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ホラー系乙女ゲームの悪役令嬢はVtuberになって破滅エンドを回避したい  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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お買い物で遭遇


 翌日、(りん)と一緒にお買い物。

 あまり散財はできないけれど、十夜母にしがみつかれて『真宵ちゃん可愛い~! これも似合う、これも!』みたいに色々買い与えられるのはまずい。

 また恩が増える。

 また外堀を埋められる!

 マズイ!

 というわけで、三着くらい新しい服を買うことにした。

 もちろん下着も。

 正直、下着はお尻がきつくなっていたので(りん)に下着の購入を提案されて助かった。

 忘れていたが、小学校一年生幼女って成長期だ。

 近くの大型ショッピングモールに入っている子ども服のお店で新しい服を選ぶ時も『今着ておられるのが100センチなので、少し大きめの110や120の服を選びましょうね。この辺りの服が110や120ですよ』と言われた。

 多分、私の着ている服の様子を見て、買った方がいいのでは、と思っていたんだろうな。

 自分では気にならなかった。

 夏で半袖だからかな。

 袖や裾が短くなっているなんて気づかなかった。

 ……精神が成人女性だと、結構わからないものね……子どもが成長するという事実に。

 

「この青いワンピースとか可愛いですね」

「本当だ! セーラー服みたいなえりもオシャレ~」

 

 この年齢の子どもだからこそ着て可愛いデザイン!

 今しか着れなさそう。

 一着はこれにしようかな。

 

「下着は(りん)が選びますね。お嬢様はこの辺りにいてください。すぐに戻ってきますから、絶対に動かないでくださいね。知らない人に話しかけられてもついていかないでくださいね。女性でも知らない人はダメですよ。防犯ブザーは握ったままにしてくださいね」

「わ、わかっているわよ」

 

 もう、すっかり私の保護者だな~。

 まあ、保護者なんだけれども。

 

(りん)? ……(りん)じゃない?」

「「え?」」

 

 女性の声。

 顔を上げると、服のかかったトルソーの後ろから黒髪の女性が超イケメンな白髪男性と顔を出す。

 女の人は三歳くらいの子を抱き、男性は私と同い年くらいの男の子を抱いている。

 

「しゅ、春月(しゅんげつ)様……!? 理人(りひと)様……!?」

「久しぶりね! 大きくなって……! それに、なんて綺麗になったのかしら!? 今どうしているの? あの家からは出たの? 大丈夫?」

「は、はい。おかげさまで……」

 

 しゅ――春月(しゅんげつ)

 それって、私の伯母に当たる人じゃない?

 思わず二人の顔を交互に見ると、(りん)が私の存在を思い出して「今はこちらの方にお仕えしております」と後ろに回って肩に手を置く。

 はっ! 自己紹介のターンか。

 

「は、初めまして。千頭山(せんずやま)真宵(まよい)と申します」

千頭山(せんずやま)!? 千頭山(せんずやま)家の人間なの!?」

「いや、まあ、ええと……」

春月(しゅんげつ)様の姪御さんに当たるお嬢様です。奥様には……その、女孫は認めないとおっしゃられ、別邸にお住まいなのですが……」

 

 それを聞いた春月(しゅんげつ)さんは、あからさまに表情を強張らせる。

 そういえばこの人もあの鬼ババアに相当いびられていたらしい。

 この人の表情に、そのいびりの激しさがうかがえるようだ。


「そう……あの人はまだそんなことをしているのね。ええと、初めまして、真宵さん? 私は安倍(あべ)春月(しゅんげつ)というの。あなたの伯母、になるのかしら?」

「初めまして」

「こちらは私の夫で、安倍(あべ)理人(りひと)さん。抱っこされているのが今年小学校に上がった萩人(はぎひと)で、こっちの寝ているのが瑛人(えいひと)。今年三歳になったばかりなの。仲良くしてくれたら嬉しいわ」

「おりる」

「ああ、うん。そうだね。女の子の前で抱っこは恥ずかしいよね」


 紹介された長男らしい男の子が、お父さんの抱っこから下りてきた。

 そうね、同い年なのに女の子に抱っこされているのを見たら恥ずかしいか。

 別に私は気にしないけれど。

 微笑ましいくらいだけれど。

 男の子ってそういういじっぱりなところあるものね。

 うふふ。

 しかし、下りてもお父さんの足の裏に隠れてしまう。

 お年頃だなぁ。


「人見知りさんなんですね」

「そうなの。男子校だから女の子が珍しいのもあるのだろうけれど」

「仏神学校には通っていないんですか?」

「多分隣の市の共学の仏神学校よね。萩人(はぎひと)が通っているのは、大学までエスカレーター式の男子校なの。義母様がどうしてもその学校に通わせたいとおっしゃられて……」

「隣の市にお住まいなんですね」


 それじゃあ会わないわけだ。

 っていうか、あまり住んでいるところについて言及しない方がいいか。

 わざわざ千頭山(せんずやま)家の人間と関わりたくはないだろう。

 いや、私は千頭山(せんずやま)家の人間として認められてはいないのだけれど。


「あれ? 隣の市にお住まいなら、今日はどうしてこちらに?」

「下の子の服が小さくなったから買いに来たのよ。まよいちゃんはすごくしっかりしているのね」

「え? そ、そうでしょうか? そんなことはないですが……」

「そんなことはあるわよ。、とてもはっきりとした受け答えができてすごいわ」

「あ、ありがとうございます」


 しまった、あまりにもガキっぽくなかったか。

 ごまかそうももう遅いし、このままいくか。


「そうんです! 真宵お嬢様は六歳とは思えないほどしっかりなさっているですよ! 聞いてください、春月(しゅんげつ)様! なんとですね……」

「り、(りん)……!?」


 突然、(りん)のテンションが爆上がりし始めた。

 そして別邸に逃れたあとのこと、お金の使い方や自営業を始めようとしていること早口で説明していく。

 その姿はまるで推しを語るオタク。

 こんな(りん)見たことないんですが。



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