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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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真宵の予知夢


「それで、明日の予定なのだが……三重子(みえこ)、俺と善岩寺(ぜんがんじ)さんは明日、依頼の方に行く。子どもたちを任せてもいいだろうか?」

「ええ。最初からその予定でしたものね。明日は大栄神社と、その近くにあるもう一つの神社に行ってみます」

「うん。羅州(らす)神社は最近できた新しい神社。結界の外で亡くなった人たちを鎮魂するための神社なんだ。しっかりとお祈りしておいで」

「うん、わかった」


 慰霊の神社なのか。

 それは確かにしっかりお祈りして来た方がいいわね。

 結界の外で、祟りと戦った人たち。

 その大半は、『六芒星』の家の血縁者だろう。

 私たちにも無関係ではない人たちということだ。

 しかし、やはり私は真智叔父と十夜母の行く悪魔の住む屋敷が心配だ。

 私が心配したところで、なにもできることはないのだけれど……不安が強い。

 ゲームのストーリー通りに補正が行われるんじゃないか。

 その不安が、今もつきまとう。

 もしも夢で未来を見ることができるのなら、どうか明日、この二人が無事に戻ってくるのかを見たい。

 真智叔父と十夜母が、なにも問題なく帰ってきますように――。

 

 そんな祈りを込めながら、夕飯のあと歯磨きしてみんなそれぞれの部屋で布団に入る。

 おとなたちは今からがお楽しみだろうけれど、子どもの我々はご飯を食べたらあっさりと眠くなったのだ。

 まぁね、長距離移動に見知らぬ土地を歩き回って料理にはしゃぎ倒し、トドメとばかりに地味に体力削られるお風呂に入ってまたはしゃげばそりゃあ一瞬で入眠よ。

 成長期の子どもならなおさら。

 かく言う私も布団に入った瞬間、数秒で意識が深く落ちていく。

 こんなにあっさり眠りに落ちたの久しぶりかもしれない。


『まずいわ。想定していたよりも数が多い』

『一度出て態勢を建て直しますか?』

『あと二人くらいいないと難しそうね。ひとまずは家の入り口あたりを浄化して気の流れを少し整えて撤退しましょう』

『了解です。……囲まれていますね』

『仕掛けてきている。結界を――』


 ザザ……。

 砂がかかる。

 テレビが切れるように、プツン、と。

 感覚だけだが、彼らは見たのだ。

 屋敷の中に、悪魔よりさらに危険なモノがいると。


「っ!」


 布団から飛び起きる。

 すると、ちょうど十夜母と真智叔父が襖を開けて宿泊部屋から出ていくところだった。


「ま、待ってください!」

「真宵ちゃん? おはよう。どうしたの? 怖い夢でも見たの?」


 十夜母がしゃがんで私の頭を撫でようとする。

 違う、そうじゃない!


「夢、夢で見ました! おじ様とおば様が、悪魔と悪霊に囲まれて、祟り神三体に食べられるところ!」

「「!?」」


 叫ぶと、二人の表情が凍りつく。

 そう、あの悪魔の住む屋敷とやらには、悪霊も悪魔も多く棲むがもっともヤバいのは祟り神。


「多分、このあたりの土地神様。あの世と繋がった禁足地から出てきた悪魔が他の悪魔を食べて生まれた祟り神が二体。お二人だけでは危険すぎます!」

「予知夢を見たの?」

「た、多分……。昨日、大栄神社の御神木や神社に祀られた神様にも色々教えてもらって……私の占術の力の使い方も少し、教えてもらったんです。知りたいことを、夢で見るように……祈って寝るって」


 その結果、私が見たのは真智叔父と十夜母が黒いモヤに巻き込まれて姿が消える瞬間。

 このまま二人を行かせたら、真智と十夜はゲームの通りになってしまう!

 お願い、信じて!


「真宵ちゃんが夢で見た……か。祟り神が三体もいるのなら、確かに我々だけなのは危険極まりないですね」

「無理ね」


 十夜母がはっきりと言い張る。

 悪魔は五体までならこの二人でもなんとかなるが、祟り神は一体でも二人では無理。

 そのくらい、格が違うヤバさ。


「もしそれが本当だとしたら宇治家(うじいえ)家からだけでなく、安倍家や大離神(おおりかみ)家からも人手がほしい。冗談抜きで総力戦になる」

「そうね。祟り神三体は本当にまずい。一体につき三人ぐらいでかからなければならないから、最低でも六人は必要。その他にも悪魔や悪霊が闊歩しているってことは、戦ったりサポートのできる人が二、三人いると安心だから……今回は見送りね。様子見ぐらいには入ってもいいかもしれないけれど……」

「だ、ダメです! 夢の中でお二人がいたのは玄関です! 入ってすぐ、出られなくなっていました!」


 私が叫ぶと真智叔父と十夜母は顔を見合わせたあとすぐに頷きあう。

 夢の中の二人がいたのは玄関。

 玄関ですぐに、家の中に祟り神がいると気がついた二人は玄関の気の流れだけでも浄化していこうとしたが――なぜか扉は開かなくなって、そのまま……。

 だから、入ること自体が危険。


「扉が開かなくなるってことは、それだけ強力な力を持っている祟り神ってことね。霊障だけでそこまで影響を出せるなんて……特級扱いしてよさそう」

「そうですね。危ないところでした。ありがとう、真宵ちゃん。一度本部にお伺いを立てて、応援を呼んでみるよ」

「応援……ぜ、ぜひそうしてください!」


 よかった……応援を呼んでもらえるのなら、なんとかなるかも。

 心底ほっとする。

 い、いやあ、しかしただの素人に毛が生えたような予知夢をここまで信じてもらえるなんて。

 よかった、千頭山(せんずやま)家の人間で。

 生まれて初めてそう思ったわ。


「でも、ちょっと奇妙ね」

「そうですね。結界の中の――しかも、大栄神社が目と鼻の先にある場所でそれほどの祟り神が生まれるなんて」

「……出たのかもしれないわ」

「例のやつら……ですか。厄介極まりない」

 

 やつら?

 真智叔父と十夜母の神妙な面持ち。

 二人の不穏な会話で思い出すのは、ゲームの“敵役”。

 ――呪い屋。



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― 新着の感想 ―
予知が間に合ってよかった!大栄の神様、ナイスです。
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