表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/112

修業動画撮影チャレンジ!


 善岩寺(ぜんがんじ)一夜(いちや)さんにVtuberとなるための第一歩――立ち絵を依頼した翌日。

 家電量販店で購入した撮影カメラの充電を開始。


「えっと、お鈴とお香、お香をつけるためのチャッカマンと……お経の本。あとは……」

「数珠をお忘れですよ! お嬢様!」

「そうだった!」


 腕輪とネックレスの数珠を身につけて、明るい黄色の服、動きやすくズボンとスニーカー。

 教本は学校で配られている難しい漢字にふりがなが振ってあるもの。

 一応ある程度暗記はしてきたけれど、本当に私、浄霊できるのかな?

 いや、やる!

 絶対にやり遂げる!

 っていうか、私ならできるはずだ。


「うん、これで準備は完璧かな?」

「お守りです」

「そうだった。結構持っていくものがたくさんある……」

「荷物持ちがほしいところですよね」

「ごめんね、粦……。撮影難しいのに任せてしまって。でも、私が撮影すると視線が小さすぎて……」


 身バレに繋がりかねないのだ。

 っていうことで、私は除霊や浄化の修行に専念することにした。

 危険なので、家に帰ってきたらすぐの午後三時ぐらいに。

 悪霊がいるという――裏の林に。


「橋ってまだダメなの?」

「橋は林よりも危険な霊が多いと秋月様がおっしゃっていたのでダメです」


 ダメかぁ。


「まあいいや! 本格的に暗くなる前に……初動画! 撮るぞ!」

「はい!」


 というわけで、荷物を持っていざ隣の林へ。

 といっても、危険な悪霊が奥にいるらしいから周辺を浄化して悪霊を弱らせていく計画だ。

 その計画をこうして動画に収めて、自分の成長と林の浄化の様子を記録していく所属。


「こんにちはー! 秋月(あきつき)マヨです! 初めましてー」


 秋月(あきつき)マヨとはVtuberの時の私の名前だ。

 さすがに本名では身バレして怖い。

 ほら、あのー……一応小学生だから! 六歳だから!

 身バレしたら色々まずいから!

 世間体を気にする鬼ババアたちが放置してくるとは考えづらいからね。

 身バレしないようにVtuberとして活動する!

 せっかく立ち絵は大人っぽい女の子なんだから!


「今日は告知していた通り、課題で出されたとある場所の林の浄化をやっていきたいと思います。実はこの林の奥地には、かなり強い悪霊が住んでいるらしいんですよ。師匠から出された課題は、その悪霊を浄霊するようにとのことです。でも、今の私ではまだまだその悪霊に太刀打ちができません。だから、リスナーの皆様には私の成長を見守っていてほしいのでーす!」


 私は姿を見せず、声をマイクに入れて周辺の撮影は粦に任せる。

 とりあえず資料としての撮影だ。

 私の――Vtuberとしての姿は後々実況で入れるから問題なし。


「今日やる浄化は一般の方もできる簡単なものなので、真似してやってみてくださいね。それでは始めます。用意するのはお香、数珠です。本当に一番簡単な浄化です」


 小さな小皿にお香を載せる。

 その時にお香の種類も説明。

 学校で販売されているホワイトセージ、白檀、パロサントを砕いて混ぜ合わせて作られている。

 子どもも嫌いではない香り。


「こちらのお香は一般的にも販売されているものなので、入手は難しくないと思います。これに火をつけて、浄化したい場所に置きます。悪いものはこれらの香りが苦手なので、とても嫌がります。えっと……それと、今回私はこちらのお鈴も使わせてもらいますねっ」


 お香は悪いもの……悪霊に近い悪意のある霊にも通用する。

 ホワイトセージは結界の効果もあるので、私と粦の身を守る意味もあるお香だ。

 お鈴は子どもの手には余る大きさのもの。

 でも、こちらのお鈴もあまりよくないものが嫌がる音を出す。

 リン、リン、と定間隔でお鈴を鳴らしながら、お香の煙の流れを見る。

 ほんの少し、林の方から風が流れてきて煙が戻ってきてしまう。

 怖い話なのだが、お鈴を鳴らす前は完全に無風だった。

 だってお香に火をつけた直後は煙は普通に上へ向かって流れていたもの。

 これは……林の奥のものが私の存在に気がついて少し威嚇してきている。

 でも、お香もお鈴も悪霊にとっては“嫌なもの”だから積極的に近づいてくることはない。

 なにより今、結構な昼間時間だしね。

 時間帯は私の味方なのだ!


「お経を読みます」


 粦が頷く。

 撮影中は喋らないでね、とお願いしているから、お互いに顔を見合わせて頷きあうだけだけれど。


「〜〜〜……」


 学校で習い、暗記してきたお経をできる限り自分の霊力――気を込めながら読む。

 これ、ちょっと初めての経験なのだけれど“そういう気持ち”で読むと本当に言葉に自分の中の霊力が入り込んで空中へと流れ込んでいく。

 場のどんよりとした空気が、ほんの少しだけ綺麗に清々しくなっていく感じ。

 すごい、結構わかるものなんだな。


「はい。浄化終わりました。画面越しだとわかりづらいと思いますが、現場にいる私としてはかなり浄化がされていて清々しい気持ちです。自分でやっておいてなんですけれど、今の未熟な私にもここまでの浄化ができるんだなって感動しました! また明日も隣の区画の浄化を行いたいと思います。いつか絶対、この林の悪霊を倒すので、それまで見守っていてくださいねぇー!」


 子どもっぽい舌ったらずさを頑張って隠しながら、本日の撮影は終了。

 この動画が編集を終えていつでも公開できるようになるまで、撮り溜めをがんばろーう!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ