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死んで転生したい、何度思ったことだろうか。
俺は発達障害者だ。
発達障害の奴は割と身近にいる。
休み時間、誰かと話す事も無く寝たふりをしている、真面目そうなのに勉強が出来ない奴。そいつが俺だ。
灰色の青春時代を過ごした、可哀想な俺。
ある日、俺は雷に打たれた。
大雨の中、美少女フィギュアがA賞のくじ引きを引くために自転車を走らせている時の事だった。
目を覚ますと、天井が見えた。
「よっしゃ転生した!」
瞬間、静まる病室。
死んでいなかったようだ。
しかし体には変化があった。
何故か脳の障害が綺麗に無くなっていたのだ。
一通り体を検査された後、大喜びで家に帰った。
そして我に返った。
「失われた青春は戻らないし、俺が無職なのは変わらないじゃないか!」
手に職をつけなければ。
大学は金が無いから却下で。
俺はイラストレーターを目指して絵を描き始めた。
元々絵を描くのは好きだったし、自分に向いていると思っていた。
絵を描き始めてから5年が経過した。
ネットサーフィンをしていると、目を疑う記事を見つけてしまった。
「イラスト生成AI!?」
高いクオリティーの絵が、誰でも一瞬で作れるとの事だった。
俺より上手い。
俺は心が折れた。
その時、突然意識を失った。
目を覚ますと、いつか見た天井があった。
「雷に打たれて生き残るなんて奇跡ですよ!」
驚く医者。
どうやら、雷に打たれた日に戻ったようだ。
しかし5年間の記憶は残っている。
俺は別の道を進む事にした。