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『アラサー令嬢は嫁がない』シリーズ

僕の婚約者は素敵な人です(その2)

『聖女さんは追放されたい!~王家を支えていた宮廷聖女、代わりが出来たとクビにされるが、なぜか王家で病が蔓延!えっ、今更戻って来い?一般の大勢の方々の病を治すのが先決なので無理です』


月間ランキング表紙入りできました!7位です!


こちらの作品を読んで頂いている方にはきっと楽しく読んで頂けると思います!


応援よろしくお願いします!


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先日、初対面をへて僕はルナ公爵令嬢に大いに興味関心を持つに至った。


ただ、この心の昂りが何なのかまではよく分かっていなかった。


そして、今日はルナ公爵令嬢が料理を振る舞ってくれるというので、いそいそと彼女の屋敷へと馬車を走らせたのだった。


こんなにもうきうきとしている自分にとても驚いた。


ハッキリ言って、僕の人生は第一王子という時点で、将来の国王の座はほとんど決まっていて、帝王学や様々な教育に膨大な時間が費やされていた。


だから自分の好きなことをする暇もないし、友人を作る暇もなかった。近寄って来る大人たちは僕におべんちゃらを使って、将来の利権を確保しようと躍起であることが子供ながらに見え見えだったし、近づいて来る女の子たちも、やはり玉の輿狙いであることがよく理解できた。


僕の人生は最初から決まっていて、決定されたことをこなすだけの人形に過ぎない。


そう悲観していた時期もあった。


でも、ルナ公爵令嬢と出会ってから、僕の人生への見方は大きく変わった。


彼女自身も公爵令嬢であり、自由などないに等しい。しかも僕の婚約者になってしまったのだから、妃教育の時間も膨大なものになる。


だが、彼女はあくまで自分らしく振舞っていた。


自分の部屋を自分で掃除し、太陽の日差しがキラキラとまぶしいことを美しいと言った。彼女の視線には、この世界は美しく、そして出来ることはいくらでもあるように映っていたのだ。


グレイで面白くない世界だと決めつけていた自分と、彼女は大きく違う。そして、そんな風に世界を見れる彼女に僕はどんどん惹かれていったのである。


さて、そんなわけで手料理を振る舞ってもらったのだが、これが正直とてもまずかった!


ただ、さすがに外交面での教育も受けている僕は、そんなことをおくびにも出さなかった。


でも、なぜか彼女にはばれていたようだ。


食べている途中で、


「殿下に出すにはとても相応しくない料理でしたわ。私のような料理の下手な女は婚約破棄されて当然ですね」


と言ったのである。


そうなっては困る!!


もし彼女に婚約破棄などされたら、僕はまた星を失った航海士のように漂流してしまうであろう。


というわけで僕は、その不味い料理を精一杯笑顔のうちに食べきったのだった。


「いえいえ。ルナ公爵令嬢。あなたが手ずから作った料理を食べさせてもらえるのが一番うれしいんですよ」


と何とか言いながら!


とは言え、さすがに無理があったようで、戻ってから3日ほど寝込んだんだけどね。父は衛生官~! とうるさかった。


この頃になって気づいたんだけど、父上は結構僕のことを気にかけてくれていることが何となくわかってきた。


いつもは公務公務で忙しく、ろくに話す時間もない父上だし、僕への愛情などないと思っていたのだけど、本当に忙殺されているだけみたいだった。実際、僕が寝込んだと聞いたときは国王として「そんな姿を部下に見せては絶対にいけませんよ」と絶対零度の視線で母上に言われるほど取り乱していたし。


ああ、なんだ。


僕の世界はちょっとずつ明るさを取り戻しつつあった。


僕はもしかしたら、すごく愛されているんじゃないか?


とても幸せなんじゃないか?


自分で世界をつまらないものにしていたんじゃないか?


そう気づき始めたのである。


それはまさに、ルナ公爵令嬢が教えてくれた世界のすばらしさのおかげだった。


自分で出来ることもたくさんあるし、周りの人間で最も身近な家族は温かい人達ばかりだったのだ。なぜ、こんな当たり前の幸せに気づこうとしなかったのだろう。


と、僕はそう、病床で思うのだった。ああ、お腹が痛い。


ただ、そのあと良いこともあった。


僕のことを心配して、ルナ公爵令嬢が焼き菓子を届けてくれたのだ。


食べることを必死に止める父上や母上、そして最近父上から聞いた信頼できる家臣たちの静止を振り切って、僕は彼女の好意を口に含んだのである。


ただ、なんとその焼き菓子はほっぺが落ちるほど美味しくて、逆にすごく驚くことになった。


「手料理は初めてだったのじゃろう。じゃが、寝込んだと聞いてここ数日で猛特訓したに違いない。ケインのためにな」


と父上が言った。


「そ、そうなのですね」


僕は頬が緩むのを止められなかった。彼女が僕のことを心配してくれているだけでとても嬉しいのに、そんな努力までしてくれるなんて……。


「顔が赤いな、ケイン」


「き、気のせいです!」


僕は彼女の焼き菓子を大切に大切に、味わいながら食べるのだった。


この頃から僕は彼女に会う日が、日ごとに増していくことになるのだった。


そして、僕が彼女への気持ちに気づくまで、そう時間はかからなかった。

『聖女さんは追放されたい!~王家を支えていた宮廷聖女、代わりが出来たとクビにされるが、なぜか王家で病が蔓延!えっ、今更戻って来い?一般の大勢の方々の病を治すのが先決なので無理です』


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― 新着の感想 ―
[気になる点] なぜ短編にしているのでしょうか。 シリーズ全て読ませていただきましたが、どのお話も、まだ続きがあります!という終わり方でしたので、短編にするより、連載にして一つにまとめてくださる方が、…
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