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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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実家の終わり(2)


「これ以上話すことはございません。お帰りください」

「っ、っ……! い、嫌だ!」


 嫌だ!?

 なにが嫌なの!? これ以上話すことなんてないんだけれど!?

 近づいてきたマザコンを、ボディガードたちが掴んで引き離してくれる。

 た、助かるぅー!


「ママを助けるって言えよ! お前だってママのおかげで生きているんだぞ! なんでママを助けようとしないんだよ!」

「私は母を自死に追い込まれているんですが? 私がこの別邸に来たのも、あの人に頭を踏み潰されて出血したからです。物理的に、心身に、あの人に傷つけられているんです。恨んでいないとお思いですか?」

「え……」


 え? ってなに?

 まさか本当に私が協力すると思っているの?

 すごいお花畑ね。

 お花畑というか……想像力がない。


「自分を傷つけてくる人に手なんて差し伸べたいと思いませんよ。それに、私みたいな子どもに他の『六芒星』のお家が決めたことを覆す力なんてありません。それはおとなが決めたことでしょう。おとなの礼次郎さまができないことを、私ができるわけがないでしょう」

「でも、でも……! 僕がなにを言っても、誰も聞いてくれないんだよぉ!」

「そんなの当たり前でしょう。なにもしてこなかったあなたの言うことを、誰が聞くのです? なにもしてこなかったあなたに、誰が手を貸すのです? あなたは私の母が自死に追い込まれるほど苦しんでいた時なにかなさいましたか? 私の母の骨壷を私に渡してなにを言いましたか? 私があの人に頭を踏み潰されていた時、助けてくれましたか? 庇ってくれましたか? なにもしてくれなかったではないですか。なにもしてくださらなかった方に、なにもしたいと思いません。当たり前でしょう?」

「で、でも……でも……ママがそうしろって……! 僕はなにもしなくていいって……!」

「ええ。だからなにもしてもらえないんです。あなたはなにもしなかったんですから。そしてあの人が収容所に行くことになったのは、あの人のこれまでの行動の結果です。あなたが誰にもなにもしてもらえないのはあなたがなにもしなかった結果。それだけのお話です」


 きっぱりと言い放つ。

 お前がなにもしないから、誰にも相手にされないだけの話。

 ママに言われたから?

 じゃあママのせいだね。

 ママが誰にも助けてもらえないのは、そのママのこれまでの行いが返ってきただけ。

 お前に力がないのもママの行いのせい。

 また口をはくはくと開閉しているが、本当にこれ以上話すことがないので帰ってほしいな。

 もう、いいでしょ?

 終わりでしょ?

 関わってくるなと家から追い出して、千頭山(せんずやま)家の人間ではないと認めてもこなかったお前たちが、なんで私のことを頼るのよ。

 なにかできるものじゃないでしょ。

 お前らにとって私は苗字が同じの赤の他人みたいなモノなのだから。


「ママは血が繋がってるんだよ!?」

「私は千頭山(せんずやま)家の人間とは認めていただけておりません。血が繋がっていたとしても、やはり私には助力するだけの力などありませんから」

「じゃ、じゃあ君を千頭山(せんずやま)家の人間だと認めるから!」

「結構です。私は私の力で生きていくと決めております。いつかこの別邸からも出て行きます。今はまだ未成年ということで、最低限の監護権に甘えさせていただいておりますが、自立の目処が立ち次第千頭山(せんずやま)家とは関わり合いにならないように生きていくつもりですので」

「う……うっ……な、なんでだ……! なんで……」


 うわあ。

 私の返答にぶわりと涙を溢れさせるマザコン。

 汚ったない泣き顔を晒しながら、ビャービャーと本格的にギャン泣きモードに移行していく。

 うげぇ……嘘でしょ〜?

 真智や十夜でもそんな泣き方しないわよ?


「ママぁ! 無理だよぉ〜! ママがいないとどうしたらいいかわかんないー! うええええん! 誰か、助けてよおおお! うわああああん!」

「「………………」」


 さぞ、私と(りん)の表情がドン引きだったのだろう。

 というかドン引きしない人はいないだろ、これ。

 これで子どもが二人いるのよ、こいつ。

 うわぁ……私、コレと血が繋がっているのか……信じられない。

 冗談であれ。


「仕方がないね」

「秋月……!」


 スッと私たちの上に半透明の秋月が姿を現した。

 私と(りん)は視えるけれど、この無能マザコンは秋月の姿を視ることができない。

 ボディガードの人たちも秋月が視えるのか、目を丸くして天井を見上げている。

 他家のボディガードまで視える秋月が視えないなんて……また頭を抱えてしまう。


「秋月、どうかしたの?」

「さすがに見ていられなくてね」

「ま、まあね」


 大のおとなが手足をバタバタさせながら、涙と鼻水と涎を飛び散らしながら赤ちゃんみたいに泣いている姿は見るに耐えない。

 頭が痛い。

 コレが自分の父親だなんて、現実がつらいと思うことは多々あったがこれが一番情けなくてつらいかも。


「礼次郎に伝えてくれるかな? 他の六芒星の家の者の指示に従いなさい、と。お前は菊子に思考する自由をずっと制限されてきた。今から自分の意思で行動を決定するのは難しい。でも、やらなければならない。難しくてもやるしかない。でもすぐにできることではないだろう。だからまずは、正しいおとなの判断をまねるところから始めなさい、と」

「長いなぁ……。まあ、いいけれど」


 果たしてそれでこのマザコンが変わるだろうか?

 わからないけれど、伝えるだけ伝えておく。



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