運が無い男
宜しくお願いします
「う~ん」
なんでヤメたら出るんだよ、粘ればひたすらハマるし
今日も負けた
パチンコ屋の自動ドアを出て声に出さずに、くっそおおおおお!と叫んでいる小心な俺
駐輪場にある愛車のゴレちゃんに跨り、携帯の着信を確認してからヘルメットをかぶり
パチンコ屋をあとにした
ちなみに愛車のゴレちゃんとはバイクのことである、バイクの宣伝のキャッチコピーが
GOGOレジャーだったのでゴレちゃんと命名したw
人生負け組ついてない俺の財産といえばナビゲーション代わりに活用している携帯のナビちゃんと
バイクのゴレちゃんぐらいだ
晩飯は何にしようかと寒い財布の中身を考えながら家の方向に大通りを快走中
突然前方が暗闇が迫った
「ほえええええ」思わず変な声が出たw
ブレーキもなにも1メートル先に突然あらわれた暗闇を回避することはできなかった。
目が覚めると暗闇ではなく白い空間だった
ハッと気がつきバイクのゴレちゃんが倒れてたが壊れてはいないようで安心した
「ふー壊れたら直すのに金かかるからねえ」
革ジャンのポケットの中の携帯のナビちゃんはと確認したら電源が入らないようだ
「あちゃー携帯はダメかぁ」
少し落ち着いてきて周りを見渡すが、ただただ白いだけの空間だ
事故か何かで意識の中の世界なのだろうか
すると淡い光の球体が現れた!
声というよりは意識に直接ひびく言葉が日本語なのかなになのかわからないけど
不思議と理解できる。
それによると
俺の住んでいたところは数ある実験空間のうちの一つで、実験空間が増え過ぎで相互に
干渉して歪ができることがあり、普通はすぐに補修されるので何もなかったかのうになるが
稀にそこに巻き込まれる運の悪い者がいるらしい。
元居た空間は補修されてしまったので戻ることはできないそうだ。
そのかわりに新たな歪が出たところに入れられるそうだ。
これによりその空間に何らかの変化も起きるので、興味深いデータが得られるとのこと。
そして別の空間は進化の過程や原理原則なども微妙に違うので
それに合わせて修正した上で送られるとのこと。
希望も一応言えるようなので元居た世界で言うところのファンタジーな世界を望む
その他構成要素も希望が出せるようだ、ファンタジーな世界ということなので
勇者、魔王、王族などにすることは可能らしいのだが
設定を絞ることで大きな数値を求めることにした。
それは・・・
『 luck全振りでお願いします!! 』
そう、とにかく元居た世界では俺は運がなかった。
しかし、出会ってしまったのだついている人、運というものを持ってる人に!
社会人になってから付き合った彼女がそれだった。
取り立てて超美人とかではないが、人気のある可愛い子だった。
デートでテーマパークに行けば入場何百万人記念とか
忘年会のビンゴ大会では必ず当たる!
競馬に行けばこれ買うーと言ってた40倍ぐらいのどう見ても来そうにないのが来たり
言っててそれほどでもと思うけど
俺はそれが眩しく感じるほどついていないw
ということで希望を伝えた。
luck全振りでお願いします(最優先事項)
イケメンにしてくださいw
ゴレちゃん、ナビちゃんを持っていきたい!
最終確認でも言われた、ファンタジーな世界は優しくない世界だと。
元居た世界、それも日本のような安全な世界でないので、
勇者や特権階級などの恵まれた環境でないとすぐに死ぬと、
簡単に死なれてしまうとその世界(別の実験世界)に送り込み
何らかの変わった反応が出ないからだ。
しかし、何を言われてもluck全振りは譲れないと!
イケメンはその世界での価値観もあるので今、伝えたアイドル俳優のイメージがイケメンとは
言えないかもしれないということだが、まあそれはいいですと答えた。
ゴレちゃん、ナビちゃんはファンタジー世界にはないものなので
その世界に合わせたものになると言われたが、まあそれもしょうがない。
そして希望する世界観に近い空間に歪みが出てのでその世界へ送り込まれた!
草の香りがする・・・
久しく嗅いでなかった匂いだ
見えるのは抜けるような青空
寝ていたようだ、起き上がると周囲は草原だった。
とても住んでいた地域にはこんな場所はなかった。
そして服装も革ジャンとジーパンではなく
何やら自分のイメージしている異世界ものの冒険者のような格好だ。
立ち上がって周囲を見渡せばひらけた場所で近くに道のようなものがある
当然、舗装されていない道である。
これは!本当に異世界に来ているようだ!
龍崎ハルトは「よっしゃーーー!!」と思わず叫んでいた!
あの白い世界での話は本当だったんだ、これで運の無い俺も
luck全振りにより強運、いや全振りなんだ豪運による
楽しい人生を謳歌できる!!
さて、バイクのゴレちゃんと携帯のナビちゃんも一緒に来てるはずなのだが
乗り物らしいものは見当たらない、
そして持ち物を調べてみるが携帯らしきものは持っていなかった。
あれー?おかしいな、白い世界ではゴレちゃんとナビちゃんも
その世界に合わせたものにはなるが一緒に送ってもらってるはずなんだが・・・
『・・・・』
目が合ってしまった
何か有るなとは思っていたが公共放送のN○Kに出てたドー○くんみたいな
奴と目があってしまったw
『・・・・』
「ゴレちゃん?」
すると茶色の奴は
コクリとうなずいたww
これはゴーレムの小さいやつでは無いだろうか??
大きさは150cmぐらいの茶色いやつだw
どうやら喋れはしないようだけど意思疎通は出来そうな感じだが
何故に?バイクがゴーレムになるんだ???
肩車してもらって乗れそうではあるけどw
躓いたら顔面強打コースだろw
ではナビちゃんはどこだ?
探しても見つからないようだ
白い世界で電源入らなかったので壊れてたので再現出来なかったのかもしれないなと
とりあえず納得してみる。
まああっても電波通じないし、衛星もないのでGPSナビもできないから
無くてもしょうがないな。
とりあえず人のいるところでこの世界の情報収集したいけど、
さてどうするか?標識あるあけでもないので、道はあるけどどっちいけばいいのかわからないね。
すると道の先の丘を馬車が数台こちらに向かってくるが、俺に気がついたのだろうか?
馬車は遠くで止まり屋根のある馬車の上には人が乗り弓を構えているようだ。
そして馬車の周りに数名が周囲を警戒しているみたい。
そして2人の男が腰に下げた剣の柄に手をかけた状態で近づいてきた。
「何者だ、何をしている?!」
男から発せられた言葉は日本語ではなかったがなんとなくわかった。
なんだろう?日本語の語感じゃないんだけどね、
意味わかるんですけどw
ハルトは日本語が通じるかわからないがとりあえず
「怪しいものではありません」「道がわからないので困っていたところです」と素直に言ってみる。
男2人は何やらコソコソ話しあったあと、
「そうか では、一応道から離れて居てくれ我々が通った後は道に戻っていいから」
おおおおお通じてるんかいw
「わかりました」と言い道から5mほど離れた草むらに移動した
するとゴレちゃんも付いてきた
先程の2人の1人は道端に残り俺のことを警戒している
その後ろを荷馬車が数台通り過ぎていく。
ハルトは悩んだ末思い切って話してみることにした
「すいません、街まで行きたいのですが一緒に行ってもいいですか?」
馬車に乗っていた恰幅の良い男がこちらを見ながら馬車を止める合図をした。
「坊主、どこへ行くんだ?」
おお!これは可能性あるか!こんなとこで居てもしょうがない
馬車はどこかしらの街は通るはずだから同行させてもらえれば街までいける!
「わからないです!」
「実は目が覚めたらここに居たのですが記憶がありません」
「街がどこにあるかもわからないので一緒に行きたいです」
恰幅の良い男は
「俺らは荷馬車隊で安全に荷物を運ぶ必要がある」
「見ず知らずの者を同行させるわけには行かないが、坊主をここに置いていくわけにもいかないだろう
一応警戒はさせてもらうので、先頭を行け、荷馬車に遅れるようなら置いていく」
ハルトは
「はいお願いします!」と頭を下げた。
その時馬車の屋根に乗っていた男が、
「警戒!警戒!」
「グレートウルフが1頭、4時の方角より接近中!」
「他には居ないようなのでハグレだ!」
恰幅の良い男は
「各自警戒、馬を守れ!」
灰色の大きな獣がすごい勢いで迫ってくる
どうする、どうする・・・俺どうする???
剣を持っているようだがまだ抜いたこともないぞ
しかも獣のスピードはかなり早い、そうこう言っているうちに
すごい近くまで来ている
しかも馬を狙っている感じじゃないw
俺を狙ってるんじゃないかというくらい一直線にこちらに向かってくるw
グレートウルフが飛んだ!飛びかかってきた!
やばぁああああああ
ハルトに飛びかかってきたと思ったのだが
「あれ?止まってる??」
ターン制ですか?この世界はw
いや、微妙に進んでる
しかも動ける!!剣を抜いた!
飛びかかって宙に浮いた状態のグレートウルフの横に移動w
そして首元目掛けて剣を振り下ろす!っとその前に
あせっちゃいかん!!
まだ、剣に慣れていないからなそのまま振り下ろすとその勢いで
自分の足を切ってしまうとかなんとか、どっかの本で読んだぞ!
改めて、かっこ悪いけど足は開いて剣が地面まで勢いで行っても
足に当たらないようにしてと、
「えい!!」
堅かったらどうしようと思ったがスパッと首を剣が通過した
その瞬間、ゆっくりと微妙に動いてた時間が元に戻ったように
ズザザザザーと首の切られたグレートウルフが
さっきまでハルトのいたところに勢いよく落ちていった。
先程の恰幅の良い男はがグレートウルフに近づき確認してから
こちらに向かってきて
「坊主すごいじゃねーか!グレートウルフを一太刀で仕留めるとは!」
「荷馬車隊の隊長をしているカンナバロだ」
「坊主お前の名前は?」
さっきから坊主坊主うるさいなと思いつつ同行させてもらうんだからな
愛想よくしておこうw
「ハルトって言います」
「そうかハルト、あのグレートウルフはどうする?」
心なし嬉しそうにカンナバロが聞いてくる。
「どうするって?」ハルトは何を言っているのかよくわからない。
「あのグレートウルフは自分で処理してもっていくのか?ってことよ!」
「あれだけ大きいのを持っていくのは大変だからな、
相場で引き取るからどうだ?、討伐証明と魔核は渡すからどうだ?」
うーんちんぷんかんぷんだよw
まず、あれを持っていくの物理的に無理無理。
じゃあ引き取ってもらうしか選択肢は無いな、討伐証明と魔核とはなんだろう?
カンナバロが言うには、グレートウルフは魔獣だから
討伐証明部位と魔核を冒険者ギルドに持っていけば討伐実績と
魔核を買い取ってもらえるとのこと。
ただ、街まで近いので討伐部位の左耳がいらないというなら引取価格も
多めに見積もってくれるということだ。
まず、一太刀で倒したので毛皮が丸々きれいにとれる
街も近いので肉にも価値がつく、そして頭の部分は討伐部位をとらないなら
頭を剥製にして飾りたい貴族は多いらしいので頭の部分の価値が上がるとのこと。
「それでは魔核以外引取お願いします」
ハルトはいくらになるのかはわからないが
それしか選択肢は無いなと思いお願いした。
誤字脱字等ありましたらご指摘いただけると幸いです