても。あ、もちろん我が家の家族として」

「もちろんでございます! すぐにご用意いたします!」


 え!? この店舗、どこからどう見ても携帯電話とか売ってないよね?

 驚いていたら御愚間(おぐま)父が「家電や電化製品、それらの契約関係は別店舗となりますので、お手数ですが明日以降こちらの店舗にお越しいただいて正式に契約を……」と説明を始めた。

 だ、だよね。

 よかったー。

 さすがにこの霊能力業界グッズが並ぶ店舗でそれはないよね。


「機種なども店舗で選んでいただいた方がよろしいかと」

「そうね。じゃあ、今から携帯電話を買いに行きましょうか! 真宵ちゃんの使用人さんも一緒に選んでもらおうか?」

「そうですね! 今日は家にいると思います。土日は溜まった家事をしてもらう日なので」

「そうなのね。……それもそうか、十四歳ってことは、女子中学生だもの。宿題もあるのに家事も、っていうのはいくら使用人でも大変よね」

「はい」


 さすが娘さんも産んでおられる十夜母。

 十夜の兄弟が上に九人いるのは聞いたけれど、何人兄で何人姉かまでは聞いてない。

 ちなみに、全員血が繋がっているわけではないらしい。

 親戚のお子さんが……その……ご両親が結界の外で亡くなられたからと引き取られてきて兄弟の一員になっているという。

 それでも遠慮のない仲良し家族、家庭。

 善岩寺(ぜんがんじ)家すごいなーって思う。

 それに比べて千頭山(うち)は……はあ……。




 ◇◆◇◆◇




 善岩寺(ぜんがんじ)家の家族割に便乗して、私と粦は無事に携帯電話を手に入れた!

 その日の夜は粦と二人で生まれて初めての二つ折り携帯電話を開き、あーでもないこーでもないと使い方を説明書と睨めっこしながら思案した。

 ぶっちゃけ二つ折り携帯、私も使ったことないんだよ。

 でも、キッズ用携帯はこの二つ折りのものしかないんだって。

 使用人である粦も機能制限されたキッズ用携帯。

 主人よりも豪華なものを使えません、と全力拒否した結果、とりあえずメールと電話機能があるもののみを買い与えられた。

 個人的に粦にはWEB検索機能もある携帯を買ってほしかったけれど、PCは真智の家に借りられることになっているからと粦は頑なに断てしまったのだ。

 粦……真面目すぎる……。


「ふーん、これが“けいたいでんわ”か」

「秋月は初めて見るの? マザコンクソ親父や鬼ババアは本家で使ってるんじゃないの?」

「いいや? そもそも礼次郎はあまり僕がいるところに来ないしね。今は新しい嫁が妊娠したとかなんとかで、本家はバタバタしているよ。なにをそんなに騒ぐことがあるのかと思ったが」

「あー、そうなんだ」

「あまり興味がなさそうだな?」

「うん。しってたから」

「そういえばそうか」


 前世の記憶で千頭山(せんずやま)家に起こることは少し覚えているからね。

 不倫女が嫁に来て、不倫女との間に息子――私にとって異母弟が生まれることは知っていた。

 まだ性別はわからない時期だが、ゲーム通りなら男の子が生まれてくるはずだ。

 それに関してあの鬼ババアは不倫女に『やはり女腹がいなくなったおかげで跡取りができた』とか言うが、性別なんて運でしかない。

 なにが女腹よ。

 時代錯誤もいいところだ。


「裏の林の外周の浄化は無事に終わったそうだね」

「あ、うん! 奥に向かってもう一段階先に浄化作業を進めようと思っているの」

「いいと思う。昼間なら悪霊もまだ動けないからね。毎朝頑張っている真宵の霊力はまた強くなっている。きっとできるよ」

「本当? がんばる!」



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