お茶会のお誘い、今!?
「さーてと……夏休みの宿題が終わるとなんか途端に暇になるなー。動画の編集もほとんど終わりつつあるし……そうだ! ショート動画も作ろうー!」
というわけで、旅行から帰ってきて二日後、私は本日もパソコンに向き直って動画編集の作業。
一夜さんからもBGMと背景の確認メールが来ていた。
確認も終わってメールも返したし、あとは納品を待つばかり。
納品されたらいよいよ、デビューの日を話し合う。
今のところ区切りがいい九月一日がいいのではないか、と言われている。
私としては、まだ夏休み中がいい。
生活の習慣的な問題で。
最初は動画を投稿していくつもりだけれど、やはりVtuberたるもの時々はちゃんと生配信とかしたいでしょう。
ゲーム実況とかも、やってみたいものね。
いや、待てよ?
確かゲーム配信でもなんか許可とか取らなきゃいけなったはず。
前世の最推し織星ハルトくんも時々そんなようなことを言っていた。
前に調べた時は、歌ってみたの方の権利関係が気になってしまって後回しにした気がする。
ちょっとちゃんと調べてみるか。
――というわけで調べてみた結果。
結論、ゲームによって規約が違うのでその都度ゲーム規約を確認するべし。
比較的配信向けのゲームとして使えそうなのはシミュレーション系。
対人よりは、一人でコツコツやるタイプがゆるい。
まあね、対人ゲームで配信するのはリスクが高いもんね。
配信を見て、こっちの動きを追跡したり、先回りしたりするなんてプレイもできるもん。
あと、シンプルに対人戦は暴言が入る。
よろしくないよね、全世界配信にそれは。
うーん、それなら規約ゆるそうなゲームをいくつかピックアップして、リスト作っておいた方がいいかな?
そのリスト、作っておくか。
「あ、一夜さんから返信きている」
一夜さんには今月中のデビューを提案していた。
一緒にデビューしようね、と約束していたので、一夜さんの都合も聞いておかないとでしょ。
一夜さんは九月一日デビューの方がきりがいい派。
私は配信による習慣形成のために今月中がいい派。
私の意見は伝えて、一夜さんの返答待ちだった。
で、その返答が今、来たみたい。
スマホからメールを開けてみると『おっけい!! 真宵嬢の好きな日付を教えてほしい! 二十日ぐらいだとすると、告知の時間が少なくなるが大丈夫か!?』とメールからも暑苦しい文章。
いやーーー……そうなんだよなぁー……。
今月以内な場合、宣伝に時間が割けない。
SNSはそこそこ発達しているが、Vtuberという存在はまだ、未知のもの。
宣伝にしっかり力を入れないと、閲覧者が集まらない気がする。
やっぱり宣伝期間を多めに確保してから、デビューした方がいいなかなぁ?
「あ! 自己紹介PRショート動画を作るのはどうだろう? デビューまでの日数がなくても、そういうのがあれば興味を持って見に来てくれる人も増えるかも! よし、提案してみよう!」
一夜さんがどのくらい準備しているのかわからないが、私は私の方でそのくらい準備しておけばいいよね。
ああ、でもメールでのやり取りはまどろっこしい。
明日にでも直接打ち合わせに突撃しようかなー?
あんまり善岩寺家に入り浸ると、また十夜母になにかしら言われそうだけれど。
主に婚約あれそれとか。
言われそう。
うん、やめよう
明日昼間に電話で打ち合わせできるかを聞いておこう。
電話ならセーフだよね。
……まあ、成人男性に小学校一年生の幼女が電話するって字面は終わってるけれども。
だ、大丈夫だよね?
電話くらいで一夜さん、捕まったりしないよね?
未成年と電話しただけの一夜さんが、逮捕される未来とかないよね? ね?
「真宵お嬢様、今よろしいでしょうか?」
「はい! なんでしょうか?」
「え?」
「あ、な、なんでもない。なんでもないよ、粦。どうかしたの?」
変な心配をしていたせいで、敬語で返事をしてしまった。
私の返答に首を傾げながら、粦が部屋へと入ってくる。
なんの用かと思えば、先日会った私の伯母――春月さんからお茶会のお誘いが本当に来たらしい。
「明日にでも、とのことなのですが、ご予定は? と。いかようにお返事をしますか?」
「明日!? あ、明日か……」
「予定がありますか? でしたら別の日にしていただくようにお返事を……」
「だ、大丈夫! 大丈夫なんだけれど……。う、ううん。大丈夫! 明日の何時?」
「午後二時半だそうです。迎えの車が来るので、住所を教えてほしいとのことですが、よろしいですか?」
「わかったわ」
そうよね、お茶会だもの。
アフタヌーンティーって感じよね。
っていうか、明日かぁ……。
「あと、粦、申し訳ないのだけれど、今からお土産を買いに行ってもらえないかしら? 私では春月おば様がどんなものをお好きなのかわからないの」
「あ! ……そ、そうですね……」
さては忘れていた?
私が明日と聞いて渋っていたのは別に一夜さんとVtuberデビューの話をできないからだけじゃないわよ?
お土産の準備が間に合うか不安だったからよ?
現在の時刻、午後三時四十五分。
今から出かけて、春月さんの好きそうなお土産って手に入る?
最悪明日朝早く開店したお店に突撃しなきゃいけなくなるのだけれど……。
「大丈夫です! 今から買ってきますね!」
「だ、大丈夫? 一緒に行く?」
「もう、お嬢様はお家で留守番しててください!」
不安だが、とりあえず任せてみよう。
粦も謎にやる気だし。




