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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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露天風呂、入るぞ!


 その日は他にもいくつかの祠に立ち寄り、ご挨拶をして旅館に戻った。

 女性陣は早速露天風呂に。

 広い風呂、檜の香り、磯の香りが風に乗って時折鼻腔をくすぐっていく。

 なんて綺麗な景色だろう。

 しかし、見える海がところどころ、黒い。

 景色も香りも最高なのだが、排水溝からゴボゴボゴボと変な音がする。

 その方を見ても、なにもない。

 でも、多分……いる……んだろう、な。

 髪の毛がごっそりとシャワーヘッドから垂れていて、とってあげようかと思ったら十夜母に手を掴まれ「それは触らない方がいいわ」と笑顔で言われる。

 あのー、えーと……。

 

「どうかしたんですか?」

「なんでもないわ。気になさらないで」

「そ、そうですね。三重子(みえこ)さんは、そのー……み、視えない方ですものね」

「ええ。……え? な、なにかいるんですか?」

「水場は基本多いのよ。こういう人の多いところは特にね。でも真宵ちゃん、あなた姿は見えないんじゃなかった?」

「はい。でもなんか……」

 

 気配が、濃い。

 最初はただの立派な露天風呂だったから気にも留めていなかったけれど、なんかちょいちょい気配が増えている気がする。

 なんで?

 

「仕方がないわねぇ。視える人が多いからはしゃいじゃっているんじゃないかしら。(りん)ちゃんは視えるの?」

「………………はい」

 

 一瞬応えるのに躊躇する(りん)

 視えるだけの一般人だから、お祓いとかはできない。

 

「あらあ、(りん)ちゃんも視えるのね。それじゃあ喜んじゃうわ」

 

 え? れ、霊が?

 視える人がいると喜んじゃうの?

 私は視えないけれど声は聞こえる。

 しかし今日は気配がすごい。

 数人くらい寄ってきている。

 

「風呂覗きに来ているスケベジジイの霊は弾いたけれど」

「「「そんなのいるんですか!?」」」

「いるけどシバいておいたから大丈夫。なんか女の霊が多いわね。話を聞いてほしい霊みたい。多分私がいるからね。霊媒師がいるから話を聞いてほしい霊が集まっているみたい」

 

 そういうこともあるのか。

 わざわざ寄って来てくるほど十夜母に話を聞いてほしい霊がいるなんて。

 十夜母はすぐに「今はお風呂だから、あとでお話を聞かせて」と諭してやり過ごした。

 霊媒師ってこういうこともやるんだなぁ。

 

「お待たせ。たまにだけれど、こういう話を聞いてほしそうにする霊はいるのだけれど、こんなにたくさん現れるのは珍しいわね。なにか情報を持っているかもしれない。あとでしっかり一人一人から話を聞いてみましょう」

「情報を持っているって……今回依頼のあったお屋敷の、ですか?」

「ええ。悪魔や悪霊は霊を喰うこともよくあるの。だから弱い女性や子ども、老人の霊は餌食になりやすいの。怖いから逃げてくるのよ」


 三重子(みえこ)さんは「そんなことが……」と驚いていたけれど、うちの裏の林や近場の橋にいる霊たちも悪霊に怯えていた。

 悪霊や悪魔が住む屋敷があるのなら、その周辺の霊たちがこの辺りまで逃げて来ていても不思議ではない。

 それだけ逃げてきた霊がいるってことは……それだけ危険ってことでもあるのだけれど。

 なんかますます心配になってきた。

 私でもできる援護とか、なにかないのだろうか?


「お嬢様、せっかくの露天風呂ですから、考えことはあとにしましょう」

「あ、そ、そうね。せっかくの露天風呂だものね」


 (りん)に促され、とりあえず“千頭山(せんずやま)真宵(まよい)”になって初の露天風呂を堪能することにした。

 そうよね、せっかくの旅行だものね。

 旅費、かかってるものね。

 旅館代は十夜母と真智叔父が出してくれたけれど。

 そりゃあ堪能しないと失礼ってもんよね!


 って感じで露天風呂を堪能してから部屋に戻ると、なんとテーブルに所狭しと料理が並んでいた。

 なにこれ、すごーい!

 お刺身! プチお鍋! 茶碗蒸し! お寿司! あら汁!

 こ、こんな豪華なご飯を、食べていいんですかー!?


「先に食事を運んでもらったんだが、大丈夫だったかな?」

「もちろんですよ! 十夜のこともお風呂場で面倒を見ていただきありがとうございます」

「いえいえ」

「ママー! ぼく一人で体洗えたんだよ!」

「偉いじゃない!」


 真智叔父と真智とお風呂に入っていた十夜が十夜母の元へ飛び込む。

 、短い間でも親と離れていたのはちょっと寂しかったのかな。

 それでも小学一年生が一人で体を洗えるのはすごいことなのか?

 

「男湯すごかったんだぜ! 滝が近くにあったんだ! めっちゃごごごって! してた!」

「へー、女湯の露天風呂からは海と森が見えたよ」

「海! 海いいよなー! 海入りたいって言ったら、叔父さんに『泳ぎを覚えてから』って言われたんだよ。霊力がある子どもは海からたくさん手が出て来て攫われるから」

「オッ――そ、そうなんだ」


 泳ぎを学ぶ理由が溺れるからとかじゃなくて海から手が出てくるからなんだ。

 それって泳げたところで回避不可能では?

 お、泳げたらなんとかなるのか?

 襲われる時点で泳げる泳げない関係なくない?

 っていうか、そんな話聞いたら海で泳ぎたいとかいう気持ちはだいぶなくなるよ?

 うちの近くにも海があって、別邸に来てからは海で禊をしているけれど……うちの近所の海の浅瀬はそんな手とか出たことないけど。

 いや、まあ、ちょうど陽の気が強くなる日の出の時間帯だからか?

 それを言ったら昼間の海なら大丈夫そうだけれど……まあどっちみち泳げないよりは泳げた方が危険は少ない、か。



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