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魔法世界の幼女に転生した僕は拗らせ百合少女達に溺愛されています!?  作者: 十一屋 翠


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20/22

第20話 ぶつかり合う魔法

まえがき「19話の六家周りの会話に指摘があったので、加筆しました」

前回のあらすじ「それでは前回盛大なフラグを立てた敵チームがどうなるか見てみましょう」


『それでは、子供の部決勝戦を始めます!』


 大会アナウンスが響き、僕達と相手チームが試合用の枠に入る。


「チーム咲良対チーム蘭槻(らんつき)、試合始め!!」


「「「え?」」」


 試合開始の合図が聞こえた直後、僕達は驚きの声を上げた。

 何故なら相手チームが全員一丸になってこちらに向かって来たからだ。

 しかも狙いは……僕!?

 彼等は僕に向かって全力疾走で駆け寄ってくる。


「させません!」


「おっと、そうはさせないぜ!」


 すかさず魅環(みかん)ちゃんが間に入ろうとするけど、相手チームで一番体格のいい選手に阻まれてしまう。


「咲良ちゃんに手を出すなんて許せない!! 『泥呪』!!」


 燐瑚(りんご)ちゃんが呪術を発動させると、残った二人の足元が泥の沼へと変化していく。


「させるか! アイスフィールド!! いけ! 遊子(ゆず)っ!!」


 けれどもう一人の選手が手前の地面を凍らせる事で、道を固める。


「ナイスよ苫斗! 高速機動!!」


 遊子と呼ばれた最後の一人が高速移動を行うと思しき魔法を発動させながら飛び掛かってくる。

 え、ええとこういう時は……


「肉体硬化!!」


 上手い対処が思いつかなかった僕は、反射的に何度も練習した肉体硬化の魔法を発動させた次の瞬間、背後から声が響く。


「響け! 響け! 内なる破壊をその身に宿して崩れ落ちろ! 波動連鎖!!」


 明らかに物騒な言葉と共に、幾つもの衝撃が僕の体に響いた。


「うわぁぁっ!! ……って、あれ? 大したことない?」


 最初はビックリしたものの、衝撃は特に大した事は無く、僕の体を軽く叩いた程度の威力だった。


「え!? 嘘っ!? 何で!?」


 寧ろ相手の方が驚いていた。


「嘘でしょ!? 私の必殺の波動連鎖を喰らってなんで何ともないのよ!?」


 と言っても、これと言ってダメージも感じなかったしなぁ。


「ええと、連鎖波動って今の銭湯のジャグジーみたいなやつの事ですか?」


「そんな可愛いもんじゃないわよぉぉぉぉっ!! 連鎖波動は相手の体内に衝撃波を送り込んで、それが体内で何度も跳ね返って体の内側からダメージを与える高等魔法なのよ!!」


「って、そんな危ない魔法を小学生に使わないでくださいよっっ!!」


 なんてヤバイ魔法を使う人なんだっ!!


「ありえない!! 今のを喰らって大丈夫って何をしたの貴女!?」


「何って……あっ、肉体硬化を使いました。それで体が硬くなったからその連鎖波動っていうのを無効化したんじゃないですか?」


「どんだけ硬くなってるのよぉぉぉぉぉ!! この魔法は肉体硬化を使った所で中に響くから意味ないのよ! もしそれで何とかなるなら、バカみたいに魔力を使ってアホみたいに硬くならないと無理に決まってるでしょ!!」


 バカみたいに魔力を使ってアホみたいに硬くなる……


「あっ、うーん……そう、かもですね」


 いかん、思い当たる節があり過ぎる。

 我ながらバカみたいな魔力だしなぁ。


「と、ともあれ、耐えられた事には変わりないですから、えーっと、反撃行きますね『春雷』!!」


「ひえっ!?」


 僕の放った魔法を間一髪で回避する遊子さん。


「え!? 避けた!?」


 まさかこの至近距離で避けられるとは思わなかったので、驚いた。

 けど春雷はどこまでも追尾する魔法だ!


「な、何で付いてくるのよぉー!?」


「追尾する雷……!? 遊子! そりゃ桜樹(おうじゅ)家の固有魔法だ! 相殺しないとどこまでも追ってくるぞ!」


 腰まで泥に浸かった選手が遊子さんに助言をする。

 って言うか桜樹家? なにそれ? これは春野先生に教えて貰った魔法なんだけど?


「はぁ!? 桜樹家!? なんでそんな超大物が出て来るのよ!?」


「知るか! お前が六家だって言ったんだろうが!」


「六家?」


 なんだか良く分かんない単語がいくつも出てきたけど、良く分かんないな。

 とりあえず凄いって事は分かったけど、今は試合中だし考えるのは後にしよう。

 僕は魔法に集中して遊子さんを狙い続ける。


「くっ! このっ!! 泡よ! 広がり全てを包み込め! バブルシェード!!」


 逃げていた遊子さんが跳躍して体を反転させると、泡状の小さな玉がいくつも空中に現れ広がってゆく。

 そして僕の春雷にぶつかるとどんどん弾けてゆき、遂には春雷を相殺してしまった。


「ぜはー! ぜはー! ど、どんなもんよ!」


 遊子さんが荒い息を吐きながらやってやったぜ! とピースサインをすると、客席から歓声があがる。


「おー! スゲェぞ嬢ちゃん! やるじゃねぇか!」


「他のチームは瞬殺だったからな。コイツは期待できそうだ!」


 観客からの歓声を聞いた遊子さんは、満足そうな笑みを浮かべる。


「そうよ、これよこれ! 私に送られるこの歓声こそ、本来私が受けるべきだった祝福の声なのよ!!」


 なんだか良く分からないけど、遊子さんはご機嫌らしい。

 でも本来自分が受けるべきだったっていうのはどういう事だろう?


「さぁ! ここからが私のステージよ! 覚悟しなさい六家の子!」


 ビシィッ! っと遊子さんがポーズを決め、観客達から更なる歓声が上がる。

 なんか凄くノリノリだなぁ。


「とう!!」


 遊子さんが叫び声をあげながら僕に襲い掛かってくる。

 なんていうかこの人の戦い方、妙に芝居がかってるんだよな。

 

「あの、六家ってなんですか?」


 僕は遊子さんの攻撃を回避しながら六家という発言について質問してみる。


「決まってるじゃない! 世界一強い魔法一族の事よ!」


 そしたら意外にも遊子さんは答えてくれた。

 でもビックリだ。そんな一族が居るんだなぁ。

 世界一強い魔法一族か。それこそ漫画に出てきそうな一族だよ。


「でも、僕の家は、普通の、一般家庭、ですよ! お父さんはサラリーマンですし」


 何とか遊子さんの攻撃を回避し続けながら、僕は自分が六家の人間じゃないと訂正する。


「嘘おっしゃい! さっき六家の固有魔法を使ってたじゃないの!」


 向こうの人もそんな事言ってたなぁ。


「いえ、あれはたまたま知り合った先生に教わった魔法なので、別に僕が六家の人間って訳じゃないです」


「そんなわけないでしょ! 先祖代々伝わって来た貴重な固有魔法を教える馬鹿がどこにいるのよ!」


「ぶえーっくしょい!!」


 何か何処かから凄い勢いのくしゃみが聞こえてきたな。


「そうは言われても、本当の事なんで!」


「だとしても関係ないわ! 貴女が本当に六家の人間じゃなくても、六家の高等魔法を操る貴女はこの大会の台風の目なんですもの! その貴女を倒せば! 私は六家に勝った人間として一躍大スターになるの!」


「どういう理屈ですかそれーっ!?」


 トンデモナイ理屈の飛躍に頭が痛くなる。


「だから大人しく私に倒されなさーい!!」


「いやですよー!」


 もう滅茶苦茶だよ!

 というかこの人こんな事言いながらしっかり攻撃はしてくるんだよね。


「くっ! なんで私の速さについてこれるのよ! というか高等魔法を使ったのになんでまだ魔法が使えるの!?」


「何でと言われても……」


 先生達からは魔力が多い事は言うなって言われてるしなぁ。

 とはいえ、あまり魔法を使うと、相手の予想する魔力の量がどんどん増えていくから、不味い。

 ここは短期決戦で行った方が良さそうだ。


 僕は後ろに跳んで遊子さんから大きく離れながら、燐瑚ちゃんと魅環ちゃんの状況を確認する。


 魅環ちゃんはさっきの選手と肉体強化魔法を駆使して戦い続けているみたいだ。

 対して燐瑚ちゃんは泥の呪術で嵌った選手を沈めようとしているけれど、相手も抵抗して一進一退か。

 って言うか中学生相手に互角に戦う小学一年生の二人って凄くない?


 とはいえ、二人とも結構疲労しているみたいだし、あまり長く戦うのは不利だよね。

 僕は再び遊子さんに春雷を放つ。


「そう何度も!」


 けれど僕が狙うのは遊子さんじゃない。

 魔法を操作してわざと遊子さんに回避された僕は、そのまま春雷を燐瑚ちゃんの作った沼に落とした。


「ぐわぁぁぁぁっ!!」


 沼に落ちていた選手が悲鳴を上げ、胸の魔法具が弾け飛ぶ。

 

「蘭槻2番失格!!」


苫斗(とまと)!?」


 よーし、これで2対3! さらに燐瑚ちゃんがフリーになったのも大きい。


「さぁ! このまま攻めるよ!!」


 今度はこっちが攻める番だ!!

あとがき「うーん、相手チームのリーダーもアレだけど主人公の硬さもヤバイ」

次回予告「攻撃力よりも地味に防御力の方が厄介って、ダメージが通らなくて詰む典型パターンだよね」


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― 新着の感想 ―
[良い点] っょぃ [一言] バトル長いかなぁ 全部まとめて半分くらいがいいかも?
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