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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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旅行に行くぞ!(1)


 私が憤っても致し方のないこと。

 でも、でも、腹が立って仕方ない。

 実質親や兄弟に捨てられたようにしか思えないじゃない!

 (りん)はいったいどんな思いであの家で過ごしていたの?

 ひどい……よく無事で生きていたと思う。

 

「親や兄弟には会っていないのよね?」

「はい。手紙は何度かいただいたようなのですが、奥様が捨てていて……」

「や、やりそ~~~~~」

「交渉してくださったようですが、最近は手紙もないようです。中学生になったらもう、裏切った家族なんて、もう会いたくないと思われているのでしょう」

(りん)は会いたいの?」

 

 鬼ババアの性格を知っているのなら、そういうことをされると想像もつくだろう。

 (りん)がもし、そんな家族でも会いたいと思うのなら会いに行くのは別に構わないと思うのだけれど。

 

「会いたいかと聞かれると、興味がなくて……」

「ああ……まあ……」

 

 生まれてすぐにあの家に置き去りにされたのだ。

 確かに私もマザコンクソ親父のことは興味がない。

 多分、それと同じ気持ちなんだろう。

 今さら会いたいのかとか言われるとわからないよね。

 

「そう……じゃあ、ひとまずは現状維持でいいのかな? でも、会いたくなったらいつでも会いに行っていいんだからね? 私のこととかは考えないで」

「は、はい。ありがとうございます」

 

 確か、祖父とその息子が今の千頭山(せんずやま)家経済を支えているといっていた。

 だから、一応まともではある……はず。

 でも万が一変な人たちだったら(りん)が結局は搾取対象とかになってしまうんじゃない?

 (りん)は霊力こそ高いが、修業はしていない。

 霊が見えるだけの一般人。

 

「どんな人たちかわからないし、たとえ会うことになっても情報収集してからがいいわよね。今日は予定通り買い物を楽しみましょうか」

「お嬢様……。き、気にならないのですか?」

「気にならないというか……。私も本家の人間には興味がないもの。興味はないというか、まあ、あれよね。敵――だから、動向を気にすることくらいはするけれど、家族の情はないから(りん)の気持ちはよくわかる。もしもまともな人たちなら、(りん)のためになりふり構わず会いに来るはず。そういうことも今までなかったってことなら、先方も半分以上諦めているのかもね。もしくは――」

 

 もしくは、と(りん)が首を傾げる。

 決まっているじゃないの。

 

「あの鬼ババアが、なにか余計なことを言って『(りん)が実家族と会いたがっていない』って嘘をついているのよ。そんな嘘も見抜けないのなら『(りん)のために月にいくら払えば、会わせてやる』と言っているのか。どっちかね」

「っ……」

「あの鬼ババアなら言いかねないでしょう?」

「……はい」

 

 さすがの(りん)もなにか心当たりがありそうな表情。

 (りん)を盾にあの鬼ババアは公の場に出ずとも名士千頭山(せんずやま)家として愛人の家――(りん)の実家族を“分家”の扱いにして仕事をすべてやらせて金を吸い上げ、『六芒星』の順位を維持するのに使っている。

 そのくらいしたたかであり、性格こそクソだが手腕だけはあるというか。

 性根は腐っているが、千頭山(せんずやま)家の当主としては機能しているってことなのか。

 なんにしても(りん)の実家のことは(すぐる)あたりに聞いて調べてみた方がいいだろう。

 (りん)が実家族と会うか会わないかは、自分の判断で決めればいい。

 願わくば鬼ババアの影響のまったくない、人間性のまともな家族ならいいのだけれど……。

 

「とりあえず今日はこれとこれとこれを買おう。下着と肌着は?」

「あ、こちらです」

「じゃあ、それと合わせて買ってきましょう。フードコートに寄ってご飯を食べて帰りましょう」

「あ、そうですね! 実はフードコートに気になっていたお店があったんです」

「本当? どれ? 早く食べに行きたいー」

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 (りん)の実家族のことは(すぐる)に電話で頼み、二日後――。

 

「やっほー! こっちだぞ真宵ー!」

「マヨイちゃーん! きっぷ買おー」

「あれ、十夜もいる。一緒に行くの?」

「うん! マヨイちゃんも来るから一緒に行こうってママが」

「そ、そう」

 

 含みを感じないでもないが、まあ、一緒に行く分には親と本人の希望だからいいんじゃないだろうか。

 (りん)が「切符を買ってきますね」と言ってくれて、一緒に駅の中に入る。

 中にはすでに、真智の叔父さん夫婦と、十夜母が旅行用バッグを引っ提げて待っていた。

 

「まあ! 真宵ちゃん! 新しい服? 可愛いわねー!」

「は、はい。(りん)が旅行なのだからと新しい服を買ってくれました」

「いいわねー、やっぱり旅行先で新しい出会いがあるかもしれないもの! そういうの大事よねー」

 

 なにを言っているんだこのおばさんは。

 

「ソウデスネー。あ、ところで、何時の電車に乗るんですか?」

「七時十五分の電車よ。大栄町駅行き、千五百円分の切符を買って」

「はい、わかりました」

 

 (りん)にかかえてもらいながら、手売りの窓口で大栄町駅までの切符を買う。

 前世の記憶があると『今時手売りなんだ』と思うけれど、職というものの需要の差なんだろう。

 むしろ風情があっていいのかも。

 丁寧に切符を手渡され、駅構内にある駅弁のお店でおすすめまで教えてもらう。

 駅弁!

 そうか、食糧難とはいえ飲食業はちゃんとあるんだ。

 

「おすすめは鮭海苔弁当は人気ですぐに売り切れますよ。数量限定だからお早めに。近所のサラリーマンも買いにきますから」

「そうなんですね。寄ってみます」



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